([い]4-1)風待ちのひと (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 682
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124185

感想・レビュー・書評

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  • インフルエンザにかかり、手に取れる場所にある本はホラーやミステリばかり。
    何だかなぁと思い、主人に『優しそうな感じの本を持ってきて〜』とお願いした所、本書を持ってきてくれました。
    ちなみに主人は本はほとんど読まず、タイトルと表紙のイラストで『優しそう』な感じがしたんだとか。

    病床の身にはピッタリな優しい大人の恋愛。
    もちろん大人なので優しいだけではなく、シビアな現実の話も出てきますが、やはりこの本は優しい。
    話の中に出てくる椿姫のオペラの曲、ラ・トラヴィアータを聴きながら読みました。
    心の風邪をひいた哲司と一緒に、ノンビリした空間の中で私の体も少しだけ元気になった気がします。

    膨大な積読の中から一冊を選ぶのは迷ったり悩んだり中々大変だったのですが、これを期にたまに主人にお願いして選んできてもらおうと目論んでいます。
    新たな本の楽しみ方をまた一つ発見。

  • 「何もかもコースアウト。
    道を踏み外したよ」

    『踏み外したんじゃないよ。
    風待ち中。
    いい風が吹くまで
    港で待機してるだけ』

    あぁ
    そんな考え方も あるんだな
    って
    ちょっと 楽になった

    そのうち
    いい風 吹けばいいなぁ~


    オトナ様の恋愛小説
    オトナ様の再生物語

  • 39歳の彼女は、一夜の魔法にかかったように最高の淑女になって、素敵な紳士のエスコートで、オペラ椿姫を見に行く。

    39歳。もう若くはなく、人生の半ばを迎えて、どうしようもない苦しさや悲しみもたくさん経験して、とぼとぼとひとり、道を歩いているような季節。

    そんな時期の男女に、ふわりと舞い降りた恋。

    それは、劇的に落ちる恋ではなく、疲れた心が新鮮な空気を吸って徐々に癒されていくとともに、ゆっくり心の中に広がっていくような恋。

    こう書くと、甘いラブストーリーのようだけど、主人公2人が置かれた環境が、39歳のリアルだけに胸に迫るものがある。私は、男性側の主人公の奥さんが、次元がずれているところで、相手を引きとめようとするどうしようもない思いが自分の物のような気がして、少し、悲しかったかな。あと、39歳の女性の価値、心を持った女性としてではなく、働き手として見られてしまうところとかも、身に沁みたなぁ。

    そうそう、オペラ「椿姫」等の音楽の扱われ方がとても素敵で、こんなふうに音楽と親しむのって素敵ですよね。

  • キンコ。どこか不思議で優しい女性。心が風邪をひく…か。なかなか上手い表現。人は迷い、傷付き…そんな時に手を差し伸べてくれる人が居れば立ち直れる。そして、手を差し伸べる優しさと勇気があれば…

    キンコの視点、哲司の視点、両者の視点で物語を振り返ると、この作品に込められたメッセージがより明確に見えて来る。

    たまには素直な気持ちで、こういうほっこりする物語を読んでみるのも、心の糧になるかと思う。素直な気持ち。素直な気持ち。

  • 友人のオススメで、初めて伊吹有喜さんの作品を読みました。風待ち...ってのが良いです。いい風が吹くまで待つという考えがあれば、焦ってもがいたり、間違って変な方向へ行ったりしないですもんね。
     
    何よりここまでハマるとは思いませんでした。ストーリーが良いのは言うまでもなく、優しいタッチと風景や情景を鮮明にイメージさせる優れた表現力を感じます。そして魅力的な登場人物、特に大概の男性はキンコに惚れてしまうでしょう。美鷲の人々もみんな素敵です。
     
    完成度の高いこの作品がデビュー作ってのが凄いです。他にも魅力的な作品がありそうなので、伊吹ワールドの2歩目を歩んでみようと思います。

  • すまんねぇ、とつい言ってしまう喜美子。
    あやまるより、ありがとうを言う人生に!
    不器用な大人が、生きる喜びに出会う。
    大人になるほど、生きにくいこともあるけど、頑張ろうと思う。

  • こういう小説好きだなあとしみじみ思えるお話でした。

    心のしんどさを抱えながら人を思いやることや、そのしんどさを自分なりに乗り越えたいと試行錯誤すること、自分ができることは頑張ってやること、相手にきちんと気持ちを伝える努力をすることなど、とても気持ちのよい時間を過ごせた。

