(059)客 (百年文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 36
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121474

作品紹介・あらすじ

銀座の繁華街で出会った大男は、「人間は食べないよ」と言ってにやりと笑った。異界の者との滋味豊かな交流を描いた、吉田健一の『海坊主』。精神を病んだ私は知人の紹介で、風変わりな道場「天狗洞」の食客となった。珍妙な修行に耐える私の、夢と狂気に満ちた混沌世界(牧野信一『天狗洞食客記』)。妻・トキ子の家造りを傍観していた僕だが、馬小屋が建てられたところから状況が一変した。居場所を失い、翻弄される男の行き着く先は(小島信夫『馬』)。非日常から日常を照らし出した、奇想天外な三篇。

感想・レビュー・書評

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  • 「馬」の読書会のために読んだ。このシリーズはテーマが同じでも3つの味が楽しめるしさっと読み終われるしよいですね。

    吉田健一「海坊主」:この人の文章はふわっと読み進めさせる謎の推進力があって、1周目はその力に乗ってぼんやり読んでしまった。2周目は海坊主の海坊主らしさをそこかしこで味わえて楽しかった。昔の人はよく食べよく飲みますね。吉田健一だからかもしれないけれど。
    牧野信一「天狗洞食客記」:俺は駄目だ男パニック系作家として牧野信一はとてもよいのだけれど、なにせいつもテンパっているので読んでいて疲れてしまう。しかしこういうアンソロジーで一つだけ読むとちょうどよい感じ。本作は基本のテンパりの合間合間に庭や女中さんの美しさがみずみずしい文章で挟まれるのがよかった。天狗洞のシステムもふざけていて可笑しい。牧野信一にはもっとふざけて長生きしてほしかった。
    小島信夫「馬」:この夫婦、たぶんこれはこれで愛しあっているんだろうなと思いつつ、戦前と戦後の意識の転換のなかで身動きが取れなくなっているさまがいじらしく可笑しい。お互いを必要としているのにどうしようもなくコミュニケーションが取れない二人。

  • 吉田健一『海坊主』
    牧野信一『天狗洞食客記』
    小島信夫『馬』

  • 奇想天外な物語三編。
    吉田健一「海坊主」(1956)、牧野信一「天狗洞食客記」(1933)、小島信夫「馬」
    (1954)。
    あらすじを書いてはおもしろみが半減するので、読んでみてのお楽しみ。「海坊主」は、銀座の夜で出会った男の話。後ろの二編は主人公が気にする女性がどうなるのか、気になって読み進んでしまう。

  • 吉田健一の作品が、これほど短いものとは、初見の際には思いませんでした。
    小島信夫は凄みを感じます。
    他の作品、特に長編を読むようにします。

  • 和図書 908/H99/59
    資料ID 2010200735

  • 日常の中での異世界の住人との交流。
    登場する女性たちの謎めいた妖しい美しさにドキドキしました。
    小島信夫の『馬』は狂っているのが夫なのか、妻なのか。
    不気味だ…と思いつつ、先を読まずにはいられませんでした。
    異世界を覗いてみたいという好奇心や怖いものみたさを満たしてくれる1冊です。

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    ◆収録作品◆ 
    吉田 健一 『海坊主』
    牧野 信一 『天狗洞食客記』
    小島 信夫 『馬』
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著者プロフィール

1912年、東京都生まれ。批評家・作家。ケンブリッジ大学中退。外交官の父・吉田茂(後の首相)の任地に従って中国、フランス、イギリスで育つ。1931年、大学を退学して帰国。ポーやヴァレリーの翻訳から文学活動を開始し、39年、中村光夫らと同人誌「批評」を創刊。戦後は翻訳、評論、随筆と一挙に幅広い活動を始め、言葉による表現の重要性を唱えた。主な評論に『英国の文学』『東西文学論』『ヨオロッパの世紀末』『時間』、小説に『瓦礫の中』『絵空ごと』『金沢』、随筆に『私の食物誌』など多数。


「2018年 『ラフォルグ抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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