きみはいい子 (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129388

感想・レビュー・書評

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  • 余韻を残す物語。
    どこにでもいる普通の人を描いているが、
    誰もが葛藤を抱え、苦しみながら生きている。
    そして、これからも生きていく…
    絶望感漂う雰囲気なのに、どこか希望を覗かせる、
    そんな物語。
    読みやすかったな~。

  • 中脇初枝さん・・・初めて読みました。
    テーマは重いのですが、ついつい読んでしまいます。
    連作短編なんですね・・・というか、連鎖ってことなのかも。

    虐待は、悲しいし、つらい。
    特に子供への虐待は、ニュースを聞いただけで、身体が震え、「どうして?」という思いが、膨らんで、弾けてしまう。
    うっかり目にすると、なんにも手につかなくなってしまうくらい、痛みを感じる。
    親に虐待を受けた子供が、それでも親から離れたがらないというのが、一番つらい。

    出口の光は、遠くて、ほのかで、到底たどり着けないような気持になる。
    ひとりでは見失いがちな、ほのかな光を一緒に見据え、手を差し伸べて、一緒に歩いてくれる誰かが、きっとそばにいてくれますようにと、祈らずにはいられない。

  • 中脇さんの本は初めて読みました。
    虐待という思いテーマを扱った本ですが・・・
    その先には小さな光が見えてくる。
    そう、「きみはいい子」なんだよ!
    第1回静岡書店大賞小説部門 、第28回 坪田譲治文学賞 受賞作品。

  • 久しぶりにじんわり感動したり、ボロボロ涙が出てくる本に出会った。自分が悪い子だからなんだって思って生きていくこと、でもだからこそ君はいい子なんだよ、大切な子なんだよって言ってくれる人の存在のありがたみ。誰かに握ってもらった手や抱きしめてもらった時の、あたたかみ。その記憶が、それから先の未来を生きる上でのとっても大きな力になること。私も思い出した´◡`☆

  • 虐待と聞くと、ひたすら身体的暴力を受けている子どもを想像しやすいが、
    幼い頃に受けた虐待というのは、まだ何も色付いていない、子どもの柔らかい心を切り裂き
    えぐる行為であると思う。
    出来上がる前にぐちゃぐちゃにされた幼い心は、もとの形がわからないから、再生することも難しくて、だから虐待された子どもはみんな傷ついたまま大人になってしまうのだと思う。

    それを受け止めて解ってくれたり、消化してくれたりする人との出会いがあれば、子どもたちは救われるのかもしれない。そう信じさせてくれる作品でした。

  • こんなに重いテーマをこんなにするする読めていいのだろうか、と思いながらあっという間に読み終わった。とても平易な文章だけど、冷たい空気がホッとあったかくなる瞬間や、ふだん触れたら嫌な気分になるようなドキッとするリアルな心の動きを巧みに描いていて、その瞬間、のめりこめた。一番始めの学校の先生の話、おばあちゃんにいつも挨拶をする障碍をもった男の子の話、ママ友の交流で心ほぐれる母娘の話、介護の母へ寄せる複雑すぎる娘の話、うそを受け入れてしあわせなひとときを過ごす男の子たちの話。すこしできすぎている部分もあるけど、それこそが小説のなせる業で、救いになっている。

  • ◆虐待をテーマにした5話。
    ◆生活の中で一滴一滴溜まっていく「澱んだ水(べっぴんさん)」。中にはよく知っている感情も。全部が全部を「ひどぉい」と他人事には片づけられない。地名さえ新しい「よせあつめの町」桜ヶ丘で途方に暮れる子どもと大人。そう、大人も。ハグが必要なのは、子どもだけではない。
    ◆リーダビリティはよいが、読み心地がよい本ではない。切なくてしんどくて、解決しない。けれど、大切なことが提起されている。
    ◆「しあわせ・仕合わせ(こんにちは、さようなら)」の意味を本書とともに考える(「仕合わせ」≒「幸せ」。この言葉は意識的に使われていると思います)。この生に根をはれるように。【2013/09/10】

  • 暗い話ばかり。虐待は連鎖する、と作者は書きたいのだろうが、単純に精神年齢の幼い人が親になりすぎ。虐待されても、連鎖しない人だっているでしよう。いや、かならず虐待=連鎖なら、虐待されて育った人は、精神科にでも行くのを義務にするしかない。

  • 児童虐待がテーマのオムニバス形式短篇集。
    虐待自体が凄惨すぎて読めなくなるという事はない。
    寧ろ、周りの人達の対応に読後感は良い。

    桜ヶ丘という街で、虐待受けてる子供と関わる大人、周囲の状況が絶妙なバランスで書いてあり、文才のある作家だと感嘆した。

    1話の「サンタさんの来ない家」で涙が止まらなくなってしまった。

    虐待を受けている生徒にかける言葉が見つからず、クラスの問題児達への対応にも悩みながら成長していくまだ2年目の新米教師。

    >そう言い訳しなければ立ち去れなかった。
    自分の情けなさに、せめてもの言い訳。

    >よせあつめのこども。
    たしかに子供は親を選べない。住むところも、通う学校も・・・。
    だからこそ。みんな、こどもなりに、ここで、ふんばっているんだ。

    「うそつき」
    この話の語り手である「ぼく」(PTA会長で子供の父親)には、
    終始、上から目線を感じてイラっときた。公平で温和、尚且つ、頑張ってる人なのは分かるんだけれども、どうしょうもなくイラっ。

    「うばすて山」

    >これからお母さんを捨てていく。
    お母さんを捨てても、、わたしは、この記憶を持っていこう。

  • 一話一話がとても重い内容だけれど。。
    必ず、誰にも差し伸べられる手があり
    傷ついた心をいやしてくれる母なる大地となる存在があることに
    心揺さぶられ、涙せずにはいられなかった。

    小学校教師だった私!!
    二人の子どもの母である私!!
    一生懸命に子どもと向き合ってきたはずなののに
    長男との歯車が常に噛み合わなくて>>
    社会人となって親元を離れて暮らす長男とは心の距離も離れている。。

    (うばすて山)ほどの母ではなかったと思いたいけれど
    少なからず、当てはまることがあり。。
    息子へ申し訳ない思いがこみ上げて涙が止まらなかった。
    今からでも。。。
    心の距離は埋めれるのだろうか??

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著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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