(094)銀 (百年文庫)

  • ポプラ社
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本棚登録 : 31
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121825

感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫94

    冬で雪なので白銀の「銀」だなぁ…ということで、今年初の百年文庫を読んでみた。金に対しての銀。太陽に対しての月とも似ている存在感。金閣寺よりも銀閣寺がいいし、金貨よりも銀貨に憧れた子供時代。なぜか3編とも海が関係していて、とても面白かった。

    堀田善衞 「鶴のいた庭」 星5
    船がまだ〈和船〉だった頃のお話。帆しかなく着岸は人力と風任せ。望楼に上がり遠眼鏡で帆についている標識を見定めて、船の帰還を声高らかに発すると、死んでいた町が活気づき、船乗りの男たちのために町が、女が動き出す。読んでいてすごく活気を感じた。敵意を持った冬の日本海。その荒波を越えて男たちが帰ってくる。海の恵みは陸や人々に幸をもたらす。
    時代が変わり、〈和船〉から〈だるま船〉になり、運ぶものも米、昆布から、石炭、セメントに変わり、時が移りかわっていく。大正時代のお話でしたが、色々なことを知ることが出来て興味深かった。
    廻船問屋の建物の構造の説明を読んでいて、つい龍馬伝を思い出してしまいました。


    小山いと子 「石段」 星5
    楽しみにしていた旅なのに、変な男と宿が一緒になってしまい、旅が台無しに…。下品で卑しい男には二人の子供が一緒で、妻らしき女の姿は見当たらない。
    私がせっかく海の魚たちとの饗宴を独り占めして楽しんでいたのに、いきなり梨の食い残しが飛んできて、すべてを台無しにされてしまった。厚顔無恥な男には、品のよい顔立ちをした子(姉弟)がいて、父の振る舞いを恥じて小さくなっている…。そんな旅の終わりごろに男がとった行動に、なぜか心を奪われそうになってしまいそうになるのは、情なのか恋なのか…。
    文章が美しくてすらすら読めた。女心が手に取るようにわかり共感した。あと浅瀬の描写がものすごくきれい。面白かった。


    川崎長太郎 「兄の立場」 星3
    震災の直後で小田原は焼けトタンの原っぱになってしまい、箱根の旅館も全部だめになってしまい、温泉宿に魚を卸して生活をしていた一家の暮らしはめちゃくちゃになってしまった。母は癇癪を起こし、父は弟をぶん殴り、弟は背骨をふるわせて泣き伏す。これだけでもどん底なところに「役立たずの長男」というレッテルが貼られてと取り付く島もない。ほとんど生い立ちに近いんだろうなぁ…と検索しながら読みました。いまいち入り込めなかった。
    「海」や「鶴」が共通していて驚いてしまった。

    百年文庫は文字も大きいし読みやすい。シンプルでセンスがいいなぁ…とページをめくるたびにそう感じる。次は『灰』を読むよ。

    • まっきーさん
      地球っこさん、はじめまして。こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      百年文庫センスがよくっていいですよね。
      時々、無性に読みたく...
      地球っこさん、はじめまして。こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      百年文庫センスがよくっていいですよね。
      時々、無性に読みたくなってしまいます。
      『憧』も、いつも気なっていて、けどまだ読んでいないので
      地球っこさんのレビューを楽しみにしております。

      地球っこさんの本棚の 『新鋭短歌シリーズ』のレビューが、いつも素敵で私も読んでみたいと、思っていました。
      『パン屋のパンセ』も、気になっています。
      読みたい本ばかり増えていって、ホント困ってしまいますね(^^)


      2019/01/07
    • 地球っこさん
      まっき~♪さん、お返事ありがとうござ
      います。
      『パン屋のパンセ』は、ぜひぜひ!
      この歌集は、他のブク友さんからも好感
      度大!でした...
      まっき~♪さん、お返事ありがとうござ
      います。
      『パン屋のパンセ』は、ぜひぜひ!
      この歌集は、他のブク友さんからも好感
      度大!でした。
      きっと、まっき~♪さんにも気に入って
      もらえると思います(*'▽'*)
      2019/01/07
    • まっきーさん
      地球っ子さん、こちらこそ
      いろいろ教えていただきましてありがとうございます。
      『パン屋のパンセ』何とかして探してみようと思います。
      と...
      地球っ子さん、こちらこそ
      いろいろ教えていただきましてありがとうございます。
      『パン屋のパンセ』何とかして探してみようと思います。
      とても楽しみです(^^)
      2019/01/07
  •  堀田善衛の小説が読みたくて、でも手頃なのがこれしかありませんでした。実家は廻船問屋だそうで、戦前の豪商の暮らしぶりが少し見れました。食客を住まわせる離れがある、って凄いですね。こういう所に山下清とかが逗留したり、宿代の代わりに書いた掛け軸が「なんでも鑑定団」で鑑定されたりするのでしょう。
     堀田の自宅が火事にならないで、この続きを読んでみたかったです。

  • 堀田善衞『鶴のいた庭』
    小山いと子『石段』
    川崎長太郎『兄の立場』

  • ・堀田善衛「鶴のいた庭」×
    飛行機の銀か。もはや記憶になし。

    ・小山いと子「石段」△
    びっこの父親とかったるい姉弟と旅行中なにかといっしょになってしまって、あーかったるという話。なんとなく不気味な雰囲気に満ちているのに、最後に美談になるのにはしらける。

    ・川崎長太郎「兄の立場」△
    いかにも私小説ったるい。実家の魚屋を継ぐのが嫌で飛び出した兄が、小説で身を立てながら、弟にも大学に通わせてあげたい、絵を描かせてあげたいと思い両親と対立するが、ぼかぁーほんとに口だけだなぁーという話。

  • 堀田善衛「鶴のいた庭」。廻船問屋として栄えた生家の曾祖父の晩年のすがたに、時代の激変のなかで落ちてゆく旧家の歴史を思う。和船が蒸気船に変わり、港を見張る遠見望楼の重要度が低くなった当時の状況が描かれている。作家の生家を描く長編小説の序章として書かれたが、資料焼失のため未完に終わったのは惜しまれる。

    小山いと子「石段」。佐渡を旅した女性が、ふたり姉弟を連れた男と行く先々で一緒になり、最初は好ましく思えなかった男とその子供たちが気にかかるようになる。作家は、読売新聞の人生案内の回答者を20年に亘ってつとめたとのこと。

    川崎長太郎「兄の立場」。関東大震災直後、小田原を離れて文筆で整形を立てつつある兄が、魚屋を継ぐ弟を不憫に思う。不景気ということもあり、志あるものすべてが自由に生きられなかった時代の、若者の将来を思う気持ちは、いまの世相に通ずる。
    自由の尊さを感じる。

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