わたしが芸術について語るなら

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591122723

感想・レビュー・書評

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  • 子供向けの自己啓発本を大人向けに整えた本書。好きな事が見つからない子供には良さそう。

    個人的には、千住博さんの有名な作品「フラットウォーター」や「ウォーターフォール」のハワイ島での制作裏話の方が興味深かった。天才の当たり前が、いかに常人と違うかを知りたい。

  • 平成28年11月の特集「アートの本」

  • 日本画家である千住博さんの芸術についての考えを、低年齢向けにやさしく書いた本。

    出だしはあまりに自分の考えと一致していて、え? こりゃいやだな困ったな。と思うほどだったのですが、読み進めるうちにここはちょっと納得できないな、と思うところもだんだん出てきて、ほっとしました。

    個性は出そうとして出すものではない、というのはもっともなのですが、だって。グレーやオレンジの皮膚の色、なんとなく面白そうじゃない? 自分の絵だからなんでも描いていいんだし、ちょっとやってみよう。それから考えよう。という欲求が出る人には出るものだと思われ、また、そういう作品によって気持ちが解放される人もいるものなので、一概に否定するのはどうなのかなと。
    効率を重視してそういう理屈じゃない個人の好奇心やら衝動やらを認めてなさそうな点と、現実的な生活やどうしても現れる悩みへの対処にやけに楽天的なところは、納得できませんでした。

    それでも考えだしたらわけがわからなくなる「芸術」というものについて著者の考えをやさしく整理してくれていて、無自覚に権威にひれ伏して教え諭すみたいな本よりかは、相当良い本だと思います。

  • 「美」とは「五感で感じる、生きていくことにかかわる感性のこと。」
    「きれい」ということは「片付ける」と言う意味。

    なぜ日本画か?
     日本画の絵の具がきらきら美しかった。
     化粧、コスメティックの語源、コスモス=宇宙。
     日本画の絵の具は、太古の昔の人が天然の石や粉を身体に塗ったのと同様な天然の粉。
     それを天然の接着剤「にかわ」で天然の和紙に定着させる。オールナチュラル。

    「ウォーターフォール」
     ハワイ島でヘリコプターに乗って、スケッチをしていた。
     眼下のボス鹿の堂々とした迫力、存在感、生命感の美。
     これがうまく描けず、思い出したのが、その前にあった滝。
     滝を描くことで表現できないかと、試行錯誤し、
     苦肉の策で「上から下へと絵の具を流してみよう」と。


    きれいな絵を描こうと思ったらだめ、美しい絵を描こう。

    美は混沌にある。そこに秩序を見つけ出すときに美が発見される。
    宇宙自体が秩序ある混沌なのだから。

    失敗しても続ける。その秘訣。
    「あなたの人生はあなたが主役なのだ」ということ。

    聞く心と信じる心。
     絵にはガラスをはめない。「人は絵を傷つけない」と信じているから。
     それは相手にも伝わる。

    芸術とは、
     「美」という、生きていく喜びを鍵穴にして、
     自分の気持ちを何とか伝えようとすること。
     仲良くやる知恵。


    書籍「未来のおとなへ語る わたしが芸術について語るなら」の再編集版。

  • 写真を趣味にしていることもあって、「芸術って何なのだろう」「なぜ、”美しい”と感じるのだろう」と思うことがあります。
    魚が自分の体をカラフルな色にして異性にアピールしている姿を見ると、「魚も”美”を感じるのだろうか」「じゃあ、プランクトンはどうなのだろう」などと考えてしまうこともあります。
    そんな僕の疑問に答えてくれそうな題名の本を見つけたので、さっそく手に取ってみることにしました。
    著者は日本画家。
    僕は初めて知りましたが、世界で活躍している、高名な方のようですね。
    もともとは10代向けに書かれた本のようで、語り口調で、専門的な言葉を使わずに書かれています。
    しかし、書かれていることは哲学的な内容だなと、感じました。
    芸術を制作する際の技術的な話はほとんどなく、「芸術とはなんだろう」という問いに、角度を変えて繰り返し、説明してくれています。
    この本を読むまでは、「わかりあう、理解しあう」ということと芸術が、結びつくとは考えていなかったので、僕には「目から鱗」の内容でした。
    僕はこれまで、芸術論に関する本を読んだことが無かったので、この本の主張が一般的なのか著者固有のものなのかはわかりません。
    しかし、芸術ということを考えるにあたっての切り口を、この本から学べたように思います。

  • もともと若い人向けに書かれたものを、大人向けに多少手を入れて改めて刊行したものということだ。

    大変わかりやすい。
    子供(といっても中高生ぐらいか)に対する語り口であっても内容は大人向けでもある。

    芸術に限らず、若い人が(あるいは大人になってからでも)将来を考える時の参考になる。

    いくつになっても自分を見つめ直すことってあると思うから。

  • 美は混沌の中にある。混沌の中からルールや規律、序列、そういうものを見つけ出した時に美が発見される。

  • 児童向けにだされた作品を年長者向けに。内容はほとんどそのままに編集し直したそう


    『無個性こそ個性』
    など、大人でも読んでいて気付かされることが多いです(又はAKB48についても)


    ソフィ・カルさん

    著者の作品をみてみたい

  • 素晴らしい一冊でした。久し振りに本を読んで泣きそうになったわ!

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。82年東京藝術大学美術学部卒業。87年東京藝術大学大学院博士課程修了。ヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人初の名誉賞受賞。大徳寺聚光院の襖絵、羽田空港第二ターミナルの壁画、APEC JAPAN2010の会場構成など。革新的な日本画が国際的な評価を得ている。

「2015年 『千住博全版画カタログレゾネ1988-2015』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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