([お]4-2)やがて目覚めない朝が来る (ポプラ文庫 お 4-2)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126240

感想・レビュー・書評

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  • 漂う空気が、好きでした。
    時間をおいてもう一回読みたいな、と思わせてくれる作品。

    登場人物がみんなそれぞれに素敵で、だからこそ哀しくもあるんだけど。

  • 作中を流れる雰囲気は、中島京子氏や梨木香歩氏、あるいは湯本香樹実氏の作品にも通じるものがある。
    決して類型的でありふれた平凡とは言えない日常を、そうと強く読者に感じさせることなく、どちらかというと低めのテンションを保って淡々と書き綴っているが、その筆致が絶妙で心地よい。

    "今日が人生最後の日"と思いながら周囲の人に接することにしよう、と心改めるには、最適なきっかけとなり得る一冊だろう。

  • なんだかあっというまに読めてしまった。
    引き込まれて読んだし、描かれるものみな美しくてうっとりする感じで、読んでてここちよかったのだけれど、うーん、なんだかもの足りない。
    すべてがファンタジーに思えるような。
    元有名女優で、世間に隠して愛した人の子を産んだ祖母とか、祖母をとりまくショービジネス界の人たちとか、主人公がその祖母と暮らすことになるいきさつとかその暮らしとか、すべてがある意味特殊な話だからか。祖母との暮らしぶりとかも理想的で楽しそうだけど、ふわふわとして現実的じゃないような。
    みなが年老いてやがて死ぬことも、きれいごとばかり書かれているわけじゃないんだけど、なんだかきれいで、こんなにきれいなものかな、と少し懐疑的な気分になってしまった。
    生や死について、言いたいことはわかるけど、あくまで個人的に、それをわたしはなんだかうまく認められないというか。
    本当に個人的な意味でだけれど。どうしてもこんなふうにまだ人生や老いや死を受け入れられないというか。

    あと、あくまで主人公は語り手だってことはわかるけれども、もうちょっと主人公自身について深いところまで読みたかったような。
    主人公のお母さんについても同様。

  • やがて目覚めない朝が来る。

    表題でストレートに伝えられるメッセージによって
    物語のひとつひとつ、文章、ことばのひとつまでもに
    いとおしさが宿っています。
    感傷的にではなく、あくまで淡々と。
    透明水彩で描かれたような本です。

    あともう一点特異なのが、問いかけが多いという点。
    登場人物が自身や他の登場人物、読者、はては書き手にも
    その時々問いかけを投げかけています。
    それはあくまでも答えを期待したものではないようであります。
    投げかけに対して、応えること、その心の動きに気づくことも
    この本を読む楽しみでもあるかと。
    読み終わった後も 読み終わっていない気がする本です。

  • 穏やかな追憶だけど、決して寂しいわけではない (死別自体は寂しいけど) 温かな物語。親子三代のほかに登場する人たちとの関わり方もまた暖かい。

  • 静かな気持ちになれる本。生き方と死に方が勉強になった。

  • 登場人物がそれぞれ素敵でした。

  • たくさんの死があるのに、ふわふわした雰囲気。おとぎ話みたいだった。
    タイトルが好き。

    贈り物を困った時に売れって言って渡す優しさとカッコ良さよ…。

  • 暗転後の舞台裏は死の世界と同じ。それは死ぬことにそっくりなのよ。生まれて死ぬ。生まれて死ぬ。生まれて死ぬ。蕗さんは舞台でその訓練をしたんだそう。
    (P.089)

     それが、涙よりも、もっともっと深い悲しみに捉われているためかもしれないと気づくのに時間はかからなかった。母は、楽しいこと、うれしいこと、たとえば美しい夕焼けを見た時や、庭の花がきれいに咲いた時、おいしいお料理を作った時やなんかに、ふと父の不在を口にした。舟ちゃんはいないんだった。悲しい時や困った時や辛い時ではなく、輝きにあふれる一瞬にこそ、その言葉を。
    (P.124)

  • 期待したけど、ピエタには勝てないな

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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