(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119723

作品紹介・あらすじ

江戸幕府が瓦解して五年。強面で人間嫌い、周囲からも恐れられている若商人・喜蔵の家の庭に、ある夜、不思議な力を持つ小生意気な少年・小春が落ちてきた。自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張する小春といやいや同居する羽目になった喜蔵だが、次々と起こる妖怪沙汰に悩まされることに――。
あさのあつこ、後藤竜ニ両選考委員の高評価を得たジャイブ小説大賞受賞作、文庫オリジナルで登場。【刊行に寄せて/後藤竜二、解説/東雅夫】

感想・レビュー・書評

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  • 明治初期、強面で人嫌いの若商人・喜蔵の家の庭に、小生意気な少年・小春が落ちてきた。自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼」と主張する小春と、喜蔵は嫌々同居することとなる。

    かなり巻を重ねているシリーズの1作目ですが、今回初読で、作家さんも初めての方。ほかにも感想で書いている方いらっしゃいますが、なぜか序盤すごく読みづらく苦戦してしまいました。慣れるとすらすら読めるんですが。
    今調べたら漫画も出ているようで、試し読みで「強面の喜蔵」がすごい美青年でびっくりしました(笑)

    メインのストーリーとしては、人間と妖怪の人情噺です。
    妖怪よりも妖怪らしい、強面不愛想な喜蔵が、鬼の小春と共に妖怪がらみの事件にに巻き込まれたり解決したり。
    無関心で冷血ぶっているけど実はお人よしの喜蔵と、鬼だけど明るく社交的な小春がいいコンビで、笑えるとともにほろりと来ます。
    また、周囲の人間や妖怪たちも憎めない人(妖怪)ばかりで、途中に挟まれる周りの妖怪たちの過去話も物語の最後に繋がり、長命だからこその縁というのも素敵だなと思いました。

    優しい、歴史と人情と妖怪話。おもしろかったです。

    ***

    こちらは”ほんの百年前”の、「あやかし」や「気」との交歓記録。
    →『家守綺譚』 (新潮文庫)/梨木 香歩

  • はじめは文体に慣れなくて、なかなか読み進みませんでしたが、途中から小生意気な鬼の小春と強面の喜蔵(意外と若い)の掛け合いにクスクス笑わせてもらい、またほろりとさせられて・・・、これからのふたりの幸せを願って本を閉じました。

  • 2019/5/5
    最後まで読むのきつかった~
    すごい読みにくいの。
    なんでやろ、なんか回りくどいんかな。説明も過多やと思う。
    この文章合わないわ。
    設定はよさげやのにそんなんどうでもいいぐらいに文章が苦手。
    こんなことってあるんだなと思った。

  • 時代小説で妖怪モノである。明治初期、幕府が瓦解し、明治に改まってまだ日が浅い時代では、いろいろなものが混とんとして存在している。そんな時代をバックに百鬼夜行から一人(一匹?)外れしまった妖怪小春と、小春が落ちてきた庭を所有する喜蔵の物語。

    有名どころの妖怪がこれでもかと登場するが(実はすでにその辺にいたわけだが)、相手をする喜蔵は全く動じないわけで。このあたりの設定がこの物語を面白くしているカラクリなんだろう。人間を怖がらせるのがミッションである妖怪と全く動じない人間の組み合わせ。ただ、妖怪と人間が同居(?)していた時代では、それほど妖怪が恐れられた気配はない。河童と相撲したり、人さらいした天狗に諭されたり。

    化け猫上がりの「大」妖怪である小春も同じだ。人間を驚かせるといっても、結局は喜蔵やその異母妹である深雪を助けたり励ましたりするのである。

    つまり妖怪モノというのは、人間のおごりや傲慢を妖怪という第三者で懲らしめることで、普通の人が報われてほしいという物語であって、これをいうと身も蓋もないが、結局は「ファンタジー」ということになる。本書『一鬼夜行』は特にそのファンタジー性に軸足を置いた楽しい妖怪モノであり、読了後はほんわかしてしまうこと必死なのである。

