慟哭の家

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591132357

作品紹介・あらすじ

愛しているから、殺しました。障害を持つ家族を襲った悲劇。

感想・レビュー・書評

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  • 通勤列車でたまに知的障碍者に会う。
    正直申し訳ないけれども、嫌悪感と恐怖心、関わりたくないと思ってしまう。
    小学校のとき同じ学年に障害児の子がいた。その子だけ養護の先生がついて、クラスの子が気を使って世話をしていた。子供ながらによく分からない違和感があった。
    自分の子供がダウン症だったら。。。考えられないし、考えたくない。目をそらした。逃げたい。
    心中しようとして妻と子を殺し、自分は死にきれなかった。死刑を望む被告人。それを弁護する弁護士。追いかける新聞記者。
    大上段に立って、罪深い女の話や金子みすゞの詩を出す弁護士には違和感があった。作者の代弁者になって途中からスーパーマンに変わった。「当事者しか発言する資格はない」などと言うつもりはないが、あまりに読者へのリードが過ぎる気がした。罪と罰を問う法廷で、「人間とは」「尊厳とは」と問うてもなぁ。
    考えさせられる内容だった。慟哭していたのは誰だったのだろう。実は父親だったのかも。

  • 自分の妻と子どもを殺めてしまった男の背景、障害をもって生まれてきた子どもをもつ親の葛藤を丁寧に描いたお話。
    テーマがかなり重いものだからこそ、逃げないで立ち向かっていくことの大事さを伝えたかったのではと思う。

    思い通りにいかない人生。
    それを乗り越えていくためにも社会と繋がって生きていくことの重要さをひしひしと感じさせる内容だった。

  • ダウン症の息子との生活に生きる光を失って
    一家心中を図る
    妻と息子を殺して
    自分は死に切れなかった男の罪
    とは…

    非常に難しい題材だと思った

    障害を持った子を宿したと時中絶する罪と
    一生懸命育てたが、育てる側が病んでしまい
    大きくなった子どもを殺めてしまう

    どちらの罪も同じなのだろうか?

  • ダウン症の子どもとその母親を殺して、自殺をはかった父親が逮捕された。裁判で死刑をのぞむ。

  • 内容は重たい。
    障害を持った子供に、どう対していくか。
    障害児と暮らす事に疲れたのか、育児に関わろうとしない夫に疲れたのか。「殺してくれ」という妻。男は無理心中を図る。
    国選弁護人となって障害者の現状を調べていく弁護人は、同じ障害児を持った父親たちが「減刑嘆願書は必要ない」と言った事を知る。

    仕事を言い訳に、また育児は母親の仕事だと言って家庭から逃げる男もいる。
    主人公の家庭をもっと深く描けば、読みごたえは増しただろうと思うのだが。

  • うーーーーん、重い!そうだよね、自分ももしそうなったらすごい大変だし、だよね!ってのはわかるけど、それにしても重い!不謹慎だけど重い!わたしの子どもだったら、無条件で大好き!かわいい!って思うと思う。なんか自信出た、逆に、これ読んで。

  • ダウン症の子供とその介護に疲れ果てた妻を殺した男の物語。
    綿密な取材に基づいて書かれていることが伝わってくる、重みのある作品。
    けれど、小説としては台詞回しのステレオタイプな感じや、フィクションならではの深さに欠ける部分が多く、残念な感じがする。
    主人公の若さがそのまま物語の浅さに直結してしまっているし、反面語りたいことを語らせている叔父の台詞が、いかにも、な感が否めず。
    取材したことをルポルタージュのような形で読めたら、と願ってしまう。

  • 幸が丘団地で心中事件が発生した。ダウン症の息子と、妻を殺害し、自分も自殺を果たそうとしたができなかった押川透。弁護を担当した新藤は押川が死刑にしてほしがっていることを知る。押川家に何があったのか。障害児を育てるということはどういうことなのか。家族の苦悩はどれほどのことか。障害者の話を健常者が書くのは難しいと思いました。深く書こうとするほど難しい問題だと思います。

  • ダウン症の子を持つ親の苦しみを考えさせられた。

    こういう育て方をしましょう、こういう施設をたよりましょう、独りでかかえこまず周りと交流を持ちましょう。
    一般論としてきれいなことはいくらでも言える。
    ただどんな環境であろうとも、その親の苦しみはずっと続いていくのだろうな・・と想像した。

    自分に先天的な障害を持つ子が産まれたら・・・  人間であれば誰しも起こりうる普遍的な問題を、きれいごとでもなく、説教くさくなることもなく、深く考えることをうながしてくれる良書。

  • 重い・・・・ が、避けてはいけない現実を知らせてもらったと思う。このかたの作品はリアルっぽくてイイ。 #読書 #感想部

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著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。現在は作家、コメンテーターとしても活躍。著書に『失格社員』(新潮文庫)、『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫)、『我、弁明せず』『成り上がり』『怪物商人』『翼、ふたたび』(以上、PHP文芸文庫)、『50代の壁』(PHP文庫)など多数。

「2023年 『使える!貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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