- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591119228
作品紹介・あらすじ
競馬の「ノミ屋」をしている「ベソ公」は、名も知らぬ小さな女の子をとつぜん預けられ途方に暮れる。少女の純真な心が大人を動かしていくラニアンの『ブロードウェイの天使』。留守番の子供たちが、めったにない夜更かしに眠気をこらえて遊びつづける至福の時間(チェーホフ『子供たち』)。「神様」ばかり気にかけているミス・ハリエットは、いじらしいほどの激しさで恋に落ちていく-老画家が語るあまりにも悲しい恋の思い出(モーパッサン『悲恋』)。純粋な瞳の輝きに心洗われる三篇。
感想・レビュー・書評
-
ラニアン。本シリーズ収録のラードナー作にも似た口述体の短編。戦間期のアメリカ文学って、こういうタイプの小説が多い印象。
チェーホフは、数あるだろう短編の中から何故これを選んだ?という‥
モーパッサン。独身の高齢女性が風変わりな存在だった昔に、彼女たちの性や情愛が第三者からどのように捉えられていたかを知る手がかりになりそう。97/100詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ブロードウェイの天使』の小さな女の子を突然預けられたノミ屋の男の変化の様子を微笑ましく読んでいたらまさかの結末に驚き。女の子の愛くるしさの分悲しさが大きかったです。
子どもたちだけの時間を楽しみ電池が切れたように終わる『子供たち』。ロシア系の名前は微妙に似通っているように感じるので途中から誰がどの人物だか分からなくなってしまいました…。
ミス・ハリエットの不器用な『悲恋』。
純粋で感情が上手く表現できない彼女のぎこちなさが読んでいて悲しくなりました。 -
(貰った本)
読み始めた(4月3日)〜読み終わった(2月24日)
時間を掛け過ぎて、内容が途切れてしまった。
一度に読めば比較的早く読み終わる本。 -
「ブロードウェイの天使」
愛情が人を変える。
皆が愛さずにはいられない天使のような女の子。
天使が去ったら、また元に戻るんだろうか。
私は、そうじゃないと思う。
表面上は同じであったとしても、少し違った心になって生きていくのだろうと思う。
それは、悲しみや寂しさといった痛みも含んでいるのだろうけれど。
「子どもたち」
大人が留守の時のこどもたち。
いつもより瞳がいきいきしている。
いつもはできない賭け事をしてみたり、夜更かしをしてみたり。
子供たちの様子や表情を想像して読むと、かわいい。
声が聞こえてきそうだ。
「悲恋」
人々や自然の様子がいきいきと描かれていて、非常に感情移入しやすく、読みやすかった。
ミス・ハリエットを、いささか馬鹿にし過ぎている口調だけれど、そこから、彼女の容姿の貧弱さが感じられる。
美しい自然の中で、非常に人間らしい心模様が感じられる。
悲しい話なのだろうけれど、どこか清々しさがただよう。
モーパッサンの他の作品も読んでみたい。 -
ラニアン『ブロードウェイの天使』
チェーホフ『子供たち』
モーパッサン『悲恋』 -
色んな作家が読めるのが結構いい。私の名前だから買ったというのはナイショ。
-
百年文庫5冊目は「瞳」
収録は
ラニアン「ブロードウェイの天使」
チェーホフ「子供たち」
モーパッサン「悲恋」
この取り合わせは何なんだろう。いずれも初めて読む小説だが、共通点のようなものが見い出しづらかった。「子供の愛らしさ」を感じるということでいえばラニアンとチェーホフのものはそうだがモーパッサンのものは外れそうな気がするし、「まっすぐな思い」のようなものを想像すると今度はチェーホフのものが外れそうな気がする。いずれにしてもどれもかなり面白い短編であった。
特に惹かれたのはモーパッサンだろうか。「悲恋」は題名そのまま本当に悲恋である。フランス文学史をあまりちゃんと知らないが、モーパッサンも何かのカテゴリに入れようとすれば「写実」とかいった言葉が出てくるのだったろうか? 描き出し方が非常に上手いというか素晴らしいというかとにかく惹きこまれた。
ミス・ハリエットの心の中に宿ったものはやはり「恋」なのか。悲しい結末が「恋」という言葉にしっかりとした輪郭を与える名短編だと思った。モームの「雨」みたいなものを何となく思い出させる。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/40