- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591125311
作品紹介・あらすじ
ひっこしてきたばかりのさっこちゃんは、はやくおとなりのおんなのこにあいたくてたまりません。どんなこかな?なかよくなれるかな?のはらのおへやで、いっしょにあそびたいな。おさない日の幸福な出会い。
感想・レビュー・書評
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「もりのおくのおちゃかいへ」に続く、「みやこしあきこ」さんの、三作目の絵本(2011年)は、前作の夢のような雰囲気から一変して、レアケースながら、とても現実的なお話で、一見、新鮮味に欠けるような印象はあるものの、絵本の作り方としては、前作よりも素晴らしいものを感じさせられ、以下、その理由を書いていきたいと思う。
まずは、その目にも柔らかい緑色も印象的な、意外性のある独特な構図の表紙であり、ここでの期待に胸が高まるような、女の子「さっこちゃん」の表情から、読み手も一緒に、「一体何を見ているのだろう?」といった、好奇心に駆られる導入部の巧さが挙げられるが、それに続く扉絵で、今度は違った場所から、同じように期待を込めた眼差しを向けて、何かを見ている、さっこちゃんの姿を描くことで、読み手に、更に期待感を高めさせることに加えて、これだけ続けざまに描いているということは、おそらく、さっこちゃんにとって、とても大切なことなのであろうことを推測させられる、それはタイトルともリンクした、作品のテーマにも繋がっている。
また、表紙と扉絵に込められたメッセージの凄さは、これだけに留まらず、今度は扉絵から書くが、ここの右下には、何気に黄色いちょうちょが、さっこちゃんを見守るように飛んでいて、表紙には描かれていないが、本編の、表紙と同じ場面の違う構図の絵では、その右上に、今度はさっこちゃんを見守るように、白いちょうちょが描かれており、それが私には、まるで彼らが、さっこちゃんを未知の世界へ誘う案内役のようにも思われたことに加えて、この黄と白というのが、本書に於いて、重要な役割を担う、タンポポとクローバーの象徴であることも、見逃してはいけないし、さっこちゃんのジャンパースカートの赤色をバックに、黄と白の花を順番に並べた見返しには、さっこちゃんの思う気持ちが、最終的にどういう形で帰ってきたのかが、よく分かる素晴らしいデザインとなっている。
そして、『案内人のように』と上記したように、物語では別の案内役、いわゆる「猫」が、それを担当しているのだが、その通り過ぎる姿を見るだけで、さっこちゃんが「ついていってみよう」と思うのも、大人とは異なり、彼らに近い視点で世界を見ている仲間意識のようなものが、そうさせたのだろうと思ったが、どうやらその猫は隣の家の猫らしく、それは、その場面の前のページのドアの横や、更にその前のページにも描かれていることからも明らかであり、本編とはあまり関係がないように見えて、実はこの辺に、みやこしさんの隠されたもう一つの物語を見るような面白さがあり、もしかしたら、この猫は、まだ登場していない隣の女の子の意図を察し、さっこちゃんの前に現れて、何とかしてやろうといった思いを抱いたのではなんて思わせる、こんな想像も何だかとても楽しくて、物語の世界観をより濃密にさせられた気もしたが、そこは、子どもの為の絵本ということで、ちょうちょや猫や花の存在自体が、子どもに良い影響を与えるきっかけになるというのは、子どもと共に、自然や動植物も同じような慈しみを帯びた眼差しで見つめられる世の中こそ、理想の世界のひとつの形なのではと、私には思えてならない。
そんな何気なく感じさせてくれた、数々のメッセージとともに、物語本編も素晴らしいものがあり、みやこしさん得意の、遠近様々な視点による美しい絵から感じさせられるものも、とても多かったのが、また印象深い。
それは、さっこちゃんが籠を見つけて、それを開けたときの「かわいい!」の台詞のある絵には、そのかわいいものを見た主観的なものなので、さっこちゃんの表情は全く分からないが、それでも、そこから見えるものと彼女の台詞だけで、充分にその喜びに満ちた表情を察することができる。
そして、それを見た後にさっこちゃんがした行動には、そこにあるものから色んな事を想像した上で、彼女がこうしてあげたいという思いを込めた、特別な様子が、その絵からも感じさせられ、そこで見られる彼女の表情には、一瞬さっこちゃんの年齢を超越したような、どこか大人びた印象すら漂う、精神的な成長を感じさせられ、それは最初、隣の家を尋ねた時の、どこか他人行儀で余所余所しい雰囲気から、クローバーの花を摘んだ後の、自発的に駆けたくなるような軽やかな姿へと変わっていった、対照性からも実感させられて、そうした喜ばしい変化は、きっと読み手にも自然と楽しい気持ちをお裾分けしてもらったような、幸せを感じさせてくれると思う。
しかし、さっこちゃんの思いは、まだまだ深まり続け、その一途さに惹かれるものがありながらも、そんな彼女の思いに応えるように現れた、感動的な光景は忘れられず、それらに於いても、さっこちゃんの表情は決して分からないものの、きっと、これまで見たことのないような、最高の笑顔をしていることだけは想像に難くないと、私には思えたのである。 -
新しいおうちに引っ越してきたさっこちゃんは、お隣りのおうちとの間の野原で、茂みの中に木の枝が屋根になったお部屋みたいな場所を見つけます。なんて幸せなワクワク体験! そして、お隣りの女の子・ようこちゃん(+ネコ)とお友達になり、きっと素敵な毎日が始まるのでしょう。アンとダイアナのように。ぴよちゃんとひみこちゃんのように。
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少ない色で特に赤と黄色が印象的に使われてる。少し暗い感じもする絵だけど、ストーリーも読みやすい。お隣のようこちゃんとも、すぐに仲良くなれて、これからの毎日が楽しく過ごせそうなのが良かった。
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内容の割にはちょっと絵のタッチが暗く感じるけど、のはらのおへや、憧れる!さっこちゃんて、名前かわいい。
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野原のお部屋、いい発想でしたね。お隣の女の子も、以心伝心と言うか、心が通じる子でよかったね。
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読了
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最高の出会い
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となりのトトロのメイちゃんみたい!
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かわいらしい
愛らしい
こどもたちのワクワク、そわそわした気持ちが伝わってきて、思わず目を細めてしまう
この本も先日図書館で見かけました。今度読んでみようと思います。
猫をめぐる「隠されたもうひとつの物語」がありそうな…...
この本も先日図書館で見かけました。今度読んでみようと思います。
猫をめぐる「隠されたもうひとつの物語」がありそうな…というところが面白そうだなと思いました。はっきりとは語られていないけれども想像をめぐらす余地がありそうな絵が、描き込まれているのだろうなあ〜と想像してます。
コメントありがとうございます(^^)
そういえば、一作目、二作目と読んでましたものね。
私が、特に印象的...
コメントありがとうございます(^^)
そういえば、一作目、二作目と読んでましたものね。
私が、特に印象的だったのは、みやこしさんの絵の見せ方で、物語がシンプルな分、その時々の主人公の心情を、様々な視点で丁寧に表していたことに、絵本でしか表現出来ない素晴らしさを感じました。
また、猫についても是非ご覧いただいて、akikobbさんがどう思われるのか、楽しみです。