- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591130414
作品紹介・あらすじ
アナリストとして活躍する宮本修一は、高校時代の親友・有賀と再会する。二人の仲を引き裂き、恋人を永遠に奪った“あの事件”からすでに二十年以上の歳月が流れていた……。現役新聞記者ならではの経済問題への鋭い切り込みと、骨太なストーリーで話題を呼び、朝日、読売、日経、産経、週刊新潮、PENなど多数の紙誌で賞賛された傑作エンテティメント小説(原題、「夏の光」)、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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青空と光の中へ。
どこまでも突き抜けていく無限の空間へ。
過去を思い、今を思う。 -
青春ってなんでもう戻れないんだろう。戻りたいしやり直したいことだらけ、でも今を生きているんだなって気持ちにさせてくれる
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墓場まで持っていくつもりの秘め事。
しかし、自らの命が終わりを告げると知り、その秘密を明かす。
その秘密を聞かされたものは。
自分のせいで、あるものの命が失われたこと。
失われた命は、自分を守ろうとしていたこと。
秘密を保持していたものを怨んでいたのに、実はその秘密保持者も自分を守ろうとしていた。
経済アナリストと経済新聞記者の物語。
作者自身が現役の新聞記者とのことで、作中の経済問題への切り込みが鋭い。
2007年の作品だが、作中で懸念されている日本経済への懸念が2023年現在、ほぼ描かれるようになっている。
中年にも若かりし頃はあり、人の数だけ歴史あり。
読み手が若ければ、青春群像に捉えられるし、中年が読むと微かな哀愁を感じる一冊でした。 -
青春の過ちを中年になって後悔するという、ありがちな設定ではあるが、それでもページをめくる手が早くなるのは展開のうまさであろうか。経済の話は少し重い気もするが、ついていければそれなりに楽しめるはず。ついていけなくても大丈夫だけど。四十代後半から五十代前半のちょっと疲れている中間管理職の方にお勧め。
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主人公の経済の話が8割方不要。シンプルな話で、まぁ読みやすくていいと思う。
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衝撃の事実がコバルト文庫っぽくて残念。そこらへんがもっと練れてればマクロ経済がピンとこないおばさんでも面白く読むたのになぁ。
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アナリストの修一と新聞記者の有賀。高校時代のある事件をきっかけに絶縁していた二人の再会。現在と過去を描きながら、事件の真相が明かされるという話。
事件の真相自体は驚きに満ちたものではなくベタな話。しかし、修一の仕事がアナリストであることから、国債発行や経済情勢、金融機関や財務省の思惑等が織り交ぜられていて話に奥行があった。経済小説などを全く読まない人には理解しづらい部分かもしれないが、個人としての仕事へのプライドと組織の論理との間で苦しむ現在と、仕事に理想を抱いていた青い時代がリンクしていて、良い構成だと思った。
仕事に対してアツい気持ちを持ち続けられる男性って素敵だな。周りの評価に甘えて、泣くほど必死に働けなくなったのはいつからだろう。褒められたり気遣われたりする度に自己嫌悪と閉塞感しか感じられない自分が嫌だ。心を殺さないと利益をうめない仕事って何なんだろう。
*以下引用*
* 俺、思うんだけどさ、経済成長の目的ってさ、競争でみんなが疲弊するためのものじゃないはずだよ。(p36)
*確かに最低限の経済の豊かさってのは必要なんだが、貧しい国を無理やり成長させればいいっていう話じゃないんだよなぁ。むしろ逆で、そんなやみくもな成長の競争じゃあ、問題はさらに悪化する。産業革命時代のイギリスや明治の頃の日本みたいに、労働者が朝から晩までこき使われて工場の中でたくさん死んでいったり、水俣病やイタイイタイ病みたいに、企業が環境を壊してしまってそこでまた人が苦しんだりする。大事なのは、そこに属している人が本当に豊かになる成長のあり方、人が経済の犠牲にならず、環境も壊さない成長のあり方なんだ。そういうまるきり新しい枠組み、メカニズムを、誰かが見つけないと駄目なんじゃないかなぁ (p39)
*金利情勢次第ではあるが、基調としてはこれから銀行は、リスクを避けるために国債の保有高を少しずつ減らしていくだろう。同時に円が急落してもいいように、さまざまな形でヘッジをかける。確率がそれほど高いとは思っていないものの、もし実際に極端な円安が起きたなら、今まで通り何が起きているかも知らされなかった個人が逃げ遅れ、営々と働いて積み上げた円資産の暴落を呆然と見守ることになりかねない。 (p85)
*でもこの国の抱えてる構造的な問題はより大きいから、長期的には少しずつこの国は沈んでいく。そしてみんな、この先に待ってるものをうすうすわかってるのに、知らない振りをして笑っている (p171)
*星も同じだよな。ここに見えている光のうち、すでに星そのものは消えてしまって、光だけが届いているものがあるだろう。この街の様子は、それに似てると思わないか。本当はすでに死んでしまっている星の、昔の光。(p173) -
本屋で平積みになってるのを見かけて購入したんだと思う。
著者の田村優之なんて知らないし、たぶん初めて読んだと思う。
高校生男子の二人が(かなり優秀)、当時の事件(彼女の問題)をきっかけに交流がなくなるも、就職して金融業とジャーナリストでそれぞれ活躍するようになり、久しぶりに出会うのだが、その事件の成り行きはどうだったのか?!
ってなお話。
帯に「泣ける」とかあったが、涙もろい私でも、実はそうでもなかった。
こんな事あるかぁいっ!
ってな感じか。
人柄が優秀で完璧すぎるので、共感できないんだな。
本屋に平積みされていて、お勧め!コーナーに置かれているかもしれないが、私はお勧めしない。 -
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