(050)都 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.59
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119327

作品紹介・あらすじ

伯父とローマに滞在するケリン嬢は、朝食のテーブルで知り合ったイギリス人青年に惹かれていく…「永遠の都」で願った恋の行方(ギッシング『くすり指』)。長年節約を重ね、ついにヨーロッパ旅行を実現した教師ミス・アビー。ロンドンで買った土産のネックレスが幸福を呼び込んで…(H・S・ホワイトヘッド『お茶の葉』)。連れ立って旅に出た旧知の夫人ふたりが、古都のテラスで秘められた過去を露にする(ウォートン『ローマ熱』)。旅先の都で繰りげられる恋と人生の物語。

感想・レビュー・書評

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  • キュッの一冊。

    読んで良かった思いでいっぱい。

    遠い昔の思い出話を聞かされているような感覚に陥るのも良かった。

    三篇の都の旅での小さなエピソード。
    でもこの物語の中の女性たちにとっては忘れ得ぬ時間。

    せつなく温かく、時に驚きと、どれも確実にさまざまなキュッと感が待ち受けているのが良い。

    「くすり指」はただせつない。
    けれどとてつもなく美しくて、キュッと大きな鼓動を感じ取れるほど。

    「お茶の葉」もまさに都が導く幸せにキュッ。「ローマ熱」は女同士のありがちな心情の交差で読ませる異色さ。
    ラストはキュッ?いや、トドメのギョッか。

  • どれも面白いが、ウォートン『ローマ熱』は短編小説の模範といえるだろう。傑作。58/100

  • ローマのホテルで偶然知り合った男女の宿泊客の気持ちのすれ違いが書かれた『くすり指』。男は女の本当の気持ちを知らないままに恋人の指輪を買い、女は自分の薬指には指輪がはめられない人生を悟り故郷で暮らす。
    寂しいと思いました。

    『お茶の葉』のミス・アビーの明るさ、話のテンポの良さが良かったです。旅の楽しさ、わくわく感や高揚した心が目に浮かびました。読んでいて楽しかったです。

    『ローマ熱』の寡婦二人の過去の暴露、お互いを見下しつつ友人のように振る舞う姿が怖かったです。
    ローマ熱よりも人間の方が怖いです。

  • 「くすり指」
    二人の感情のすれ違い。
    ありそうな話だ。
    行きずりの交流なんて、なかなか、表面的な域を出にくい。
    あくまでも、通り過ぎてゆく旅だから、その一瞬一瞬が輝くのだろう。

    「お茶の葉」
    運命に導かれるお話。
    こんなにうまく話が進むものなのか、とつい溜息をつきたくなるような、大人のおとぎ話。
    あまりの大金は、ちょっと怖いきがするけれど、ね。

    「ローマ熱」
    こわい。
    私にとっては、下手なホラーより恐ろしい。
    近ければ目に付く。
    よく見えるからこそ、へだたりや反発や嫉妬心が生まれる。
    最後はミセス・アンズレーが一本とったかのように見えるけれど、彼女の長年の心情を思うと、決してうらやましくは思えない。
    どちらも、嫌だ。
    この人たち、友達じゃあないよね。

  • 「お茶の葉」が好き。ミス・アビーの大人なかわいらしさ、幸福感、旅行のドキドキ感などがよく伝わってきて、なんだか読んでいるこちらまでわくわくしました。

  • 「くすり指」が印象に残った。家父長制度が強かった時代の、女性の複雑で切ない内面がよく描けていた。外界に出て自由な活動や自由な恋愛が制限されていた時代の女性は可哀想だったと思う。

  • ギッシング『くすり指』
    H・S・ホワイトヘッド『お茶の葉』
    ウォートン『ローマ熱』

  • くすり指は切ない女心
    ローマ熱は燻り続けていた火の発火
    点けたのは女心
    お茶の葉は慎み深く無欲な女心
    どの話もヨーロッパ的で上質。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/50

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