船 (百年文庫 74)

  • ポプラ社 (2015年1月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (186ページ) / ISBN・EAN: 9784591121627

みんなの感想まとめ

多様な人間模様と極限状況を描く作品群が、読者を魅了します。徳田秋声の「夜航船」では、狭い船内での人間関係が厳しい描写を通じて、容姿や内面の真実が浮かび上がります。野上弥生子の「海神丸」では、遭難を通じ...

感想・レビュー・書評

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  • 濃い海老茶色の海水パンツ姿で気晴らしに漁船に乗せてもらったところ不漁続きのその船が大漁になったことから縁起かつぎとして漁船に乗ることになった中学校の教師の話『赤いパンツ』。
    乗れば大漁が続く不思議な状況の中、それを信じない近所の漁師の雷どんも家族に言われて先生を船に乗せることに。
    船の上での先生の心情と段々上がるテンション、鰹がどんどんかかる様子が面白かったです。
    最後は運を使い果たしてしまったオチも良かったです。

    親切が仇となってしまう『夜航船』。
    品の無い老婆と娘にピンを盗まれても「ピンぐらいで人を騒がすものでない」と諦められる大人の主人公の違いに年齢は関係の無い器の大きさを見た気がします。

    漂流下での飢餓の恐ろしさを書いた『龍神丸』。
    八蔵の粗暴さ、五郎助の弱さの犠牲になった三吉が哀れです。
    飢えの前に人はこうも簡単に理性を失えるのか…と呆然としました。
    船長の冷静な判断力や自制心が二人と対照的です。
    信仰する金毘羅様からのお告げで救助を得るあたり、実話が元とのことですがどこまでが実際の出来事だったのだろうと思います。
    巻末の『人と作品』に後日談が書かれたとあるのでそちらも読んでみたいです。

  • 徳田秋声、今だとツイッターのネタになりそうな話。野上弥生子の海王丸、実話に取材したルポルタージュ風の作品。64/100

  • 海・船つながり。海神丸の話がすごかった。

  • 近藤啓太郎「赤いパンツ」大漁の験担ぎのため赤いパンツを履いて漁に帯同することになった画家の話。赤みの濃い海老茶のの海水パンツである。寓話めいている。

    徳田秋声「夜航船」狭い船に乗り合わせた男と少々卑しい母と娘たちの道行き。人を見る目、とりわけ容姿に関する描写が厳しい。

    野上弥生子「海神丸」船長、その甥三吉、頭が弱いが気のいい五郎助、隣村から駆り出された八蔵で漁に出るも悪天候により遭難。50日以上に渡る航海で次第に疲弊していきやがてある事件が起こる…。
    最初は読みづらかったが後半に行くにつれヒリヒリとした感情と人間の愚かさ優しさなどに惹きつけられた。

  • 「赤いパンツ」
    読み易く面白かった。
    不思議な赤いパンツ。
    とうとう、現実主義の頑固おやじにもそのパンツにすがることになったんだね。
    運に対する不運におびえる心が、うまく描かれていたと思う。
    それを防いで、使い果たしてしまったんだね。


    「夜航船」
    下卑た人はやはり中身も下卑ているのか。
    ひとの中身は、外に表れるのか。
    親切心があだになるわけだが、ピンくらい、と思える余裕のある気持ちと冷静な視線が、ざわざわした船内をうまく描いている。

    「海神丸」
    極限に追い詰められた男たちの状態が恐ろしかった。
    理性と感覚が狂ってゆく。
    こういう極限の状態には、元々の人間性がむき出しになるのだな。
    猛々しく粗野な人間、愚かな人間。
    船長が船長である所以がよくわかる。
    五郎助の死に方が、なんというか、残念だというか。
    馬鹿は軽薄に死んでゆくのか。

  • 近藤啓太郎『赤いパンツ』
    徳田秋声『夜航船』
    野上弥生子『海神丸』

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