    本書をきっかけにシリーズ化されたとのことであるので、早速続編を探しに行ってみたい。

  • エメルさんは「夢の燈影」が初読み、新選組隊士の光と影を見事に描き切るその筆力は私的には折り紙付きなのだがポプラのマークと乙女チックな装画に気圧されなかなか手に取れずにいたシリーズ。
    ところがどうだろう、そんな心配は無用とばかりにのびのびと力強く繰り広げられるのはかなり本格の妖怪絵巻。
    文章の巧さもさることながら調べも万全で河童の弥々子登場にはニヤリとした物の怪ファンの方もおられよう。これはしゃばけシリーズどころか澪つくしをも超える傑作かもと期待は膨らむ。
    夜行の列から落ちて来た小春さながら文壇に突如転げ落ちてきた不思議な力を持ったエメルという小鬼…物語同様旋風を巻き起こしそうだ

  • しゃばけ以降の人と妖怪のコンビほのぼの系。
    少々、ショタ臭あり。高里椎奈著「銀の檻を溶かして」程
    ではないが気になった。

    どのキャラクターにも感情移入できなかった。
    喜蔵についてはその性格を表す描写が皆無で全て他のキャラの説明で片付けられている。行動だけ見れば単に無愛想なキャラでもお人好し。

    百年も恨み続けてあっさりその恨みもあやふやにする天狗にがっかり。

  • 始めから面白い。しかも読み進むと、さらに良い!
    登場する1人1人、1妖1妖、みんな憎めないな〜。
    話しがただ面白いだけでなく、生きている中での大切なことや思いにも途中さらっと触れられてたり。
    喜蔵と小春。このままいくと最後のシーン、どう書かれるのかが途中から気になって、気になって…。見事です。今年に読んだうち、ベスト本の最有力候補。

  • 鬼のような強面の古道具屋、喜蔵の庭に落ちてきたのは、百鬼夜行からはぐれた童のような小鬼、小春 。妖怪らしくない妖怪と、人間らしくない人間の奇妙な共同生活が始まる。

    わんさか出てくる妖怪も、周りの人たちも優しくて、小春がかわいすぎて、怪奇もののはずなのに、ほんわかするお話でした。

  • 小松エメルさん。初読み。
    ブクログの談話室で気になって手に。

    人相は凶悪だし、無愛想だし、おまけに人間嫌いの ”喜蔵” 。ある日、家の庭に愛嬌があって変に正義感のある小鬼の "小春" が百鬼夜行中の空から落ちてきて……。
    妖怪より妖怪らしい人間と、人間より人間らしい妖怪の……。

    って、いや~こういうの、好きなんです。
    そして、期待通り。満足です。

    それにしても、小春の可愛らしさったらもう!
    ニヤけっぱなしの一冊でした。

  • 見た目は子供のような鬼の小春が百鬼夜行から落っこちた場所は
    妖怪よりも妖怪らしい風貌と性格の喜蔵の家の庭だった。
    へそ曲がり同士の共同生活?は、それなりに充実していたが
    喜蔵の周りで怪がらみの被害が出てくる。
    小春のとった行動は・・・?
    喜蔵や周りの人間たちとの思い出話やら、
    河童の女棟梁の思い出話などを間に挟んで話が進むのだが
    これが最後の方で繋がって、絶大な効果を発揮する。
    心の底からジワーっと暖かくなるような優しい作品でした。
    シリーズみたいだから、続きも読みましょ(o^o^o)

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。母方にトルコ人の祖父を持ち、名はトルコ語で「強い、優しい、美しい」などの意味を持つ。2008年「一鬼夜行」で第6回ジャイブ小説大賞を受賞しデビュー。主な著作に「一鬼夜行」「銀座ともしび探偵社」シリーズ、『総司の夢』『梟の月』『歳三の剣』など。

「2022年 『時代小説アンソロジー てしごと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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