いのちのヴァイオリン: 森からの贈り物 (ポプラ社ノンフィクション 13)
- ポプラ社 (2015年1月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (115ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591131893
作品紹介・あらすじ
木のふしぎと生命の物語。「震災ヴァイオリン」の製作者からのメッセージ。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
満月のころは引力の力によって樹液があがってきますから、木を切るなら、「新月のころ」がいいという言い伝えを初めて聞きました。
自然との対話を通して、自然の恵みを正しく上手に分けてもらう必要があることがわかりました。
音楽を楽しむことができるのも、森が空気を作ってくれたおかげだと気付かされました。
震災を契機として、改めて自然と人間の対話を大切にし、両者の命を大切にしながら、持続可能な生活を営んでいきたいです。
-
たまたま図書館で見つけた。自身が下手なヴァイオリン奏者とあって読んだ。字が大きく読みやすく大人が、しかも還暦を過ぎた大人向けではないと思うけれど、ヴァイオリンの構造や制作過程に於ける著述には大いにそそられた。結果、大人も子供も関係ない。そして大事なことは音楽することは地球も大事にすること。いい音楽家はそんなことも真剣に考えなくてはならない。いや、音楽するしないに関係なくだ。
読後、空地の片隅に転がる一本の朽ちかけた木にもいとおしさを感じるようになった。木と対話し、自分と対話し、自分自身を知る勇気を持ちたい。 -
バイオリンドクターの著者が自分の生い立ち、なぜバイオリン製作者となったか、バイオリンドクターとはどのような仕事かを著した子供向けノンフィクションシリーズ。
子供向けであっさりと書かれているが、内容は大人でも十分に満足できるもので、バイオリン製作の裏側が真摯に綴られる。
人間と自然との、特に木材との対話がバイオリン作りには非常に重要で、著者の自然や森に対する畏敬の念や想いには自分が常々忘れていたものを気づかせてくれる。「わたしは森にいたころ木陰で人間を癒し、バイオリンになってからは音で人を癒す」。
終盤には東日本大震災で発生した流木を使って震災バイオリンを作る話が登場するが、ニュースで聴いたことのある話程度の話題が、その背景を知ることでより心に残るストーリーになっている。 -
今月の七夕の日、皇太子殿下が東京芸術劇場で、「奇跡の一本松」から作られたビオラを演奏されたというニュースを目にされた方もいらっしゃるでしょう。そのビオラを作ったのが本書の著者。8才からヴァイオリンを作り、修復もしているその道のプロ。ヴァイオリンの魅力に引き込まれた著者ならではの視点で語られるヴァイオリンの歴史、ミステリアスなストラディヴァリウスの話。そして何よりも、自然を愛し音楽を愛する気持ちが伝わってくる。津波で被災した木々に新しい命を吹き込んだ著者の、「千の音色でつなぐ絆」プロジェクトを応援したくなる一冊。
-
著者であるヴァイオリンドクター中澤宗幸氏が、たまたま出会った男の子に、森とヴァイオリンとの関係を教えてと言われた事がこの本を書くきっかけだったそうです。子供の頃、山林業だった父が自然の中で語ってくれた事、は、彼の人生哲学として心に残り、厳しく、器用だった父が自分で作ったヴァイオリンを毎晩弾いてくれた事が、特別な楽器との出会いとなりました。自分の人生の歩みをひもときながら、これからの若い人達に伝えたい事を綴っています。木を良く理解した人にしか名器が作れない職人だからこそ、森を理解し、自然の中で行かされている人間として、自分の役割を最大限に果たそうと思えるのでしょう。
文章も子供にわかりやすく読みやすくかかれており、音楽やヴァイオリンに興味のない子でも、一度読んでおいていいと思える一冊です。 -
8歳の時に父親からヴァイオリンづくりを教えてもらった中澤さんは、自然の中で自然の息づかいを感じながら生きることも教えてもらいます。大人になって、ヴァイオリン職人になったさんは、様々な人との不思議な出会いとつらい別れを経験し、ヴァイオリンドクターとして活躍するようになります。東日本大震災で壊れ、流木となった木材からヴァイオリンを作ったのは、この震災を忘れず、人間と自然が新しい関係を結びなおす出発点となることを願ったからでした…。
中澤さんの人生の道しるべとなったお父さんや、人生で出会った素敵な人たちの話は心に残ります。 -
-
子供向きに読めるように作られているけれど大人でも十分。
震災ヴァイオリンはニュースで見た事があったけれど
この方が作ったのでしたか。 -
ヴァイオリンの製作や修復の仕事をする中澤さん。山の木々のこと、ヴァイオリンのこと。