  • 2019/8/28
    これがデビュー作。天才。恐ろしい子。
    ダメなところを見捨てないからダメなとこまで愛しくなるのかな。
    イヤ、これ危険や。違うかも。ダメンズになってしまう思想かも。
    ダメな時かな。
    この人の描く包容力がすごいんやけど。めちゃくちゃ癒されるんやけど。
    コチコチに固まった哲司君をほぐすのがめちゃくちゃ癒される。
    こんな風にほぐされたいと思いつつ他人をほぐそうとはしないのよね。
    イケないよね自分ばかり。
    惜しみなく働く人になりたいよ。
    体力がないよ。
    ああ!惜しみなく働かないからアカンのか?なるほど。
    また哲司君もいいんだよ。
    ちょっとイジワルを言ってしまったよ。とか。
    そう言えばこの二人のおしゃべり独特だなぁ。
    すごく気持ちのいいテンポ。
    ちょっとちびまる子っぽい。
    舜はどうしてるかな?また彼らに会いたいね。

  • 意外と面白かったけど 話が進むに従って ストーリーに無理がありすぎて ちょっと引いたかも 笑。キャラクターもブレブレになっていくし。
    貴美子って ガソリンスタンドの社長とあんな形で結ばれるような女性だっけ?
    とーとつなのもあったけど なんか納得いかない感満載で消化不良。

  • 文章も情景も優しい。二度読みをして、主人公と同じくいつの間にか喜美子がかわいらしく魅力的な女性として映っている事に気づいたほど引き込まれていた。(最初はがさつなおばちゃんだったのに・・)溺れかけた主人公を助けた事は、喜美子にとって亡くなった息子への償いとともに新しい人生の始まりでもあったのだと思う。
    喜美子の言葉は優しく、温かく、悲しい・・
    久しぶりに「アー、良かった」と思わせてくれた小説
    タイトルもとても良い

  • やっぱり、人の弱さが分かる人が一番強いしかっこいい!

  • トラックに乗せると幸福になると言われる中年女性のペコちゃんこと喜美子。母の住んでいた家を整理するために
    戻ってきた休職中の銀行員哲司。
    2人は海辺の町美鷲町で出会い、夏の日を過ごしていく。

  • 「心の風邪」で休職中のエリート会社員の哲司とあけすけでおせっかいだが繊細で家族を失った心の傷を抱える喜美子という39才の2人の恋と再生の物語。舞台は三重県東紀州の「美鷲」。ストーリーもそうだが、町や家の描写など、小説全体がやさしい雰囲気につつまれている。舜をはじめ脇役もキャラが光っていた。ただ、最後の結末はちょっとご都合主義かな、と思ってしまった。

  • 内容紹介
    “心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。
    喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。癒えぬ悲しみを抱えたまま明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。

    目利きがこぞって推薦! 書評家からの声、続々!

    チキン南蛮、椿姫、ガンダムプラモ
    素敵なものがたくさん詰った一夏の体験で、男と女は魂の再生を果たす。
    やり直せない人生なんてないと、この小説で知りました。―杉江松恋

    人の人との心が解け合っていく過程を丁寧に、じんわりと描いて、やがてこちらの心
    も柔らかくなっている。福々しい笑顔を持つ喜美子が最高に魅力的。―瀧井朝世

    次の季節に踏み出す力をくれる、胸震わせる珠玉のセカンドラブ小説。―三村美衣

  • 功罪を求めるなんて野暮なこと。人はそんなに強くないし、一人では生きていけないのだから。
    あらすじ(背表紙より)
    “心の風邪”で休職中の男と、家族を失った傷を抱える女。海辺の町で偶然出会った同い年のふたりは、39歳の夏を共に過ごすことに。人生の休息の季節と再生へのみちのりを鮮やかに描いた、著者デビュー作。『四十九日のレシピ』にも通じるあたたかな読後感に心が抱まれる物語。

  • 図書館で。四十九日のレシピが面白かったので借りてみたんですがアレの後に読むと同じようなお話だなあと思ってしまう。この作家さん、きっと美人よりも愛嬌があって家事(特に料理)上手な女性が好きなんだろうな。

    それにしても彼の奥さんがあまりにテンプレな悪女過ぎてなんでこんなのと結婚したんだ、と思うけど…もしかしたら彼女なりに変わろうとした努力とかあったのかもしれないし、二人の話し合いが見えなくて残念。四十九日の話の次に読むと男の浮気は許すけど女の浮気は許さないぞ、みたいにも見えてちょっとな、と思います。

    ペコちゃんも最初はちょっとおせっかいすぎるし図々しいしあまり好きなタイプではないな~と思いながら読みました。人の話聞かない人ってなんて言うかニガテ。自暴自棄な主人公君もナンダカナ、と思うし。
    夏休み楽しかった、でも日常に戻ります、というオチでも人生って感じで良かったんじゃないかなあ。ペコちゃんと過ごした優しい時間を心に奥さんと娘さんに優しくしてあげることはできなかったんだろうか?と思うのは私が感傷的すぎるのかな。そして取って付けたようなペコちゃんの家族候補とその最後もナンダカナ、と思うし。そんな全方向的にハピエンにするならペコちゃんには独立してきちんと働いてほしかったな、と思いました。大体、店を持つと家の面倒見てもらうが一緒ってちょっと公私混同すぎるよね…。そして。
    39はオバハンじゃないでしょ~(笑)

