(P[か]4-1)誕生日のできごと (ポプラ文庫ピュアフル)

著者 :
  • ポプラ社
3.43
  • (19)
  • (58)
  • (77)
  • (18)
  • (2)
本棚登録 : 699
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591120613

作品紹介・あらすじ

変わり者の姉をかっこいいと思う恵里には、密かに心がけていることがある――いつも冷静でいたい。大好きな彼と過ごした最後の高校生活、初めての一人暮らし、自分の来月の姿さえ想像できなくなった日……。18歳から25歳までの誕生日を「観測点」に紡がれる、一人の女性のささやかだけれど変化に満ちた日々。
今の自分と向き合う勇気をくれる著者初の長編小説、文庫書き下ろしで登場。
【特別対談/柴崎友香】

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 誕生日を観測点に、18歳から25歳までの心情をつづってる。色んな人との別れ、心境の変化。誕生日って大事で、その1年を妙にまとめてしまう気がする。私も自叙伝を作って書いてみたいぐらいのテーマ。さみしい終わりですっきりしないのである。人の人生は得てしてそんなもん。

  • 読みやすくて1時間強で読み切れた
    一人の女の子と18-25歳までの誕生日を定点観測した話

    あのときあのタイミングでああじゃなければ今は違うかも
    私はどの未来にだって立てる

    ひとはすべて自分が選んだものでできている
    なんだって好きに選べる
    それはすごく楽しくて孤独なこと

  • 加藤千恵の本は、どれを読んでも読み切り少女マンガのように読みやすい。
    1人の少女の誕生日を追跡調査みたいな流れ。
    可も不可も無く、普通に面白かった。

  • 18歳から25歳までの私。誕生日を迎えることに期待に胸を膨らませていたのはいつの頃までだっただろう。一つ一つ大人になる毎に、許されないことが増えて、身体の不調や出来ないことも増えて、責任ばかり問われる毎日で、それが歳を重ねるということならば、もう何も気付くことなく見ないふりして通り過ぎてしまえばいいと思っていました。それでも未来は未知数だと教えてくれたのは、今握っているこの手かもしれないし、再会したあの人かもしれない。あの日あの時ああしていたら私は...。それでも、大事な人と腹を抱えて笑い合える今この瞬間、この気持ちだけはずっと忘れずにいたいと思いました。

  • 1人の女性の18-25歳までの誕生日を描いた本。変化が多くて、不安にもなりがちなこの時期の誕生日前後の数日を描くことで、描かれていない間に何があったか想像ができる。
    絶対と思ってたことは季節が過ぎれば絶対ではなくなることもあるし、思ったよりたくさんの選択肢に人生は溢れているのだと伝えてくれる。
    一人でカップラーメン食べるのも、何もかもうまくいかなくて当たってしまうのも分かるよ…っとなる本。「人生なんて、予想外のできごとでしか成り立ってないから」っと受け入れながらさらっと言えたらかっこいい。

  • 自分の誕生日が近づくと、毎年読み返してる小説。
    18~25歳の誕生日のできごと。
    自分が大人になるにつれ、過去のことは若いな~って思うようになれました。
    辛いことも、悲しいこともあるけど、歳を取って大人になれば大したこと無かったなと思える。
    でも若いころの些細な気持ちも大事にしたい。
    そういう風に毎年思える作品。
    でももうすぐ26歳になってしまうのでもう読み返すことはないかも。

  • 普通の女の子、恵里の18歳から25歳までの“誕生日”を舞台にした連作。誕生日という日の定点観測だけど、冒頭の一文でこの1年間で主人公に起こったと思われる変化が垣間見える。受験、恋、別離、新しい恋、友情、就職……主人公を取り巻く出来事があまりにもありふれていて自分と重ねたくなるシーンもある。何気ない日常描写を切り取るのが改めて上手いと感じた。好きなバンドの解散ライブに行った話はどっかで見たエピソードな気もするけど。現在私は26歳なので過ぎ去った過去を思い出しながら読んだ。2012/514

  •  主人公の18〜25歳までの「誕生日」のできごとを展開する小説。この年齢って、確かに色んな事がめまぐるしく起こって、人生が決まっていく時期だから色濃いよなぁ…

  • 恵里の18歳から25歳までの誕生日とその周辺の日々を描いた小説。

    誕生日というのは一年に一回しかない節目の日。
    その誕生日に食べたものが印象的に描かれる。

    ステキなことが起きたり、
    彼氏とうまくいかなくなったり、
    就活に苦戦したり。


    恵里自身の成長はもちろん、気持ちの変化も丁寧に描写されていました。

    やっぱり、加藤さんの心理描写はリアルで共感できます◎


    最後に収録されていた柴崎友香さんとの対談もよかったな。柴崎さんも好きな作家さんなので。

    ―今の自分は、全部自分で選んできたものからできている―


    まさに恵里もそう気づくんだ。

    今の自分を作っているのは過去にたくさんあった選択で、「たとえば」とか「もし」をいくら言っても
    その時そう思ったことは、きっと正解だった。


    いくつもの選択肢の中から
    自分で選んだことに間違いないなんてない
    そう、自分を信じてあげること。


    それが大事。


    まだまだ人生これからの恵里。
    この後も何度も選択の場に立たされると思う。

    そんなラスト。

    亘とどうなったかはあえて書かれていない。


    それは読者の想像、
    そして、恵里の毎日が続くことを予感させるラスト。

    こういう余韻を残したような感じ、とても好きでした。

  • こちらも枡野浩一さんプロデュースで女子高生歌人としてデビュー、
    小説・詩・エッセイなど最近も立て続けに著書刊行されています。

    この本は、18歳から25歳までの一人の主人公の
    女性の誕生日のできごとが描かれた短編集です。

    どれも好きな加藤さんの著書の中で
    どれを選ぼうか最後まで悩んだのですが、
    最近課外活動で漫画「サプリ」(おかざき真里)読書会に参加して
    最後の一部に共通点を発見したので、こちらにしました。

    ネタバレにはならないと思うのでそれぞれ最後の一部を引用します。

    "大丈夫 私たちは 未来を選べる。"
    -「サプリ」10巻 より

    "わたしはきっと、自分で思っているよりもずっと多くのことを選べるし、
    決められる。今までだって選んできたし、決めてきたのだ。"
    -「誕生日のできごと」第七章 誕生日おめでとう より

    後者はこの文章より2ページくらい前の部分から最後までの文章が
    とても好きです。

    年齢や経験、選択を重ねていくと、
    なんだか選択肢が狭まってしまうような気がした時がありました。
    でもそんなことないんだな、っていうことに気がつかせてくれました。
    将来のことや恋愛で悩んだり、そしてそのたびに
    そのときの主人公なりに最善と考えた選択を決断していく姿に
    励まされ、背筋が伸びる気持ちになります。

    ちなみに、加藤千恵さんもツイッターやってらっしゃいます。
    https://twitter.com/katochie1110



    もっと端的にまとめようと思ったのに、なんだか長くなってしまいました…

全62件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤千恵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×