([お]5-2)喋々喃々 (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 2004
レビュー : 295
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124192

感想・レビュー・書評

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  • 小川糸さんの「暮らし」の描写がとても素敵だなーと改めて思う。
    谷中の下町風情に溢れる景色の描写もとても素敵。
    気持ちの余裕がない時にこういうしっかり丁寧に生活している本が読みたくなる。でもどこか遠い所のお話のようにも感じてしまう距離感が心地よい。
    どうしようもなく惹かれてしまう気持ちの描写がなんともせつなかった。どことなく浮き世離れしている道ならぬ恋の描き方だけれども、だからこそ余計にせつない気持ちの描写が際立つように感じた。

    ープリンにスプーンを差し込んだ瞬間、もうだめだろうという予感が下。そして、柔らかくて甘いものを口に入れたとたん、涙の洪水がわたしを襲う。心という形がぼろぼろと足元に崩れていくのを、私は他人事にように啞然と見つめているしかできなかった。

    プリンの柔らかさと甘さは春一郎さんそのもの。それを受け入れてしまうことへの罪悪感とどうしようもなさ。嘘みたいな事が現実に起こった時の戸惑い。このへんの描写がなんともどうしようもなくてせつなかった。
    五感と心がつながるとき、どうしようもなく幸せにも、どうしようもなく悲しくも、なる。

    食べる事は生きること

    ーまた少し、春一郎さんと私の体が同じもので作られていく。

    大切な人とおいしい食事ができる事
    同じ時を過ごせる事
    そんな、当たり前の事が何より幸せなこと。

  • 後にも先にも、一番好きな小説かもしれない。
    なんてことのない下町の、なんてことのない人たちの話なのだけれど、おいしそうなご飯と素敵な着物の描写がたまらなく美しい。
    決してみんなから賞賛される内容ではないとしても、わたしはこの本に憧れている部分がたくさんある。
    何度でも読み返したい、繊細で美しい小説。

  • 春一郎と栞が一緒に食事をするシーンが印象的でした。
    好きな人と食卓を囲める。
    それだけで幸せだと気づける人は少ないですよね。

  • 一文一文大切に読もうと思えた本。
    小川さんの著書は本当に食べ物の描写が素敵。
    お腹がすいてきてしまう。
    この本を読むと、着物が着たくなっちゃう。
    四季がある日本に生まれてよかったなぁと思っちゃう。

    春一郎さんと栞の複雑だけど優しい恋のお話で
    胸がほっこりして、たまに寂しくなって、温かい気持ちになりました。
    電車の中で何度泣きそうになったか・・!
    大切な人に無性に会いたくなってしまう、そんな素敵な本です。
    出会えてよかった。
    個人的にイッセイさんが大好き。

  • この毎日を丁寧に生きている感じが素敵だなって思います。

    クウネルとかを読んでほこほことした気持ちになるのと似ています。

    まぁ、そんな可愛らしい皮を被ってはいますが、しっかりと不倫恋愛なわけで…。

    栞と春一郎さんとの関係性とか、間合いとか、空気感とか、とても優しい気持ちになれてフワフワ出来るのですが、その反面で、春一郎さんの妻や小春ちゃん、孫が可愛いだろう春一郎さんのご両親のことを考えると、ほろ苦いです。

    栞と寄り添って生きてほしいけど、妻や小春ちゃんにもお父さんは必要なわけで。春一郎さんが二人いればなーと思いました。

  • 読み終わったあと、『読み終わっちゃったぁ』って思ってしまったくらい、ずっとずっと読んでいたかった!
    季節を大事にした丁寧な暮らしぶりがとても素敵でうらやましかった。憧れるなぁ〜あんな生活♪
    谷根千には時々行くので、今度はこの本を参考にして行ってみようかな(´ω`)


    ☆再読記録あり

  • すごく 心がほっこり温かくなる作品

    食事や洋服 日々の暮らし日本文化の素晴らしさ
    人との繋がり。。

    小川糸さんの 繊細で丁寧な文章は
    読み進める度に
    静かで幸せな気持ちにさせてくれます*

    登場するお店なども
    実在するものみたいで
    散策MAPが載っていて
    行ってみたくなります♪


    ちなみに。。
    「喋々喃々」て
    「小さい声で親しそうに語り合うさま、または男女がむつまじげに語り合うさま」
    という意味なんだそう

  • 和装、四季折々の挨拶、お付き合い、古い言い伝え、暮らしの知恵、旬の食べ物。
    ひとつひとつを大切にして、こまごまと生きる主人公のかんじがとても魅力的。

    恋愛のしかたもあわあわとしていて、透明で、好きです。

    谷中に住みたくなります。

  • 久しぶりに夢中になって読んだ本。
    舞台が近所だったということもあり、行ったことがあるお店だったり、知らないお店だったり、谷中巡りの参考にもなる小説でした。
    栞の丁寧な生活を送る描写や、料理をする描写がとても好き。
    不倫がいいことだなんて、もちろんちっとも思わないけれど、結婚したあとに今のパートナーよりも惹かれる人に出会うことなんておかしくないこと。イッセイさんがおっしゃっていた通り、人と人との関係は教科書通りにいかないと思う。生きているうちにそれに気づけただけよかったのではないか?傷つける責任と覚悟さえあれば。

  • 着物にまつわるあれこれ
    丁寧に作られた美味しいごはん
    季節の行事を大切にする暮らし
    ご近所さんとの昔ながらのお付き合い
    静かで 丁寧で ほっこりした暮らし
    女の人の好きなものを集めた舞台設定は 素敵で憧れる

    栞の家族や元カレとの関係に目を向けると
    嫌いじゃないけど 疎遠になった父親
    心の距離が遠い感じの母親との関係
    仲が良さそうなのに 複雑な関係の妹たち
    切なくツライ別れになったけど 忘れられない昔の恋人
    うーん ほんわかしたストーリーには似つかわしくないほど
    けっこうヘビーな近しいひとたち

    ご近所の方々とはうまく付き合ってるんだけど
    もっと近い人とは なんだかしっくりうまくやれない
    自分の思いを心に秘めて相手に伝えないせいかなぁ
    一歩引いてるから 距離のある人とは それが幸いして
    うまく行くけど もっと近しいひとにとっては
    本音を言わない 何考えてるのかわかんないひと
    踏み込めないひと と感じられるような。

    そんな中で出会った春一郎さん
    わたしはいまいちこの人の良さがわからないんだけど
    この踏み込んでこない この曖昧さが 栞にとっては
    心地いいのかなぁ
    踏み込んだ時に いったんは壊れた関係
    結局は元に戻るんだけど 春一郎さんの指から指輪が消えた?って思ったのは わたしだけなのだろうか?
    だから年越しも一緒にいられたんじゃないの?
    でもな この2人はそういうハッピーエンドじゃなく
    つかず離れずの今のままで行く方が似合うと思うのは
    わたしだけだろうか。

    イッセイさん
    カッコいいなぁ
    こういうひと もういないんだろうなぁ

    小川糸さん
    名前は知ってたけど 初めて読んだ。
    食堂かたつむりが有名だけど なんとなく手を出さないできた
    今回 坂口さんに借りたから 読んだけど じゃなかったら
    きっとまだまだ読んでなかったなぁ
    でも読んでよかった。
    こういう空気感好き。
    食堂かたつむりも読んで見ようと思った。


    それにしても驚いたのは 他の方のプレビュー
    不倫アレルギーここまでとは。
    小説でもダメなの? 厳しいなぁ。
    じゃぁ 殺人なんて もっとダメじゃん 笑


著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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