なでし子物語

著者 :
  • ポプラ社
4.13
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  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 846
感想 : 159
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591131428

感想・レビュー・書評

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  • 母親からのネグレクトを受けた耀子、名家の跡取りで身体の弱い立海、夫に先立たれ婚家と反りの合わない未亡人照子は、撫子の咲く常夏荘で出会った。

    大人の事情に振り回される2人の子供の健気な姿がいじらしい。
    生育環境から、自分の思いをうまく伝えられない耀子に、強く生きていく術を教えた、立海の教育係の青井の存在が大きいと思います。
    耀子が常夏荘での暮らしで、少しだけ前を向くことが出来たラストに涙が出ました。

    たくさんの大切なフレーズが散りばめられた本。
    今の私にも響く言葉を発見。
    大切な出合いになりました。

    耀子のその後が気になるので、続編も読みたいと思います。

  • 撫子の咲く丘で出会った三人。資産家の跡取り、前跡取りの未亡人、使用人の孫娘のどうしようもない日々が、出会ったことによって変化していく。希望の見える物語。

  • ★4.5
    なんていうか、とても不思議な読み心地の話だった。
    どちらかというと閉鎖的で特殊な環境であるからか(あと時代が少し昔?)、どこか現実じゃないような、ファンタジックな、ふわふわしてるような読み心地。

    物語は主人公の少女が母親に捨てられるところから始まり、読み進めるうちに複雑なお家の事情等も明らかになってくる等、なかなかシリアスではあるけれど、全体として暗くはない。
    展開はコツコツと、という印象だが、耀子と立海の特別な絆や、彼女が少しずつ自分の花を咲かせていこうとしてる姿、また周りの人と関係を築いていく様子に心は温かくなる。心に響く言葉もあり、なんていうか、とても滋味深い1冊。

    しかし、まさか離れ離れになって終わるとは。
    最後の青井さんの言葉、おじいさんと耀子の場面、耀子が学校に行く場面には、怒涛のようにそれぞれに胸に迫るものがあった。
    登場する人物ひとりひとりに、まだ何かここでは描ききっていない含まれた背景がありそうだなという印象。
    これからどうなるのかとても気になる!シリーズになっているみたいなので期待。

  • 伊吹さんの作品はやはり優しい。

    撫子 別名常夏

    「なでし子、めぐし子、いとしき子。触れて撫でたくなるような、愛しき君よ」「僕は撫子がいっとう好きだ。~風に吹かれたら、すぐ揺れる。だけど決して折れない。小さくたって精一杯、いつでも天をあおいで咲いている。」「美しい靴は美しい場所に君を運ぶ」(龍一郎の言葉)

    家庭教師の青井宇明子先生がよかった。
    「どうして、って思いそうになったら、どうしたらって言い換えるの」

    自立、かおをあげていきること。
    自律、うつくしくいきること。
    やらまいか。
    あたらしいじぶんを、つくるんだ。

  •  読みながらアルプスの少女ハイジを思い浮かべました。おんじ、クララ、ロッテンマイヤーさん、ペーター。
     ひ弱な子供達ですが、仲間を得た事で強く変わっていきます。無骨に見えたお祖父さんの愛情が沁みます。
     

  • どうして、どうしてって嘆き続ける人生より、どうしたらって必死で、もがいて戦う人生が私はいい。名言だと思います。登場人物たちが、愛おしくて仕方ありません。涙が出ました。とっても、よかったです。

  • 自立と自律の大切さ、子供だけではありませんね!むしろ大人こそ気をつけないといけないと思います!

  • 『四十九日レシピ』がとても良かったので作者繋がりで

    凛とした青井先生が伝える言葉はとても印象的で染み渡るのですが、作品全体としては。。。
    と、まさかの★3つ。

  • 立海と耀子、どちらも家庭環境に恵まれず、消えたい、逃げたい‥と、どんどん自分を責めていく。繊細な子どもの気持ちに胸が痛くなった。だけど、青井先生やまわりの人が支えてくれて、素直な二人は少しずつ変わっていく。その青井先生にも実は悲しい過去があった。自分が経験した痛みを忘れず、自分を否定せず、その後に生かす。青井先生のような生き方ができればいいな。
    最後は、がんばった二人を褒めたくなった。良い。

  • 2023.10

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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