  • 読み始め…12.6.7
    読み終わり…12.6.10

    こちらは伊吹さんのデビュー作。そして第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作です。

    仕事にも家庭にも隙間風が吹いて心の風邪を引いてしまった男性と、重い過去を背負いながらも屈託なく明るく生きようとする女性..。出合った二人はひと夏を過ごすことですれ違いを繰り返しながらも心を再生し、互いに自己の未来を切り開いていきます。

    一見して「恋愛ストーリー」と思われているようですが、私は単に恋愛ラブストーリーだと言い切ってしまいたくはありません。

    出合った二人がたまたま男女で同い年で、ひと夏を一緒に過ごしていたらお互いに惹かれあってしまいましたけれど それはあくまでも結果ですから...。

    このお話は男性も女性にも、どこにでもありがちな心の風邪を、海岸に打ち付けるさざ波のようにゆっくりと押したり引いたりを繰り返しながら優しく穏やかに前向きに再生していくというお話。

    この本を読んでいたのは海外出張から帰るオットを迎えるために成田空港に向かうスカイライナーの中でした。スカイライナーでじわり。そして一週間ぶりに迎えたオットと並んで新幹線でもじわり。

    オペラ 「ラ・トラヴィアータ」 は
    確かこんな曲じゃなかったかしら...。

    本を読みながら頭の中でずっと流れていたBGMをYouTubeで聴いてみましたら、私の心の中で響いていた曲は「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」の中の「乾杯の歌」でした。

  • 傷付いた39歳の男女が主人公。

    39歳、自分の年に通じることもあり、気になって読んでみました。40にして迷わずという言葉もありますが、39は実は一番、迷うのかもしれません。

    銀行員の哲さんは、最初は理屈っぽい、やな奴だと思いましたが、傷付いたひとほど自分を守ろうとするものだとしたら、何となく哲さんの気持ちも分かりました。
    有喜と出会って、心が溶けていく様が、妙に良いなと思う。男の人も女の人も、背負っているものが多すぎるよねと思ってしまう一冊。

    49日のレシピも読んでみたいと思います。

  • 四十九日のレシピを読んで、この人の作品良いなぁと思って2作目
    やっぱり良かった・・・癒し系・・・・
    最後、あぁ喜美子はそうなっちゃっうのねって少し残念な気持ちで読み進めたけど、最後もいい終わり方で良かった
    舜くん一番良かった
    大人の夏休み・・・ゆっくり自分を見直せる、生活を見直せる時間が必要な時ってあるんだね・・・

  • 出張の新幹線用に。
    喜美子はあまり好きなタイプではないけれど、読んでいて嫌な気持ちにはならなかった。

  • 少し前なら「心が風邪をひきかけた人」の登場人物を受け入れるのが難しかったかもしれない。
    大人になった今だからこそ、この物語に寄り添えるのかも。

    そしてコモノに、サンタマリアノヴェッラ・ガンダム・着物・クラシック音楽が出てくる。
    完全にそれがツボ!

    面白かった。
    ストーリーも、コモノの使い方も、描写から浮かんでくる景色も全て。
    映像化して欲しいなぁ。

  • 哲司の家は息がつまる。娘の由佳が一番大人だなぁと感じた。
    「ゴメン」より「ありがとう」、私も言われるならその方が嬉しい。
    最後は取り敢えずハッピーエンドで良かった。

  • うーん。不完全燃焼かな。痛みは、人によって違うが、何か違う気がする。

  • ちょっとご都合主義なところがあるけど、全体的にはすごくいい話だった。

  • ぺこちゃんのヒッチハイカーはいらない気がする、
    誰もがキズを抱えてる、そうですね!
    しかしながら他人に優しくできるひとは少ないと思う。
    40歳の恋とも友情とも違う同志の愛情というほうが
    近いかも、そばにいるとちょっとやすらぐ、がんばれる。

  • 「49日のレシピ」からの流れで読んだ作品。
    伊吹さんの作品は、とても心地よい空気感があるように感じた。

    終始幸せな気持ち、、というわけではないけど、
    最終的にほっこりした気持ちになる。

  • 感動した。優しい気持ちになった。この人の本は本当に優しくて癒される。

  • 夏休み、哲さんははヒッチハイクで乗せると幸せになるペコちゃんと言う女と出会う
    ペコちゃんは喜美子という名前で、そのひと夏、哲司の心の病を一生懸命に治した

  • 2013/03/26
    復路

  • 『49日のレシピ』の作者のデビュー作ということで読んでみました。どちらにも共通するあたたかさを感じました。ただこっちはラブストーリーなんだよねえ。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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