ダイナー (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
3.87
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本棚登録 : 2665
レビュー : 371
  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591131176

作品紹介・あらすじ

ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった-ある日突然落ちた、奈落でのお話。

感想・レビュー・書評

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  • 大型書店で「カリ・モーラ」と一緒に買った。玉城ティナの物憂げというか空虚な表情のウェイトレス姿のカバーに思わず手が伸びてしまった。
    「カリ・モーラ」とは図らずもグロさ対決となってしまったが、圧倒的に「ダイナー」に軍配。

    分厚い文庫本だったけど、一気に読めた。
    面白い。ストーリーは予測可能なほどありふれたもの。
    しかし、残虐シーンとおいしそうな料理の描写がハンパでない。これが交互にくる。猛烈な吐き気のあとに強烈な食欲を感じる。ジェットコースターのように感性を刺激しまくられる。
    平山さんは読者を「殺しにかかる」ような小説を書きたかった、とのことだが、僕は見事この小説に殺しにかかられた。

    しかし、読後感はすっきりしている。主人公オオバカナコの生への執着がとても健全で、物語の消化をよくしたというところか。具材は贅を尽くしていてとても濃厚だけど胸やけしない不思議なハンバーガー。

  • めっちゃかっこよくて、私好みな物語でした。

    昨年映画化された原作が平山夢明だと知り、いつか読もうと思っていた作品。

    全体的にお洒落で、まるでタランティーノの映画を観ているような感覚でした。

    拷問に次ぐ拷問で、死んだ方がマシという状況が次から次へとやってくる世界に足を踏み入れてしまった主人公「オオバカナコ」。このネーミングセンスも最高です。

    殺し屋専門のダイナーで、ウェイトレスとしてボンベロの元に送り込まれます。
    数々の殺し屋が来店する度に起こるトラブルに毎回命がけで、死んだ方がマシな目に何度も合います。

    ボンベロの天才的な料理さばきや、最高級の道具、食材、殺し屋の舌を唸らせる絶品の料理の描写も想像を膨らませ、次から次へおこる目まぐるしい展開に引き込まれ、没頭して読み終えました。

    芸術的な観点で(絵画や音楽のような)私の中のとても好きな作品の1つに加わりました。

    映画版「ダイナー」は昨年タイミングが悪く見逃していたので、レンタル配信で観てみたいと思いますが、どうやら原作にいない登場人物が出ているようなので、多少違う感覚で見た方が良いのかなと思っています。
    蜷川実花なので、美しい映像も期待しています。

  • これは星5つじゃ足りないくらい好きな作品です。
    前々から人に勧められていた本だったけど、「殺し屋が訪れる定食屋」というあらすじから、男の子が好きそうだなぁと思っているだけでなかなか手がつけられないでいました。
    でも読んでみたらびっくり!
    (私にとっては)恋愛要素もあると感じ、とても読みやすかったです。

    ボンベロという店の主人ボンベロはもちろん元殺し屋で、主人公のオオバカナコは携帯闇サイトのバイトに手を出してしまったせいで拷問を受ける羽目になり、その後ボンベロへと売られます。
    カナコが店にやって来た時ボンベロは言います
    「俺はここの王だ。ここは俺の宇宙であり、砂糖のひと粒までが俺の命令に従う」
    まさに独裁者。
    少しでも命令に背いたら殺されるという緊張感が漂いました。

    その後カナコは店にある世界一の酒を隠し人質に取ることでボンベロに殺されそうになるところをなんとか逃れます。ボンベロも最初はその大事なお酒を人質にとられているためカナコを殺さずにいましたが、カナコと関わるうちに人質のためではなく自分の意思でカナコを助けているようなシーンが何度もでてきます。
    その中で一番好きなのは、ボンベロが大抗争の中カナコだけをどうにか逃がそうとするシーン

    「やだよ一緒にいるよ」
    「無駄死にするな。なんのために俺が……」
    「わたしにそんな……人を犠牲にして生きる価値なんかないよ!」
    「負け犬のおまえが、なぜ生き残れたのかを知りたい」

    ここではやっとボンベロの本音が出てきて、カナコの存在がボンベロの中でかなり大きなものになっていることが分かります。このあと作中で彼が生き残っていたかどうかは描かれていませんが、ラストのラストまで「お願い!生きてて!」と願わずにはいられませんでした。

