(061)俤 (百年文庫 61)

  • ポプラ社
3.13
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本棚登録 : 40
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121498

作品紹介・あらすじ

「町っ子と遊んではいけません」-気の弱いお屋敷の子が、秘かに心を震わせた恋の結末は(水上瀧太郎『山の手の子』)。意のままにならない恋をパリに残し、イタリア旅行に出かけた私。水の娘・オクタヴィに語る、宿命と幻影に彩られた情熱の物語(ネルヴァル『オクタヴィ』)。「よその伯父さんが連れに来たんだ。」-別れのことばもないまま、不意に姿を消してしまったお藤さん。瀬戸内の情景と淡い恋心が眩しい、鈴木三重吉の文壇デビュー作(『千鳥』)。過ぎし日の、はかなくも美しき追想の世界。

感想・レビュー・書評

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  • 『千鳥』タイトルの意味が最後にわかる、にくい構成。75/100

  • 「山の手の子」
    なんだか自由なおぼっちゃんだな、と思った(笑)
    この子にとって、お鶴は、初恋みたいな存在なのだな。
    それは、妖艶で、現実とは違う場所の人、なんだな。
    だからこそ、一層忘れがたい。
    一生、再会できない方がいいと思う。

    「オクタヴィ」
    ん?
    なんだかよくわからんなあ。
    何を気どっているのだ?
    フランスか??
    と、思ったら、やはりフランス文学だった。

    「千鳥」
    幻想的。
    でも、この話もやはり気どりすぎのように思う。
    永遠の憧れの少女。
    現実で汚したくない、乱されたくない、という思いが強いのだろう。
    ナイーブだな。

  • 水上瀧太郎『山の手の子』
    ネルヴァル『オクタヴィ』
    鈴木三重吉『千鳥』

  • 「はしご」だと思ってた。「おもかげ」とはなんぞや。

    ・水上瀧太郎「山の手の子」○
    お屋敷の子にうまれ、下町っこと遊べない悲哀など。
    好きな娘が芸者になって遠くへ行っちゃう系の話は、いつも切なくなる。

    ・ネルヴァル「オクタヴィ」×
    自制がつかみにくいな、などと思いながらすっ飛ばしてまるで意味わからんまま読んだけど、解説見てシュールレアリスムだったか、と。そうならそうとはじめから言ってほしい。

    ・鈴木重吉「千鳥」○
    下宿系はわりと好きだ。そういえば今はあまり見られない文化だし。
    ふと気になって、そして瞬く間にどこかへ行ってしまった藤さんという女性のおもかげを追って。

  • 思い返すたびに、胸の中に切なさと温かさが広がる…
    多くの人が持っている"あの日"を彷彿とさせる3篇の物語。

    お屋敷の少年が下町のお姉さんへ抱く、憧れに近い恋心。
    逗留先の島で、束の間のときを共に過ごし、別れの言葉もなく去って行った女性。
    思い出はその人の中に閉じ込められ、色褪せることなくいつまでも美しい。

    やはり、フランスの作家さんはあまり得意ではないようです…
    読後も「…う~ん?」となってしまいました。

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    ◆収録作品◆ 
    水上 瀧太郎 『山の手の子』
    ネルヴァル 『オクタヴィ』
    鈴木 三重吉 『千鳥』
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著者プロフィール

1887生まれ-1940年没。明治20年、明治生命保険株式会社創設者の4男として東京に生れる。本名:阿部章蔵。慶應義塾大学理財科卒業後、父の命でハーヴァード大学留学。帰朝後、明治生命保険株式会社入社。その後、実業家と文学者・三田文学編集者の草鞋を履き続ける。『大阪』『大阪の宿』などが代表作。

「2010年 『貝殻追放』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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