朴 (百年文庫)

  • ポプラ社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121795

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  • 「耳かき抄」
    妻とのやりとりなど、おかしい。
    思わず笑ってしまう。
    どうということもない日常の描写の様で、その中には不可解さや滑稽さが潜んでいる。
    それが、物語の核となり、優しく明るい熱を発している。
    そんな風に感じた。
    どうこういう話ではない、かもしれない。
    しかし、人間の生活を愛おしみたくなるような、心が和むような、素直さを感じる言葉運びだった。

    「嘘」
    少し前に、青空文庫で読んだ作品。
    その時は、嘘をついてしまう太郎左衛門に注目して読んだ。
    今回は、彼を見つめる久助の視線と心の揺れ、観察力、真っ直ぐな心にひかれた。
    嘘を言う太郎左衛門すら、ありのまま理解しようとする視線。
    そして、その立場から太郎左衛門を見ると、確かに彼はわけのわからぬ奴だけれど、全くの嘘つきでは無いのではないか、と思えるような気分になってくる。
    太郎左衛門はなぜだか嘘をつく。
    しかし、そこにはなにか、彼なりの真実があるのかもしれない、と思えるような、「悪」と決めつけきれない、割り切れない思いがするのだ。
    少なくとも、彼の言葉の一部分には、なにかしらの真実なり思いなりがあるのかもしれない、という、捉えられなさからくる、久助の不安と混乱を感じる。
    だからこそ、久助が最後にたどり着いた真実は、この先、久助自身を大きく豊かに成長させる糧となるのだろう。
    今回は、そんなふうに読めた。

    「南方郵信」
    村の人々の、素朴な生活。
    それぞれのキャラクターが融合した世界。
    それぞれの居場所がある世界。
    最後に広がる村の景色は、そこに住むすべての人々とその営みを受け入れて、穏やかに続いていく、時の流れを思わせる。
    本当に人に必要なものは、実はとてもシンプルなのだろう。
    そういう思いがわきあがった。

  • 木山捷平『耳かき抄』
    新美南吉『嘘』
    中村地平『南方郵信』

  • 木山捷平つながりで、中村地平を読む。

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著者プロフィール

木山捷平(1904.3.26~1968.8.23) 小説家。岡山県生まれ。1929年、詩集『野』を自費出版。33年、太宰治等と「海豹」創刊。34年、「青い花」同人。39年、最初の作品集『抑制の日』を刊行。44年、満州国農地開発公社嘱託として長春に赴き、45年8月、現地で応召。敗戦後長春で難民となる。この間の経緯は『耳学問』『大陸の細道』(芸術選奨)『長春五馬路』等に書かれる。96年、木山捷平文学賞創設。著書は他に『苦いお茶』『茶の木』『去年今年』『木山捷平全集』全8巻(講談社)など。

「2016年 『酔いざめ日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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