- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591121627
感想・レビュー・書評
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徳田秋声、今だとツイッターのネタになりそうな話。野上弥生子の海王丸、実話に取材したルポルタージュ風の作品。64/100
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海・船つながり。海神丸の話がすごかった。
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近藤啓太郎「赤いパンツ」大漁の験担ぎのため赤いパンツを履いて漁に帯同することになった画家の話。赤みの濃い海老茶のの海水パンツである。寓話めいている。
徳田秋声「夜航船」狭い船に乗り合わせた男と少々卑しい母と娘たちの道行き。人を見る目、とりわけ容姿に関する描写が厳しい。
野上弥生子「海神丸」船長、その甥三吉、頭が弱いが気のいい五郎助、隣村から駆り出された八蔵で漁に出るも悪天候により遭難。50日以上に渡る航海で次第に疲弊していきやがてある事件が起こる…。
最初は読みづらかったが後半に行くにつれヒリヒリとした感情と人間の愚かさ優しさなどに惹きつけられた。 -
「赤いパンツ」
読み易く面白かった。
不思議な赤いパンツ。
とうとう、現実主義の頑固おやじにもそのパンツにすがることになったんだね。
運に対する不運におびえる心が、うまく描かれていたと思う。
それを防いで、使い果たしてしまったんだね。
「夜航船」
下卑た人はやはり中身も下卑ているのか。
ひとの中身は、外に表れるのか。
親切心があだになるわけだが、ピンくらい、と思える余裕のある気持ちと冷静な視線が、ざわざわした船内をうまく描いている。
「海神丸」
極限に追い詰められた男たちの状態が恐ろしかった。
理性と感覚が狂ってゆく。
こういう極限の状態には、元々の人間性がむき出しになるのだな。
猛々しく粗野な人間、愚かな人間。
船長が船長である所以がよくわかる。
五郎助の死に方が、なんというか、残念だというか。
馬鹿は軽薄に死んでゆくのか。 -
近藤啓太郎『赤いパンツ』
徳田秋声『夜航船』
野上弥生子『海神丸』