([い]4-1)風待ちのひと (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
3.99
  • (69)
  • (124)
  • (51)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 686
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124185

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • インフルエンザにかかり、手に取れる場所にある本はホラーやミステリばかり。
    何だかなぁと思い、主人に『優しそうな感じの本を持ってきて〜』とお願いした所、本書を持ってきてくれました。
    ちなみに主人は本はほとんど読まず、タイトルと表紙のイラストで『優しそう』な感じがしたんだとか。

    病床の身にはピッタリな優しい大人の恋愛。
    もちろん大人なので優しいだけではなく、シビアな現実の話も出てきますが、やはりこの本は優しい。
    話の中に出てくる椿姫のオペラの曲、ラ・トラヴィアータを聴きながら読みました。
    心の風邪をひいた哲司と一緒に、ノンビリした空間の中で私の体も少しだけ元気になった気がします。

    膨大な積読の中から一冊を選ぶのは迷ったり悩んだり中々大変だったのですが、これを期にたまに主人にお願いして選んできてもらおうと目論んでいます。
    新たな本の楽しみ方をまた一つ発見。

  • 「何もかもコースアウト。
    道を踏み外したよ」

    『踏み外したんじゃないよ。
    風待ち中。
    いい風が吹くまで
    港で待機してるだけ』

    あぁ
    そんな考え方も あるんだな
    って
    ちょっと 楽になった

    そのうち
    いい風 吹けばいいなぁ~


    オトナ様の恋愛小説
    オトナ様の再生物語

  • 39歳の彼女は、一夜の魔法にかかったように最高の淑女になって、素敵な紳士のエスコートで、オペラ椿姫を見に行く。

    39歳。もう若くはなく、人生の半ばを迎えて、どうしようもない苦しさや悲しみもたくさん経験して、とぼとぼとひとり、道を歩いているような季節。

    そんな時期の男女に、ふわりと舞い降りた恋。

    それは、劇的に落ちる恋ではなく、疲れた心が新鮮な空気を吸って徐々に癒されていくとともに、ゆっくり心の中に広がっていくような恋。

    こう書くと、甘いラブストーリーのようだけど、主人公2人が置かれた環境が、39歳のリアルだけに胸に迫るものがある。私は、男性側の主人公の奥さんが、次元がずれているところで、相手を引きとめようとするどうしようもない思いが自分の物のような気がして、少し、悲しかったかな。あと、39歳の女性の価値、心を持った女性としてではなく、働き手として見られてしまうところとかも、身に沁みたなぁ。

    そうそう、オペラ「椿姫」等の音楽の扱われ方がとても素敵で、こんなふうに音楽と親しむのって素敵ですよね。

  • キンコ。どこか不思議で優しい女性。心が風邪をひく…か。なかなか上手い表現。人は迷い、傷付き…そんな時に手を差し伸べてくれる人が居れば立ち直れる。そして、手を差し伸べる優しさと勇気があれば…

    キンコの視点、哲司の視点、両者の視点で物語を振り返ると、この作品に込められたメッセージがより明確に見えて来る。

    たまには素直な気持ちで、こういうほっこりする物語を読んでみるのも、心の糧になるかと思う。素直な気持ち。素直な気持ち。

  • 友人のオススメで、初めて伊吹有喜さんの作品を読みました。風待ち...ってのが良いです。いい風が吹くまで待つという考えがあれば、焦ってもがいたり、間違って変な方向へ行ったりしないですもんね。
     
    何よりここまでハマるとは思いませんでした。ストーリーが良いのは言うまでもなく、優しいタッチと風景や情景を鮮明にイメージさせる優れた表現力を感じます。そして魅力的な登場人物、特に大概の男性はキンコに惚れてしまうでしょう。美鷲の人々もみんな素敵です。
     
    完成度の高いこの作品がデビュー作ってのが凄いです。他にも魅力的な作品がありそうなので、伊吹ワールドの2歩目を歩んでみようと思います。

  • すまんねぇ、とつい言ってしまう喜美子。
    あやまるより、ありがとうを言う人生に!
    不器用な大人が、生きる喜びに出会う。
    大人になるほど、生きにくいこともあるけど、頑張ろうと思う。

  • こういう小説好きだなあとしみじみ思えるお話でした。

    心のしんどさを抱えながら人を思いやることや、そのしんどさを自分なりに乗り越えたいと試行錯誤すること、自分ができることは頑張ってやること、相手にきちんと気持ちを伝える努力をすることなど、とても気持ちのよい時間を過ごせた。

  • 2019/8/28
    これがデビュー作。天才。恐ろしい子。
    ダメなところを見捨てないからダメなとこまで愛しくなるのかな。
    イヤ、これ危険や。違うかも。ダメンズになってしまう思想かも。
    ダメな時かな。
    この人の描く包容力がすごいんやけど。めちゃくちゃ癒されるんやけど。
    コチコチに固まった哲司君をほぐすのがめちゃくちゃ癒される。
    こんな風にほぐされたいと思いつつ他人をほぐそうとはしないのよね。
    イケないよね自分ばかり。
    惜しみなく働く人になりたいよ。
    体力がないよ。
    ああ!惜しみなく働かないからアカンのか?なるほど。
    また哲司君もいいんだよ。
    ちょっとイジワルを言ってしまったよ。とか。
    そう言えばこの二人のおしゃべり独特だなぁ。
    すごく気持ちのいいテンポ。
    ちょっとちびまる子っぽい。
    舜はどうしてるかな?また彼らに会いたいね。

  • 意外と面白かったけど 話が進むに従って ストーリーに無理がありすぎて ちょっと引いたかも 笑。キャラクターもブレブレになっていくし。
    貴美子って ガソリンスタンドの社長とあんな形で結ばれるような女性だっけ?
    とーとつなのもあったけど なんか納得いかない感満載で消化不良。

  • 文章も情景も優しい。二度読みをして、主人公と同じくいつの間にか喜美子がかわいらしく魅力的な女性として映っている事に気づいたほど引き込まれていた。(最初はがさつなおばちゃんだったのに・・)溺れかけた主人公を助けた事は、喜美子にとって亡くなった息子への償いとともに新しい人生の始まりでもあったのだと思う。
    喜美子の言葉は優しく、温かく、悲しい・・
    久しぶりに「アー、良かった」と思わせてくれた小説
    タイトルもとても良い

全88件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

([い]4-1)風待ちのひと (ポプラ文庫)のその他の作品

風待ちのひと 単行本 風待ちのひと 伊吹有喜

伊吹有喜の作品

([い]4-1)風待ちのひと (ポプラ文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする