あなたを独りで、泣かせはしない (ポプラ文庫ピュアフル) (ポプラ文庫ピュアフル に 1-5)
- ポプラ社 (2010年7月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591119747
作品紹介・あらすじ
「私、早く大人になるから」
「ゆっくりでいい」
文化系女子の高校生×雰囲気のある喫茶店で働くクールな32歳――王道の恋愛映画を観たときのように、前向きな気持ちになれるラブストーリー
上谷高校3年で、「変わった子」が集う〈ヨーロッパ文化研究会〉所属の水島優希は、友人に誘われ、大人っぽい佇まいの喫茶店「二枚の私のハンカチ」を訪れる。そこで出会ったクールな店員・秋山悟の存在が気になり、何回か通ううち、32歳の彼の意外な一面を知った優希は……。
しっとりとした質感が心地よく、読むと前向きになれる――まるでクラシカルな恋愛映画を観ているかのような、正統派「年の差恋愛」小説。
ままならぬ年の差恋愛を瑞々しく描き、作家・小川洋子氏の推薦を得て人気を集めた『はじまりの空』の著者がお届けする、文庫書き下ろし長編。
解説:千野帽子
感想・レビュー・書評
-
こうした恋愛が一般ウケするか否かは置いておいて、私は楡井さんの描く「年の差恋愛」がものすごく好きだ。
何より少女漫画的展開になりきれないところが、いい。
『はじまりの空』から注目させていただいていて、ここで更に深まったなぁと思う。
一途な想い、その姿を客観視しては躊躇する自分。
そして触れられない部分と、知りたい過去の長さ。
大人になりたい、子供でしかない、そんな熱さと我儘さを持ち合わせた主人公が可愛い。
大切な一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公から恋人への気持ちの振れ幅だったり、受験生という不安定な状態から生まれる焦燥感やなすがままにあれない若さだったり、そういった日記のような等身大の気持ちが丁寧に綴られている作品だと感じた。主人公を取り巻く恋人の悟も、沼と表現される闇を持ちつつ主人公を誠実に愛する紳士である面と、小説という譲れない表現欲には主人公の意見でぶれたりしない頑固な面と、愛する人を離したくないという束の間の弱い面とが鮮やかに書き分けられていた。心情描写に深く共感ができる。また、ある事件が起きる山場とその解決が決してわざとらしくない。年の差恋に興味がある方は、ぜひ一度読んでいただきたい一冊。見事だった。
-
主人公の優希の描写が女子高生らしく、まっすぐで、悟さんに惹かれていく過程は可愛らしいものがあるのだけど、悟が優希に惹かれるのが早すぎじゃないかな?
ぎりぎり条例違反にはならないのかな……。
15歳も年上で、女子高生に手を出すんだから、もうちょっと悩んでもいいのでは? -
再読。これ、読んでたらつい秋山悟の顔を友だちの男の子にしてしまう。彼でイメージが出来上がってて。彼の顔と女子高生の恋愛とか想像してきゅんとしちゃったり。単なる妄想ですが。恋は突然、おちるものなんだなぁと懐かしくなる。恋愛って遠い。好きになるだけなら勝手だけど気持ちを相手に向けるのって確実じゃないし、心は疲弊する。32の男が17歳の女の子と恋愛ってあかんやろーとか普通は思うけど、この小説なら許せるのはロマンスだからかなぁ。悟の存在はずるいと思うけど。
-
年の差恋愛でどきどきしたり、不安も募るが、二人には幸せになってほしい!
悟さんみたいな男性は素敵だと思うし、主人公である、大人びた優希にはどきどきさせられる。 -
17歳の女子高生と喫茶店で働く32歳の年の差恋愛。
友達の誘いで訪れた喫茶店で出会った二人。
第一印象は最悪だったが、彼の入れたコーヒーの虜になった彼女は、その後も一人で喫茶店を訪れる。
次第に二人の距離は縮まり付き合い始めるが、彼は心に大きな沼を持っていた。
15歳の年の差、そんな恋愛を経験したことはありませんが…17歳の彼女にはものすごく共感ができました。
17歳という微妙な年齢の、悩みだったり不安定な心情がすごくわかりやすく表現されていて、感情移入しやすかったです。
相手が大人だからこそ、簡単に甘えたり頼ったりってしにくかったりするんですよね。
そのもどかしい感じがよく伝わってきて、なんだか読んでて胸が苦しくなりました。
32歳の彼は、なんていうか年の割に可愛いところがあって。
大人なのにわがままだったりして、なんかそういうのがキュンでした。
でもやっぱり大人の男の人だなぁって部分もあって。
そんなんじゃ女の子は傷つくに決まってるじゃないかってイライラしたりもして。
完全に入りこんじゃってましたね。
好きって気持ちの強さと脆さ。
恋がしたくなる作品です。 -
じぶんと重ねすぎてやんだ。
-
p10
本物のコーヒーって、こういう味がするんだ。 -
年の差恋愛は大好きなはずなのになんでこんなもやっとした気持ちになるんだろう…。読んでる間ずっと、些細なところで気持ちが引っかかって、その引っかかりが共鳴して不協和音になってた。主人公の性格と合わなかったのが原因である気がするので、まあ趣味に合わなかっただけだと思います。少女の危うさは好きだけど、現代の女子高生の危うさは鼻につく。男に抱かれるなとは言わないけどさ……
解説者も言っていたけど、この主人公が最も幸運だったのは素敵な恋人に会えたことじゃない。素敵な友達がいたことだと思う。