泪 (百年文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 34
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121801

感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫92 どの物語もみな静かな雰囲気。3編みな鼻の奥がじーん…とした。

    深沢七郎 「おくま嘘歌」 ☆4つ
    働き者で実直なおくま(ツバ)という女の一生。ただただひたむきに、日々コツコツと体を動かす。最後の最後まで家族や周囲に気をつかい、優しい嘘をつく、おくま。その健気な姿が目に浮かぶようで…涙が出そうになった。


    島尾ミホ 「洗骨」 ☆3つ
    たぶん奄美大島の風習なんだろう。亡くなった人の骨を皆で洗い清める。「トゥモチ」(集落あげての「遊びの日」)なので、ごちそうを食べ歌い、踊り、死者を想う。この儀式でさえも内地者や癩病人だけを葬る墓と区別され、死してもなお墓まで分けられるという切なさ。だけどこの作品の最後は非常に美しく、生も死も区別なく踊り霊魂との別れを惜しむ、その描写にしびれた。奄美の言葉がまた美しく素晴らしかった。(島尾敏雄の奥様)


    色川武大 「連笑」 ☆3つ
    「狂人日記」ですっかりファンになった。この話もまた切なく、繊細な話でした。不器用で集団からはみ出し、家族もバラバラになりがちな中、兄は幼い弟を自分の世界に引きずり込む。血を分けた兄弟だけど、違う人生、違う道、まとまりたいけどバラバラな家族。…切ない。本当に不器用過ぎて涙が出そうになった。「狂人日記」もよかったけど、この「連笑」もよかった。兄につられて弟も笑うシーンがあったタイトルはそこから来ているのだろう。けど賭け事が好きな兄、そして作者。「連笑」には「連勝」も含まれているのかもしれない。

  • 深沢七郎の「おくま嘘歌」は良かった。
    嘘とは言うが、相手を慮ってのことで思いやりでもある。
    それを深沢七郎が掬いあげる。

  • 三篇それぞれに趣の違う感慨が胸におこる。「おくま」は昔唄のよう、「洗骨」は絵画のよう、そして「連笑」は独り寝の夜に眠れず紡ぎ出された思念のよう。思う者に真っ直ぐに語れない愛情のいとしさにため息が出る。

  • 深沢七郎『おくま嘘歌』
    島尾ミホ『洗骨』
    色川武大『連笑』

  • 兄弟関係、親子関係。ちょっと考えさせられました。

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著者プロフィール

大正三年(一九一四)、山梨県に生まれる。旧制日川中学校を卒業。中学生のころからギターに熱中、のちにリサイタルをしばしば開いた。昭和三十一年、「楢山節考」で第一回中央公論新人賞を受賞。『中央公論』三十五年十二月号に発表した「風流夢譚」により翌年二月、事件が起こり、以後、放浪生活に入った。四十年、埼玉県にラブミー農場を、四十六年、東京下町に今川焼屋を、五十一年には団子屋を開業して話題となる。五十六年『みちのくの人形たち』により谷崎潤一郎賞を受賞。他に『笛吹川』『甲州子守唄』『庶民烈伝』など著書多数。六十二年(一九八七)八月没。

「2018年 『書かなければよかったのに日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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