    また、ボンベロの他にもカナコに興味を持つ登場人物「スキン」「キッド」が出てきます。この2人の存在がまた、ヒロインを取り合う男的な感じで私にとってはツボでした(笑)

    今回の感想は恋愛要素の部分から書きましたが、この小説にはその他にもたくさん魅力がつまっています。
    食べ物もハンバーガーを食べたくなるくらい美味しく描かれているし、戦闘シーンが映像として頭に浮かぶくらい詳細に書かれているからハラハラして読む手が止まりませんでした。

    今度お腹を空かせてから、マックとかモスバーガーじゃない本格的なハンバーガーを食べに行こうと思います

  • 高額報酬につられ、軽い気持ちで闇サイトの「リスクあり」の仕事に手を出したオオバカナコ。結果、報酬を手にするどころか拉致され、殺されそうになるが、すんでのところで買い手がつき、殺し屋御用達レストランでウェイトレスをすることに。

    なにせ客は皆プロの殺し屋、コックももちろん殺し屋、ウェイトレスは次々潰され人手が足りないのだ…。

    ダイヤモンドで濾過された最高級の酒、ディーヴァ・ウォッカ(1億超え)を人質に、カナコは命の応酬を始める。ヤバい客揃いのダイナー、明日の命の保証もないが労働価値に応じた賄いが付く。子供から老人、ジャン・パトゥの香水を纏った美女に犬…集う奴らは皆いかれている。

    拷問シーンのエグさ、死体のグロテスクさ…顔が引きつるのに、ボンベロが作り出すハンバーガーやデザートには食欲をそそられ…。本能的な部分を揺さぶる作戦か。著者の他の作品も読んでみたい。

  • 殺し屋好きには堪らなく面白かった!!
    本当に興奮冷めやらず!!
    濃すぎるキャラと他作品にはない素敵な殺し方(笑)

    で、結局·····こんだけ殺し合った理由が
    無知なのに度胸だけはあるオオバカナコの取り合い??(笑)
    ボン相手に全く怯まないカナコは最大のバカなのか、本当に根性があるのか·····だよなぁ。

    いや~全てが面白かった!!
    久々に後引く作品。
    最後な~「遠くに包帯だらけの怪物が走って来るのが見えた」みたいな一行があったら嬉しくて叫んでましたwww

  • 久しぶりに時間の限り一気読みしたくなった一冊。
    そして、なんといっても魅力はボンベロ。優しいんだか優しくないんだか・・・。最初はちょっとグロ系で読了できるかな、なんて思っていたけれど心配ご無用。登場人物と文章に思いっきり引っ張り込まれます。

  • 人がズタズタに殺されるのを目の前で見たことは無いし、殺し屋の幼稚園レベルの常識なんてものは私は知らないけれど、注射待ちのあの嫌な感じや母の嗚咽は知っているし、借金で首が回らなくなったのは私の父だ。
    ダイナーの世界は普段の生活からは程遠いような残虐さがあるけれど、どこか自分と隣り合わせのような気がして、もしかすると片足をそちら側に突っ込んでいるのではないか...と思えてしまう。読んでいると何かの拍子でぐっと脚を引っ張られて、ズブズブと落ち続けていくようだ。
    ダイナーは私が全く知らない部分と分かりすぎる部分とでできていて、それがあまりに極端すぎるからなのか小説を読み進めていくにつれ、登場人物たちのなかで「私」の境界線が曖昧になっていく。そしてどこからどこまでが私が知っていて知らなかったことなのか分からなくなって、体験するのだ。月並みの感想だがエンターテインメントというのはきっとそういうものがいいんだな、と思う。リアルとフィクションの匙加減が絶妙であればあるほど、その世界にのめり込むことができる。

    正気じゃやっていけないような生活のなかで、どうにか帳尻を合わせて生きていくためにスイーツを食べすぎたりバカみたいに買い物をしたり、クスリをやったり人形や子供の目を抉ったりして生きているのだろう、彼らも私たちも。
    彼らと私は似ているけれど私の人生が濃縮還元100%のオレンジジュースだとしたら彼らの人生はその原液のようである。

