- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121528
作品紹介・あらすじ
養子として迎え入れた少年は、やがて妻の命を奪い、自らの人生を破壊するおそるべき存在となった。悪意の連鎖を描いた物語(クライスト『拾い子』)。刑の執行を前に、死刑囚にある試みを依頼した医者。科学への無軌道な信奉がもたらした悲劇とは(リラダン『断頭台の秘密』)。世にも妙なる歌声を牢獄に響かせるのは、有罪確実の凶悪殺人犯。声に魅せられた人々が勝ちとった男の無実と、その代償(フーフ『歌手』)。偽善と欲望のうずまく生と、究極の終焉に直面した者たちのドラマ。
感想・レビュー・書評
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刑死という極限状態を扱った三篇。『断頭台の秘密』は事実に取材したものと思われるが、なかなかに壮絶な状況ではある。74/100
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初めて全員知らない、全員海外作者の巻。
あらすじだけで選んでみたのだけれど、うーむむむ。
クライストの拾い子に好き勝手されて怒り心頭な主人公の話は、最後の恨み骨髄な激怒が非常に劇的なんだけど、そもそも最初から拾うの?育てるの?マジ?だったと思うので自業自得なのでは……
リラダンのはギロチン間近の死刑囚の話だということはタイトルからもわかってたのだけど、なかなか描写が生々しい話だった。
フーフのも前半は獄中。
中盤は裁判、後半は追放、と劇場定番揃い踏み。
そのせいかこれで全体の半分ページ使ってます。
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
初出 / 『集英社ギャラリー[世界の文学]10ドイツ1』(集英社)、『現代の世界文学フランス短篇24』(集英社)、『世界短篇文学全集4』(集英社) -
「拾い子」
他人は他人ということか。
まあ、親子であっても、確執は多いだろうけれど。
浅はかな復讐が失敗に終わってからの展開は、まさに激流の勢いで描かれている。
詳しい描写がないのに、登場人物たちの激情を思わせるから、おもしろい表現の仕方だと思った。
確かに、「劇」にしたら面白そうな話だ。
「断頭台の秘密」
文体は硬いけれど、けっこうしょうもないやりとりだ、と思った。
科学の進歩の陰には、こういった好奇心や実験が数限りなくあったのだ。
全部関西弁にして書き直したら、滑稽な感じに仕上がるだろうな。
「歌手」
粗野で野蛮だが、素晴らしい歌声の男。
天使の声を持った堕天使。
天使ケルビムを救うこと能わず、悪魔の誘惑に魅せられた結果は、まあ、当然のことでしょうね。 -
ストーリー展開のはやい短編小説が好きなので借りてみたがそんなにおもしろくなかった 原作に忠実なのかそうでないのかわからないが訳にクセがあって読みづらい
クライスト『拾い子』
リラダン『断頭台の秘密』
フーフ『歌手』 -
クライスト『拾い子』
リラダン『断頭台の秘密』
フーフ『歌手』 -
戯曲ではなく劇的なるもの。
罪と欲望が描き出すシナリオを牢獄や処刑場を劇場として演じる。
甘美なる物とおぞましいものとが混在し読者は一観客となる。
解説は作者についてのみ、新書サイズで薄く読みやすい。
中表紙の絵?が象徴的だが、どう解釈すべき?
(左に太陽のようなアイコンでクライスト、線で繋がって
下にリラダン、また線で星のようなフーフへ)
他の文庫も読めば分かるだろうか。