慟哭の家

著者 :
  • ポプラ社
3.43
  • (2)
  • (24)
  • (29)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 122
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591132357

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 通勤列車でたまに知的障碍者に会う。
    正直申し訳ないけれども、嫌悪感と恐怖心、関わりたくないと思ってしまう。
    小学校のとき同じ学年に障害児の子がいた。その子だけ養護の先生がついて、クラスの子が気を使って世話をしていた。子供ながらによく分からない違和感があった。
    自分の子供がダウン症だったら。。。考えられないし、考えたくない。目をそらした。逃げたい。
    心中しようとして妻と子を殺し、自分は死にきれなかった。死刑を望む被告人。それを弁護する弁護士。追いかける新聞記者。
    大上段に立って、罪深い女の話や金子みすゞの詩を出す弁護士には違和感があった。作者の代弁者になって途中からスーパーマンに変わった。「当事者しか発言する資格はない」などと言うつもりはないが、あまりに読者へのリードが過ぎる気がした。罪と罰を問う法廷で、「人間とは」「尊厳とは」と問うてもなぁ。
    考えさせられる内容だった。慟哭していたのは誰だったのだろう。実は父親だったのかも。

  • 内容は重たい。
    障害を持った子供に、どう対していくか。
    障害児と暮らす事に疲れたのか、育児に関わろうとしない夫に疲れたのか。「殺してくれ」という妻。男は無理心中を図る。
    国選弁護人となって障害者の現状を調べていく弁護人は、同じ障害児を持った父親たちが「減刑嘆願書は必要ない」と言った事を知る。

    仕事を言い訳に、また育児は母親の仕事だと言って家庭から逃げる男もいる。
    主人公の家庭をもっと深く描けば、読みごたえは増しただろうと思うのだが。

  • うーーーーん、重い!そうだよね、自分ももしそうなったらすごい大変だし、だよね!ってのはわかるけど、それにしても重い!不謹慎だけど重い!わたしの子どもだったら、無条件で大好き!かわいい!って思うと思う。なんか自信出た、逆に、これ読んで。

  • ダウン症の子供とその介護に疲れ果てた妻を殺した男の物語。
    綿密な取材に基づいて書かれていることが伝わってくる、重みのある作品。
    けれど、小説としては台詞回しのステレオタイプな感じや、フィクションならではの深さに欠ける部分が多く、残念な感じがする。
    主人公の若さがそのまま物語の浅さに直結してしまっているし、反面語りたいことを語らせている叔父の台詞が、いかにも、な感が否めず。
    取材したことをルポルタージュのような形で読めたら、と願ってしまう。

  • 幸が丘団地で心中事件が発生した。ダウン症の息子と、妻を殺害し、自分も自殺を果たそうとしたができなかった押川透。弁護を担当した新藤は押川が死刑にしてほしがっていることを知る。押川家に何があったのか。障害児を育てるということはどういうことなのか。家族の苦悩はどれほどのことか。障害者の話を健常者が書くのは難しいと思いました。深く書こうとするほど難しい問題だと思います。

  • ダウン症の子供を持った父親が、妻と子を殺して自分も自殺を図る。裁判で極刑を望む被告(父親)と、被告のために何ができるかを考え抜く弁護士の行動を通じて、障害者を家族に持つ事がどういう事か、自分は普段どのように障害者の事を考え、接しているかなど改めて考えさせられたような気がする。

  • とっても複雑な気分、どんより重たい気持ちになりました。

    優しく献身的な妻、賢い子ども、安定した仕事…が押川お父さんの理想としていた家庭像だったようですが、理想とは大きく違っていた現実。健太の介護としつけを妻に押しつけてて、肝心のお父さんの出番でも「知らん」とか「躾がなっていない」とか逃げてばかり…それじゃぁ父親として夫としてアテにしてもらえなくても仕方がないと思いました。本当は由佳里も、そんな押川お父さんにうんざりしていたのでは?

    職場でダウン症の子どもがいることを隠していたり、家庭内の事情を相談しなかったことなど、心の奥では健太の存在を認めていなかったから、リセットしたかったから殺しちゃったの?

    「他人に迷惑をかけない・誰の助けも借りない」みたいな押川家のルール…意地を張ってる頑固者みたい。もっと素直になればよかったのに…。

  • 後味があまり良くないです。

  • 愛していたから2人を殺したという押川であるが、愛情が表現されている箇所などどこにも見当たらず、逆に妻とダウン症の息子に対する絶望感やイライラが表立ってしまい、嫌な奴だなとしか思えなかった。
    病弱でありながら、ひとリで息子の世話をし、心の中の闇を誰にも相談できずにいた由香里が気の毒で仕方がない。
    理想と現実のズレを、ただ、幼少期の虐待を理由に受け入れられないでいるのは、甘えがあるとしか思えないのだが、もっと他に違う選択はできなかったのだろうか。

著者プロフィール

江上 剛(えがみ ごう)
1954年、兵庫県生まれの作家、コメンテーター、実業家。本名、小畠晴喜(こはた はるき)。元日本振興銀行取締役兼代表執行役社長。元(旧)みずほ銀行築地支店長。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、1977年から2003年まで旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)に勤務。2002年『非情銀行』で作家デビュー。2004年から2010年までは日本振興銀行に関わっていた。 
代表作に『隠蔽指令』、『庶務行員 多加賀主水が許さない』、『ザ・ブラックカンパニー』、『ラストチャンス 再生請負人』など。それぞれドラマ化されている。

慟哭の家のその他の作品

江上剛の作品

ツイートする