  • 風邪に悩まされ、体調が芳しくない状態にも関わらず、すらすらと文字が頭の中に入ってきて、文章に引き込まれました。
    久し振りの一気読みです。
    こういった本に出会えるから、小説を読むのを止められないんだなあ〜と、しみじみと思いました。とても面白かったです。

  • 高給に釣られて闇サイトの仕事に飛びついたオオバカナコ。
    まともな仕事ではない上、仕事は失敗、逆に拉致されてしまう。
    埋められる寸前にオークションで買い手がつき、命だけは取りあえず救われる。

    買われた先は定食屋(DINER)。
    ところがこのダイナーは会員制。
    それも殺し屋専門。

    常識が通じない、それぞれがそれぞれの流儀で生きてる。
    一触即発の連続、オオバカナコは生き残れる?

    "生"を繋ぐべく食す場所ダイナー
    "生"を断ち切る事を営む人間達が客。
    ある意味、二律背反。
    だからこその狂気、侠気、凶気、ついでに猟奇。

    ノワールといえばノワール。
    キャラ立ちし過ぎな殺し屋の面々。
    暴力につぐ暴力。
    殺戮、暴行シーンの連続
    しかし、全く食傷気味にならない(dinerなのに)。
    緻密でスピード感ある描写に圧倒されまくり。

    ホラーな部分、ミステリーな部分、そして成長譚であって、恋愛も。
    500ページを越えるボリュームを一気読みさせたのはジャンルを超越したエンターテーメント性だと思う。

  • 非常に嫌悪感を感じさせる導入なのに、読み進めるにあたって極限状態の中の主人公とダイナーの主人の愛を感じる。これは恋愛小説だ。
    狂人の中に、普通の人間が入ったときに感じる違和感と魅力。それまでにあったことのない普通の心を持った人間が、生きのびるために必死であることに対し、客は全てあっさりと人を殺す倫理観の違いが、主人公を主人公たるものにしている。
    登場人物の表現自体はグロテスクだし、血なまぐさい話が8割だが、それでも救いがどこかにある。皆、許しを求め、このダイナーに集まる。簡単に人を殺傷する人たちが、自分が生きるための食事を楽しくとる様は、非常に現実的だ。殺し屋達は殺し屋達の悩みを持ち、正常な感覚を持つ人間は特異であるが、皆、本当は平穏な生活を求めている。
    原因があって結果が生まれるのだけれども、ただ生き延びるために努力する主人公はぎりぎりの状態でも最善を尽くす。
    まるで「セーラー服と機関銃」のような倒錯感をもちながら、周りの生き物(人間と犬)に生殺与奪をもたれなが主人公は生かされ、そして生きる意味を知る。
    最後は、野生の証明のようなクライマックスを迎えるが、それでもわずかな救いが生まれる。まぁ一人称で始まる小説は生き残ることが多いのだけれど。
    殺傷の表現が多いので★を一つ減らしたが、それでも揺れ動く人間の心の機微を描くのに成功している。
    ただ、この本、注意して読まなくてはいけないのは読む場所だ。絶対に飲食店では読むべきではない。吉本ばななのキッチンは台所でよめるけれど、このダイナーは、絶対に飲食店で読むものではない。(僕は読んだけど)読む場所を選択させるこの本。名著といって差し支えないのではないだろうか?グロイけど、なぜか生きる執着心が感じられる作家の世界観は非常に魅力的で、中毒性をもたせる。
    好き嫌いがはっきりするけれど、読み勧める読書としては非常に高いレベルで構成されている稀有な一冊。

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著者プロフィール

平山夢明  Yumeaki Hirayama
神奈川県生まれ。『SINKER 沈むもの』で小説家デビュー。
短編『独白するユニバーサル横メルカトル』で日本推理作家協会賞短編賞、『DINER』で日本冒険小説協会大賞、大藪晴彦賞を受賞。
著作に『或るろくでなしの死』『暗くて静かでロックな娘』『ヤギより上、猿より下』『あむんぜん』他。
実話怪談では 『「超」怖い話』『東京伝説』『平山夢明恐怖全集』『怪談遺産』などシリーズ多数。

「2020年 『瞬殺怪談 碌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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