([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 1991
レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124192

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後までずーっと、せつなかった。

    現実と幻想が あや織りになったようなストーリィ。
    ここは、きっと主人公の女性の願望…
    きっと、ここまでがものがたりの現実…
    そう思いながら、読了してしまった。

    文章には書かれていない、
    行間から滲む 寂しさ、
    そして罪悪感。

    吸いこまれるように美容室に入って
    切れるだけ髪を切り
    毎日をわざと忙しく過ごし
    綺麗な夕暮れにあっても
    一緒に見たいと思わないように、する。
    少しずつ、好きな人とのことを
    なかったことにして、
    ぜんぶ、夢だったと自分に思い込ませる…。

    そんな恋は、しない方が幸せかもしれない。
    なのに 自分ではどうすることもできず
    魅かれてしまう、そんな切なさ。

    最後の初春は、彼女の見た夢だと思う…。
    物語の現実はきっと「お別れ」で
    終わっている。

  • 谷中でアンティーク着物屋さんをしている女性が、そこで出会った結婚している男性に恋をする話。

    二人が出かける西日暮里から上野の料理屋さんの描写がすっごく美味しそう!
    鳥鍋や旅館の料理など、食べたことのない上品な味がしそうです。
    実在するお店のようで、巻末にMAPが載っていました。
    楽しく食事する、大人な雰囲気でちょっと気後れしますが、一つずつ回ってみるのも楽しそうです。

    月見の会とか地域のイベントも出てきて、そういうのに出かけてみるのも風流な感じで素敵です。
    着物で行きたいなぁ。。

    着物屋さんに来る上品な老婦人や、主人公を誘って浅草のデートに行く老紳士など素敵な人達が登場します。
    イッセイさん、かっこいい。

    穏やかな気持ちで読める、大人な恋愛小説でした。

  • 切ない気持ちになった。不倫のお話と思えないくらいに、ドロドロとか憎しみとかそういうのが無く、純愛という印象を受けた。丁寧に慎ましく日本人らしい暮らしを営む主人公に好感が持て、春一郎さんと幸せになってほしいと思いつつ、家庭を持つ春一郎さんが家庭を捨てる姿は見たくないという矛盾した気持ちになる。街、人、食べ物の描写が細やかで、巻末にはMAPも載っているので、谷中に遊びに行きたくなる。

  • 谷中でアンチィークきもの店を営む栞は、ある日、店を訪れた既婚の男性に想いをよせることに。下町の風景を舞台にした優しくもちょっぴり切ない純愛物語。

    温かく穏やかな雰囲気に満ちた小説です。
    下町のここちよい空気が文章を通じて読み手に伝わってくるような、本当に素敵な感覚を味わえました。

    特に大きなことが起きるわけでもなく淡々と時が流れていくお話なのに、長さを感じることがなく、いつまでも読んでいたくなるような文章です。

  • なんだか後味がすっきりしない。

    お着物と下町のお話は好き。

    不倫なのになんかきれいにかいているところがふにおちない。

    おくさまや、こどもちゃんの気持ちがおきざりだな。

  • 不倫話とか嫌いだったけど、これはそうじゃなかったなぁ。
    好きになっちゃった。
    なんか、こう、ドロドロしてないのだ。
    澄んだ水のようなの。
    二人が、一度別れてしまうところは、何度読んでも泣いてしまう。

  • すごく読みやすくて、続きが気になって仕方なかった。イッセイさん渋くて深い。

  • 主人公が身につける着物もあんな柄かな、こんな感じかな、と想像して読むと楽しいのですが、
    出てくるお菓子やお料理、主人公がつくるお惣菜がまたおいしそうで・・・。
    読んでいておなかがすいてきます(笑)

    <!!!ネタバレしています!!!>



    春一郎さんと主人公栞の歳がどのくらい離れているかはわかりませんが、文章から察するに春一郎さんはけっこうなお歳なのでは・・・?
    わたしのなかでは栞の父親と言ってもおかしくないくらいの歳、ということになっています。
    そこがちょっと・・・でした。
    歳の離れた人と付き合うことに偏見はないのですが、この物語にはふさわしくないような・・・。
    うまく言い表せないのですが。
    雪道くんは同い年くらいだと思うので、どうして急に全然違うタイプの春一郎さんに惹かれたんだろうなーと思います。
    不倫というのもほのぼのとしたお話には似つかわしくない気がします。
    以上が☆5つに満たなかった理由です。

    そこはうーんと思いつつも、全体的な雰囲気というか流れている空気は好きです。
    長野さんの小説を読んでも思うのですが、京都の雅もいいけど、東京の江戸の残り香(伝わるかな;)もいいなあと改めて思いました。
    東京の下町は京都に負けないくらい風情がありますね。
    最後に登場するカフェやお菓子屋さんのマップもついていて、その辺りを散策するのにも参考になると思います。

    雪道くんが亡くなっていたというのは衝撃的でした・・・。
    彼の奥さんが現れたとき、わたしは春一郎さんの奥さんだ!と思っていて(笑)、ここまでのほのぼのとしたお話は終わり、ここからはどろどろの憎悪劇が繰り広げられるんだわ・・!とドキドキしたのですが、ぜんぜん違いました。

    作家さんは一作品、一作品に全力で取り組んでおられるはずなので、このようなことを軽々しく言うのは失礼かなあと思いつつも続編、期待しています。
    (その際はきっと春一郎さんとの仲がさらに問題となってしまうのだろうけれど・・・)

  • 舞台は、昔ながらの町並みが残されている東京の下町〝谷中〟です。〝谷中〟は正確には、下町ではなく寺町というんだそうですネ。その寺町の雰囲気とともに、男女の淡く危うい関係が描かれていて、タイトルにぴったりの内容でした。四季の移ろいや、折々の行事や、旬の食べ物、主人公の住んでいる古い町屋や、普段着にしている着物なども、失われつつある情緒を、そこはかとなく醸し出していて良いですネェ。
    ちなみに〝喋喋喃喃〟とは、男女がむつまじげに語り合うさま。または、小さい声で親しそうに語り合うさまを表す言葉だそうです。〝喋喋〟とは口数の多いさま。〝喃喃〟は小声でしゃべることなんだそうですよ。

  • 食堂かたつむりを読んだ時は、あまり好きじゃないと思ったけど、よく知っている町が舞台なので、読んでみた。何より、情景がよく浮かんで楽しめた。
    どんどん進む恋愛の話も多いなか、これは人を好きになっていく気持ちが、ゆっくりと描かれているのがよかった。だからこそ、不倫でなくても、という感じ。食べ物に対する細やかな視線が好き。

著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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