- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591126998
作品紹介・あらすじ
北海道洞爺湖畔の静かな町・月浦に、りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ」があった。実らぬ恋に未練する女性・香織、出ていった母への思慕から父親を避けるようになった少女・未久、生きる希望を失った老夫婦・史生とアヤ……さまざまな悩みを抱えた人たちが、「マーニ」を訪れる。彼らを優しく迎えるのは、りえさんと水縞くんが心を込めて作る温かなパンと手料理、そして一杯の珈琲だった。映画界の俊英・三島有紀子による初の小説執筆作品。映画「しあわせのパン」から生まれた、とびっきり香ばしくて温かい物語。特別付録として絵本「月とマーニ」を巻末に収録。
映画『しあわせのパン』
出演:原田知世 大泉 洋 ほか
2012年1月21日(土)北海道先行上映、2012年1月28日(土)全国公開
配給:アスミック・エース
感想・レビュー・書評
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本書は、映画監督・脚本家である三島有紀子さんの初小説作品。自ら手がけた映画「しあわせのパン」の公開(2012)に先駆けて、同名小説を刊行したものだそうです。
北海道洞爺湖畔の「カフェ・マーニ」。訪れる人は、丁寧に淹れられた珈琲、丁寧に焼かれたパン、四季折々の食材を活かした食事、丁寧に接するりえさんと水縞くんに心をほぐされ、癒されていきます。でも、丁寧にお客様をもてなす2人も、ふと哀しい表情をすることがあるのでした‥。
本書の中に頻繁に登場する架空の絵本「月とマーニ」が、物語の大きな役割を担っているようです。りえさんの願い・カフェの理想像であり、この物語の重要なテーマなんだと思います。
この絵本、著者自身による非売品なのですが、巻末に収録されていて、とてもよい味を出していますね。子どもにとっても、大人にとっても奥が深いです。特に、傷つき悩んでいる人には響くでしょう。
お互いに照らし合う‥、そんな分け合える幸せを教えてくれる温かく優しい素敵な物語でした。
ゆったりと過ごす時間、美味しいパンと珈琲‥。好きな時に好きな事を。必要な分だけ。あ〜たまらなく贅沢です‥。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平和な話。映画も見たけれど、ナレーターが二人の子供というところでビックリした。本よりパンの見た目や、お店の見た目がかわいいから映画の方がオススメ。
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ぐるぐるうずまきパン。
摘みたてのバジルとトマトで作ったフォカッチャ。
帽子みたいなクグロフ。
双子みたいな、まるまるパン。
香織さんじゃないけれど、今すぐ羽田→千歳便のチケットを衝動買いして
北海道に飛び、さらに電車とバスに2時間以上揺られても辿り着いて
ほくほくと頬張りたい、カフェ・マーニのパン♪
穏やかで照れ屋の水縞くんが作るパンと
清廉でもの静かなりえさんが淹れる珈琲と
自然の恵みを大切に生かした料理が
美しい空と湖と草原を抱く月浦の風景の中で
傷ついた人たちの心を温め、柔らかく癒していく物語です。
映画の監督さんが自ら小説として書き下ろしただけあって
窯から出したばかりのパンのこんがりとした焼き色や
木の器に注がれたかぼちゃのポタージュの温かい湯気や
山高帽の阿部さんが奏でるアコーディオンの調べのイメージが
頭の中に鮮やかに立ちのぼって、うっとり。。。
「カラマツのように君を愛す」と日記に綴る水縞くんがとても素敵で
時間をかけて選んだほんの少しの大切なものに囲まれて
つつましく、でも幸せな想いでパンを分け合う、
そんな暮らしの豊かさが胸に沁みる1冊です。 -
以前映画を観て本が出ているのを知って購入。
映画の世界が素敵で読んでみたくなり。
映画では気づけなかった2人の思いや絵本を読めてやっぱりこのお話し好きだなーと。
好きな物だけに囲まれて生きていけたら理想。
現実は中々難しいけれど。
本の題名どおりしあわせになれる何かを見つけたい。 -
美味しいパンと料理、そして優しい空気。心が疲れてしまった時滞在したい宿だ。映画も見てみたい。自分は自分で無理しなくていいんだよなと思った。
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自分へのクリスマスプレゼントに、いいですね(*^^*)
とてもあたたまるお話で私もすきです!
映画は未視聴なので借りてこようかなぁ自分へのクリスマスプレゼントに、いいですね(*^^*)
とてもあたたまるお話で私もすきです!
映画は未視聴なので借りてこようかなぁ2012/12/04 -
ほんの少しのお気に入りのものを手元に置いて大切に使い、
大地の実りをありがたく頂いておいしい食事を作る、
そんな丁寧な暮らしが、迷い、苦しむ...ほんの少しのお気に入りのものを手元に置いて大切に使い、
大地の実りをありがたく頂いておいしい食事を作る、
そんな丁寧な暮らしが、迷い、苦しむひとたちの心をほぐしていく、
素敵な素敵なおはなしですよね。私も大好きです!
