- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591124918
感想・レビュー・書評
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東日本大震災が起きてから50日間の石巻の人たちの記録
震災から12日後に医療雑誌の依頼で、取材に入った著者が見た、そして出会った石巻の人々の姿が記されています。
事実を事実として書いてあるので、震災後の人々や町の様子がよくわかりました。地図が細かく載っているので、場所が把握しやすかったです。
震災から半年が経とうとしている「今」。この本に記された状況が、ずっとよくなっているようにと祈らずにはいられません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
石巻の震災ルポ。学びは多い。
どんな視点を持つかで見えてくる事柄も変わってくる。
今回は「想像力」の有無で、
「生き死にの差」「事後対応の差」
に直接的に表れてくる事が分かった。
以下列挙。
•門脇小学校校長:3/9の余震で防災対策を強化 → 学校にいた生徒をほぼ全員無事避難誘導した
•同教員:震災時咄嗟にブルーシートを持ち出す → 寒さ対策に貢献した
•同教員:同じく名簿を持ち出した → 保護者への引き渡しがスムーズに行えた
•子供避難所クラブ代表柴田さん:門脇小に一時避難したが、瓦礫の山(津波)と猛火が容赦なく押し寄せてくるため、生きるために校舎の2階から裏山に橋をかけた → 歩けないお年寄りなども含め、手の届く範囲の全ての人を助け出した
•石巻赤十字病院 災害対策マニュアルを日頃から実施 → ただちに災害対策本部の設置、院内アナウンス、トリアージを行い、医療活動をスムーズに行えた
•千葉さん 津波が押し寄せてくるとき、咄嗟に犬の首輪を外す → 地区で2匹だけ残った犬の1匹となった
など、
まだまだ紹介したいエピソードはたくさんあるが、
震災前に、また震災最中に
想像力を持ち合わせていたか否かで、
事後の結果に大きく影響している事が分かる。
防災のためにぜひ読んでおきたい。 -
2011年3月11日の東日本大震災直後の3月23日から4月28日まで、被災地石巻市、女川町などを取材して書き下ろしたもの。小学校、食堂、タクシー会社、病院など様々な人達の被災直後の様子から、立ち上がって懸命に生きる姿が描かれている。
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■概要
東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の各地で、震災直後からの約2ヶ月間を取材し、筆者がそこで見聞きした事実をまとめた本。
■感想
あまり筆者の感情を表さず、でも淡々とでもなく、石巻の各地で出会った人の話や、様子をまとめている。地図や写真も多く併用し、どのような場所で、どのような状態になったのかイメージしやすい。
たくさんの悲しい話と、それでも、つながった命を大切に、亡くなった人たちに顔向け出来るようにと立ち上がる人々の姿が胸に刺さる。
特に印象に残ったものとして、津波の直撃を受け、避難した人々の車が炎上し、校舎が全焼した門脇小学校の卒業式での校長先生のスピーチや、被災した会社の社長の言葉がある。
「おまえ、水でおぼれる気持ちってどんなに苦しいかわかるか? 俺は経験したことがないけど、そんなの考えただけでも・・・。そんな死んだ人のためにも、生きてるんだから、俺たちは絶対その分まで生きるんだって、ムキになってやりきらなきゃいかん。絶対やるんだって気持ちでやんなきゃダメだよ」