純 (百年文庫 96)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591121849

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  • 誇り高きその翼でどこまでも飛んでゆけ

    百年文庫10冊目は「純」

    収録は
    武者小路実篤「馬鹿一」
    高村光太郎「山の雪」
    宇野千代「八重山の雪」

    こちらもいずれも初読。宇野千代は作品を読むのも初めて。

    日本文学の中で見ると、武者小路実篤の作品は本当に独特だ。「馬鹿一」は読んでみたいと思っていたところだったので、収録されていて嬉しかった。読んでいるといろんなことがどうでもよくなる。

    「八重山の雪」は英国兵と日本の娘の駆け落ち話。現代ではありえないシチュエーションなのでやはり新鮮に思える。実話をもとにしている、という話だがジョージさんはその後どうなったのだろう。

  • この百年文庫には「純」があり、また「朴」がある。宇野千代『八重山の雪』は主人公よりもむしろ父親や親戚など周りの人々の心模様に心打たれる。77/100

  • 「馬鹿一」
    読み進むにつれ、馬鹿一の達観した生きざまと聖人ぶりが輝いてくる。
    馬鹿一は馬鹿なのではない。
    自分の世界を持ち、それを強固に守っている。
    他者の目を意識せず、真っ直ぐ、自分の真実を大切にして生きている。
    馬鹿に見えるほど、穢れのない純粋さを体現してのびのびと生きている。
    だから、人は彼にちょっかいをかけたくなるのだ。
    馬鹿一の言葉が、笑っている人の心の隅に残っている。
    彼らは、本気で笑っているのではないように感じる。
    どこか痛みを含んだような笑いのように、私には感じられる。

    「山の雪」
    純白の世界に生きる命の息遣いを感じる。
    白く静かなせかいだからこそ、その約動画クリアになる。
    素朴でシンプルで静かな生活。

    「八重山の雪」
    強く美しい純愛だ。
    それでも、逃げ切れないし、戻れない。
    夢を追ってはみたけれど、結局は現実にからめとられていく。
    最後のジョージの姿は、その心を表していると思った。
    良い人間だ。
    しかし、弱い人間でもあった。

  • 宝物のような、本。

  • 武者小路実篤『馬鹿一』
    高村光太郎『山の雪』
    宇野千代『八重山の雪』

  • 誰からも評価されない草や石の画や詩を作り周りから馬鹿にされ馬鹿一と呼ばれる男。悪口を言われてもニコニコし本当に馬鹿な事を周りが気付かせようとする問答で自然を愛し愛されているという揺るぎない信念を持つ武者小路実篤『馬鹿一』、しんしんと降り積もる雪の情景が眼前に浮かぶ高村光太郎『山の雪』、敗戦後に上陸した英国兵と逐電したはる子。駆け落ちから連れ戻された家にひたむきな彼は休みの度訪れる。ある日軍を脱走した彼とはる子と子供が住まう隠れ家が見つかりささやかな幸せが終わる切ない物語宇野千代『八重山の雪』の3篇を収録。

  • 『馬鹿一』 武者小路実篤

    『山の雪』 高村光太郎

    『八重山の雪』 宇野千代

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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