肌 (百年文庫)

  • ポプラ社
4.17
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本棚登録 : 33
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121481

作品紹介・あらすじ

「落ちるところまで落ちた」-そんな思いで住みついたアパートみどり荘で、川上は隣室の若い女にふとした好奇心を抱く。憐れみから惰性へと関係を深めてしまう男女のあやうさ(丹羽文雄『交叉点』)。執筆のためカンヅメにされた旅館で、あれやこれやと「私」を世話する仲居の鈴音にはもう一つの顔があった(舟橋聖一『ツンバ売りのお鈴』)。零細映写機会社の支社長と事務員。恋して暮らして二十年、別れを迎えてなお高まる愛しさ(古山高麗雄『金色の鼻』)。ときに不可解な男女の性愛を描いた三篇。

感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫60
    冬で寒いのでババシャツ(!)の肌色。人肌の肌ということで選んでみました。

    丹羽文雄 『交叉点』 星3
    川上はやくざ付きの女と恋に落ち駆け落ちする。その女と一緒になってから何かがうまく回らなくなる。そして妻が病死してから川上の転落人生がはじまる。漂流の果てにみどり荘で友子に出会う。(川上が勝手に可哀そうな女と思う)友子の更生を理由に交流するが、結局一線を越えてしまう。一方で品行方正な敬子を紹介され、とんとん拍子で再婚話は進んでゆく。芝のように友子を捨てて敬子を選ぶ川上だけど、実は友子に救われていたのではないだろうか…とふと思った。



    舟橋聖一 『ツンバ売りのお鈴』 星3
    雰囲気でわかるけど曖昧なので一部ググりながら読む。(Gスト、とか…とても刺激的でした)。旅館に「カンヅメ」になる作家先生と、手癖の悪い女中お鈴の物語。おきゃんで小狡い鈴に振り回されながらも、何となく憎めないキャラのお鈴。最後はつい笑ってしまいました。あのお財布は、一体どうなるんでしょう。とても気になります。お鈴がとても頼もしく思えてくるのでした。(バヤリースとモリナガミルクセーキがおいしそう。)



    古山高麗雄 『金色の鼻』 星3

    変なところが気になってしまった。「サッポロ冷やしラーメン」…というものが登場する。この時代にそんな食べ物があったのかな。山形の冷やしラーメンみたいな感じなのか、冷やし中華みたいなものなのか。
    それとも冷えたラーメンが二人の関係を表しているのか…結局わかりませんでした。

    思い出や過去を保存しておきたい男(夫)と、過去はさっさと忘れて更新していきたい女(妻)の別れ模様。昌三からのプロポーズは「僕と一緒に苦労してくれるね」。妻の花恵は「苦労はしたくないわ」と答える。この時点で既に合わなかったんじゃないかな…と、読者目線で考えてしまった。



    帯は=ほどけてなお求め合う、男と女の、愛と性=と紹介されていました。

  • 全体的に読みやすかった。

    「交叉点」
    友子みたいな女、いるよね。
    自分から不幸に寄っていく女。
    寂しくて幸せになりたい気持ちが強くて、相手の心が読めず、思い込んでしまう。
    貞操観念が無いと、結局自分を安くしてしまう。
    固すぎるのもどうかと思うけれど。
    人と人との関係の薄さが、リアルだった。
    まさしく交叉点。
    人生が交わるのは一瞬だ。

    「ツンバ売りのお鈴」
    え、掏られたのに、そんなにあっさり許してしまうの?
    それは、一種の見栄か?
    私には理解ができない。
    馬鹿にされてるだけのように思える。
    私には、そんなに魅力のある女性にも思えなかったし。

    「金色の鼻」
    ん?
    未練の話か?
    決定的な別れの理由などないけれど、惰性で続けた結婚生活を終わらせることとなった男の、うじうじ感がある。
    確かに、こういう時、女はすぱっと線引きができる気がする。
    続けている間にうじうじするのが女で、終わりを迎えてうじうじするのが男な気がする。
    まあなんにしろ、頼りないとりとめない男のように思える。
    まあ、せいぜい金色の鼻でもなぜ回しておればいい。
    なぜか、そんな風に突き放したくなるような読後感が残った。

  • 丹羽文雄『交叉点』
    舟橋聖一『ツンバ売りのお鈴』
    古山高麗雄『金色の鼻』

  • 戦争が終わった頃の二編の話が、明治期ころの一遍をサンドイッチしている。男目線での情愛が絡んだ話。

    丹羽文雄『交叉点』、男と女の成り行きは、平行に走っていた道が不意にクロスする交差点のようなもの、実際そんな感慨に浸ったこともある。ふとしたきっかけから女が男に、また、男が女にはまる場面がさらりと描かれている。
    舟橋聖一『ツンバ売りのお鈴』、カンヅメした旅館の女中から身を落とした女と作家の話。女性がこれくらいしたたかで明るいと、気にかけても後味が悪くはない。
    古山高麗雄『金色の鼻』、20年連れ添った夫婦が別れの届けを出すときに、男が同じ会社にいた支店長と事務員だった二人のなれそめから結婚生活を回想するような話。男と女の覚えていることは、全然別のことであるような気がする。男は幻想を見がちで、女はこれからのことが第一のよう。女は過去を振り返らない。
    いまなら、テレビドラマで描かれそうな話。当時は小説がこんな心情を描いていたのだ。実際に体験したような気になる。若い読者がこれを読むのも社会勉強の一種に成りうるか。

  • 和図書 908/H99/60
    資料ID 2010200736

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