ところでkuroayameさんも北海道出身だったんですね!
私もなのです!ナカマナカマ゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。2012/12/04 -
かもめの世界と通じるような、静かであったかな空気を
感じて購入してたけど、想像を超えてステキそうで
読む日がすごく楽しみだよーっっ[*Ü*]...かもめの世界と通じるような、静かであったかな空気を
感じて購入してたけど、想像を超えてステキそうで
読む日がすごく楽しみだよーっっ[*Ü*]♡
絶対にDVDもほしいよねー♡
季節の野菜を使ったスープっ!!!
スープ大好きだからそのメニューだけで
思考がふわっふわになりそうー♡2012/12/05
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元々好きな映画で、図書館で何を借りようか散策していたところに発見。思わず手に取った一冊。
心理描写がとても丁寧で優しくて、三島有紀子さんが小説執筆がはじめてという解説に驚きました。
水嶋くんのパン、りえさんのコーヒーやお料理、広川さんの色鮮やかなお野菜。四季折々の月浦の壮大な風景。ページごとに映画で見た映像が甦ってきて、風景のある本だなと思いながら読みました。
また、映画では描かれていなかった部分、小説ならではの表現、どちらも味わえてとても良かったです。個人的には番台の史生さんが好きだなぁ。
何も言わずいつもまっすぐにりえさんを見つめていた水嶋くんと、もどかしさと苦しさの中でしゃがみこんでいたりえさんの心が少しずつほぐれていく、2人の出会いと始まりも丁寧に描かれています。映画では想像も出来なかった月浦への移住の経緯には驚きましたが。
小説派の方はこの本の余韻に浸った後、ぜひ映画も見てほしいなと思います。 -
「しあわせのパン」
映画を勧められたので先ずは本から…
北海道の月浦で“夫婦“が営む
「cafe mani(マーニ)」
そこを訪れる人々との出会いや夫婦のかたちからしあわせとは何かを語りかけてくる物語。
読後はとても優しく穏やかな気持ちになれる。
やっぱり「あたたかい食べ物」って大切で
ほんとうの幸せって案外身近にあったりする。
丁寧にいれられた珈琲と心を込めて作られたパン…これもまた、たまらなく贅沢でしあわせな時間。
最後の章 水縞くんの「カラマツのように君を愛す」と、エピローグでりえさんが母に宛てたであろう手紙にジーンと来た。
小説では『月とマーニ』の絵本が巻末にあるので頁をめくりながら、ゆっくりと思いに耽る時間がもてた。
三島有紀子さんの作品は本作が初めてだった。
先に出された本作の映画も三島さん脚本だが、
どうやら小説とは内容が違うとか…
それもまた素敵。
是非そちらも観てみようと思う。
以下、特に心に響いたフレーズ
「乾杯の数だけ人は幸せになれるそうです。
ヨーロッパのどこかのことわざらしいんですけど。
いいことがあったら乾杯して、何か残念なことがあっても乾杯して、1日の終わりを乾杯でしめくくれたら、それは幸せだ」
「やっぱり…私は、たまたま生き残ったんやと思います。
せやから、「もうええやろ、」と「まだまだ」の繰り返しですけど、とりあえず今日一日を、大切にがんばろうと思うてます。それだけです。」
「自分たちの信じることを、心を込めてやっていく、そんな地に足の着いた人間らしい暮らしが、ありました。
カンパニオ、仲間と一緒に。
それにこそ、しあわせがあるような気がいたします。」
「大切なのは
君が、照らされていて
君が、照らしている
ということなんだよ。」 -
映画の存在は知っていました。その映画のノベライズかと思いきや、監督がこの小説を執筆したのだそう。
厳密に言えば、映画が先にあって小説が後から発刊されているので本書はノベライズとも言えるのかもしれない。
ですが、どちらも同じ人が生み出しているからこそ、受け手に伝えたいメッセージをブレなく届けられるのでしょうね。
さて、本書はどこかおとぎ話のような、静かで優しい物語でした。どちらかというと、現実的なものを求める人より、傷ついて静かに癒されたい人に向いている作品だと思います。
北国の、頭に浮かぶ映像がとても美しい。
ぱらぱらと読み進めていて、巻末に本書にも登場する絵本が収録されているのに気付き、途中からは絵本を読んでは作品に戻って…というのを繰り返していました。
とても美しくて、素敵なメッセージが込められた絵本です。
最後の「カラマツのようにきみを愛す」という章が一番好き。救われたい気持ちと、救いたい気持ちが合わさって、こんな物語を織り成すなんて。
手作りのパンを焼きたくなります。そして、少し丁寧に生きたくなります。映画で実際に映像を見たらさぞ美しいんでしょうね。
心を落ち着かせる、こんな小説もいいですね。