- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121610
作品紹介・あらすじ
目が見えぬ妹の世話で自分を構ってくれぬ母に、健はご機嫌ななめ。親子の情愛にほのぼのと心温まる、壺井栄『大根の葉』。「一大事!家内が産の気が附いたようだという」-産婆の言うがまま、唸る産婦にたじろぎながらただ待つしかない男親。小さき者への愛情が見事に描かれた、二葉亭四迷『出産』。越してきた僻村で子供が病気に。背負ったわが子に懸命の声をかけ、「私」は峠の向こうの診療所へひた走る(葉山嘉樹『子を護る』)。子を思う親の心、親を思う子の心、いつの世も変わらぬ無償の愛。
感想・レビュー・書評
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H24*12*22*Sat 読了
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百年文庫 一冊目
--あらすじ--
子
目が見えぬ妹の世話で自分を構ってくれぬ母に、健はご機嫌ななめ。
親子の情愛にほのぼとの心温まる、壺井栄『大根の葉』。
「一大事!家内が産の気が附いたようだという」ーー産婆の言うがまま、唸る産婦にたじろぎながらただ待つしかない男親。
小さき者への愛情が見事に描かれた、二葉亭四迷『出産』。
越してきた僻村で子供が病気に。
背負ったわが子に懸命の声をかけ、「私」は峠の向こうの診療所へひた走る(葉山嘉樹『子を護る』)。
子を思う親の心、親を思うこの心、いつの世も変わらぬ無償の愛。
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大根の葉 / 壺井 栄
子供の頃は誰しもがあるだろう、
親甘えがある時間を軸に描かれていて、
こんな子どもおるよなーって思いながら読んでいたり。
お母さんと妹が出かけるのに自分だけ置いてけぼりで駄々をこねたり、
大根の葉 と言われた(馬鹿にされた)子が、
おばあちゃんのところに逃げ込んだりとか、
ありえるわ。って事を文にされてて面白かったなぁ。
出産 / 二葉亭四迷
とっても短かったけど、
嫁さんが産気づいてから産まれるまでが男の人目線で描かれてた。
自分は意外と好きな感じ。
自分は男じゃないし、出産もまだだけど、男親ってこんな感じなのかな?って思えたり。
まぁこの明治末期?くらいと現代じゃだいぶ考え方は違うだろうけど、
最後の方が特に好き。
子を護る / 葉山嘉樹
主人公が語り手となってるため、
心情の描写とか考え方とかおもしろかった。
ややこしいったらややこしい。
でも、遠いところ往診にくる医者や食事を恵んでくれる村人への感謝と、
自分の不甲斐なさを読んでると、
今でも変わらんのぉと思ったり思わなかったり。
End.
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壺井栄、方言での母子の会話や仕草の描写が心をとらえる。
二葉亭はエッセイのような読み物だが、オチが笑わせる。59/100 -
「大根の葉」
映画を読んでいるような気分がした。
健の思いも、母の思いも、それを見守り支える周囲の人たちの気持ちや考えも、切ないほど感じた。
壺井栄、素晴らしいなぁ。
大根の葉は、辛いね。
でも、滋味深い、ね。
「出産」
読みやすいし、なんて面白いのだろう、と、笑って読んだ。
妻の初めての出産に、慌て驚きソワソワする様子が、微笑ましい。
最後の疑問の部分は、私もずっとそう感じている。
子供を産んで、育ててきた今も、心のどこかにこの疑問を持っている。
子供のために産んだのではない。
私の幸せのために、私のエゴで産んだのだ。
だから、精いっぱい子供を幸せにしてあげたい。
それが、子供に対するお返しであり、礼儀であり、義務である、と、私は思っている。
「子を護る」
田舎での生きづらい生活が感じられた。
「苦しさ」が、じわじわとにじみ出ているような作品だった。
時代背景についてより詳しい知識があれば、また違った感覚で読めるのかもしれない。
子を護りたい、未来を護りたい。
しかし、その方法は手探りで、己の力を確信できない。
そんな心の苦しみや、閉塞感も感じることができた。 -
壺井 栄『大根の葉』
二葉亭四迷『出産』
葉山嘉樹『子を護る』 -
四迷のが読みたくて借りたのだけど他二篇も良かった。特に壺井栄の方は、おかあさんの子どもへのものの教え方に涙が出た。
世界のお父さんに読んで欲しいのが四迷の『出産』。普遍的だけど、普遍的なものを読めるように書くって本当に難しいのに、書けるのがすごい。彼らしくもない(かは定かではないけれども)慌てぶりと克明な描写は読み返したらそのときのことを写真みた様に思い出せるんだろう。と思ったところで最後の一文を思い出した。やっぱりすごいこの人。
最近子どもを見ている話が本当に好き。児童文学に限らず、子どもを書いたお話は優しいし易しい。
易しいのに深いのがいいなあ。 -
壺井栄「大根の葉」、母が目の手術を控えた妹を連れて病院に行く間、祖母に預けられた健をめぐる子供の世界。おばあさんと健のやりとりがあざやかに描かれている。昭和初期の話。
二葉亭四迷「出産」、奥さんが産気づいて産婆さんを連れて帰る短い話。男親の子供に対する微妙な気持ちを吐露している。明治末期の話。
葉山嘉樹「子を護る」、山間の農村部に住む作家が、熱を出した子を背負って医者に行く、また別の日に往診を頼むなかで、医師の人生を聞き取り、思いを馳せる。昭和初期の話。