(042)夢 (百年文庫)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119242

作品紹介・あらすじ

女友達に高価な贈り物をし、湯水のように金を使う貴族ルドルフ。借金を重ねて落ちぶれても、プライドは老いてなお高く-(ポルガー『すみれの君』)。「人生で最初の別れ話」を切り出す少年の高揚感をユーモラスに描いた三島由紀夫の『雨のなかの噴水』。料理人や世話係を連れ狩猟のテントを張るマカンバーは、妻に勇姿をみせようとライオン狩りに向かうが…(ヘミングウェイ『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』)。夢を追った人たちの、おかしくてちょっぴり苦い物語。

感想・レビュー・書評

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  • 3作とも直接的に「夢」がテーマとは感じないが、それぞれに微妙すぎる男女関係のアヤが描かれていて面白く読めた。44/100

  • 『すみれの君』のオチが…。
    プライドのためなら犯罪もOK、いやそもそも犯罪と思っていないのがすごいなぁ。ベッティーナが出来た人で良かったと思う。

    『雨のなかの噴水』はダメでした。
    中二病を格調高い文章にするとこうなるのか、と思ってしまいました。でも男とも男だけれど女もちょっとどうなのかと。したたかなのだけれど「ねぇ、そんな男で良いの?」と雅子に訊いてみたい。

    『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』は男として目覚めた途端の悲劇。
    本当に事故だったのだろうか?
    バッファローから夫を助けようと銃を撃った瞬間にマーゴットは夫の心離れを思いはしなかったのだろうかと思う。

  • E. ヘミングウェイ、実は良さが全く分らなかったのだ『フランシス・マコーマーの短く幸福な生涯』を読むまでは。短編小説ベストアンソロジーを編むなら間違いなく入れたい一篇。練られた小説、上質なミステリを愛する方におすすめ。

  • 「すみれの君」
    ノンシャラン、なるほど、いい言葉だ。
    粋、というよりはやわらかく、適当な放蕩さを感じる。
    一つの美学だ。
    ルドルフは、どうしようもないところがある反面、実に魅力的な人物だ。
    文章から、彼の様子が立ち上がってくる。
    「夢」か。
    なるほど。
    この作品にはいくつもの「夢」がひそんでいる。

    「雨の中の噴水」
    「別れよう」を言ってみたい、か。
    世の中には多種多様な欲求があるものだなぁ。
    実に子供っぽい。
    背伸びのポイントがずれている。
    その滑稽さ。
    そりゃぁ、少女も素に戻るわ。
    夢見心地でとりとめがないのだから、この少年は弱い。
    こんな男のために涙を流す少女も、だいぶ夢の中、のような気がするが。。。

    「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」
    実に、短い。
    男としての無敵の勇気・自由を手に入れて、これからの人生は今までとは違った堂々とした自分らしいものになるはずだったのに。
    なにかが起こる予感は、ひしひしと感じていた。
    やはり、か。
    そう思った。
    人は、生まれ変わったからと言って、0から始めることはできない。
    今までの人生を引きずり、その責任を背負いながらしか生まれ変わることなどできないのだ。
    マカンバーの背後。
    一人だけ次へ進んでいくことはできなかったか。

  • ”企画に共感して購入。3作品のなかで強く印象に残ったのは三島由紀夫氏の『雨のなかの噴水』。初めから最後の場面まで「水」が影の主人公のように数々の表現で登場する。頭の中でずっと水音が鳴っている感覚が、まさに夢のような…。”

  • いずれも初めて作者。
    最終的にポルガーのが一番面白かったかな。
    三島由紀夫のは主人公が中二病です。
    ××したいから○○して△△しただとぅ!?不愉快な!!
    最近三島リバイバル中なので気になってますが、私でも読める奴はあるのか怪しい雲行き……
    谷崎も手紙本を読んでから変態め!ってなって読む気が失せているので、まだまだ無理かもしれない……20年くらい放置してみようかな。
    ヘミングウェイは面白いかと言われると微妙だけど、そうきましたか、という結末。
    わたしに釣りや狩猟の趣味があれば、他の作品も楽しめるのかなぁ。

    装画 / 安井 寿磨子
    装幀・題字 / 緒方 修一
    底本 / 『ウィーン世紀末文学選』(岩波文庫)、『決定版三島由紀夫全集20』(新潮社)、『ヘミングウェイ全短編2 勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪』(新潮文庫)

  • 三島由紀夫はキモい。女嫌いが全面に出ている。
    女嫌いの作家に女性ファンが多いのは、フェミニズムによって女が男とおなじようになろうとする流れから生まれる自己嫌悪なのである……

  • 夢を追った人たちの、おかしくてちょっぴり苦い物語3編。
    生きた時代も、場所も違う3人の著名な作家たちの話を集めたものです。
    2番目に収録されている、三島由紀夫の「雨のなかの噴水」
    20ページ足らずの短編ですが、梅雨の雨の降る中、ナルシストの少年がこの年代に有りがちな残酷な言葉を自分の彼女に吐き、傷つけ、泣かせることで満足感をえようとしていたが、実は彼女が泣き止まなかったのは、その言葉が原因ではなかったというオチがつきます。彼女の目から止まることなく落ち続ける涙と公園の噴水と降り続く梅雨の雨との湿度がじんわり伝わってくるような文章です。

    ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00515319

  • 様々な言葉を軸に古今東西の短編作品を集めたシリーズ、初読。
    三島とヘミングウェイが同じ本に入るとか!
    小品ではあるけれど、どれもさすがの上手さ。
    三島の噴水の描写の美しさは圧倒的。
    三作品とも、主人公の男性を失笑して終わるのは意図的に集めたんだろうなー。
    それで夢、というのがなかなか世知辛い。
    しかし、本文レイアウトがちょっと私には合わなかった…。
    読みにくい。
    残念。

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