(053)街 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.67
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本棚登録 : 33
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121313

作品紹介・あらすじ

「ああ、日本人、ヘンリイも日本人、俺も日本人」-。カナダ兵として戦勝パレードに参加した同朋の雄姿を、「私」は感慨深く見つめた(谷譲次『感傷の靴』)。一人息子を戦争で亡くしたおときさんと捨て犬のチコ。心寄せ合うふたりの親子愛(子母澤寛『チコのはなし』)。「木ノ花さん、助けてよ。わたし今日、ほんとに困ってんの」。大柄な女性作家に絡まれ、強引に家に連れ込まれた小柄な男性編集者。一晩の駆け引きの顛末は…(富士正晴『一夜の宿・恋の傍杖』)。街角に明滅する人生のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 谷譲次、林不忘名義で丹下左膳の人なのか。対戦間期のアメリカ物という珍しい設定。
    子母沢寛は座頭市。チコのはなしは動物ものだが泣かせる。
    富士正晴はこれもあまり読んだことがない痴話喧嘩もの(?)。辟易とする主人公の心情はわかりすぎるほどよくわかる。41/100

  • 「感傷の靴」
    感動的だったろうと思う。
    同じ日本人の、凛々しい逞しい堂々たる姿を見て、心を打たれるのは自然な感情だと思う。
    日本男児・大和魂。
    異郷の地にいるから、より強くそれを意識し、誇りに思う。
    卑屈であるとすら思われる、給仕人として生きる自分の姿と現状。
    それを象徴するかのような靴。
    しかし、靴はもう、彼の目には入らなかった。
    まるで背筋が伸びるような、そんな思いがしたのではないだろうか。
    しかし、タイトルに「感傷の」とついているところが、結局、なかなか状態は変わらなかった、ということを示唆しているような気がする。

    「チコのはなし」
    悲しいけれど、ぬくもりがつまったお話だと思った。
    登場人物がみな温かい。
    幼子が母親を慕う姿、そのまんまのチコ。
    何も食べなくなって、ひたすらに母(おときさん)を願うその心、喪失感が伝わってくる。
    チコの泣き声が聞こえてくる思いがした。

    「一夜の宿・恋の傍杖」
    なんだこれ。
    支離滅裂としか思えないような、バカみたいなやり取り。
    まあ、喧嘩とはそういうものか。
    付き合わされるほうは、たまったもんじゃあないな。
    男の目には、女はこんなに支離滅裂に見えているのかな。
    痴話げんかは犬も食わない、という言葉を体現しているかのような話だった。

  • 谷 譲次『感傷の靴』
    子母澤 寛『チコのはなし』
    富士正晴『一夜の宿・恋の傍杖』

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