歩くような速さで (一般書)

著者 :
制作 : 大塚 いちお 
  • ポプラ社
3.64
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本棚登録 : 140
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591136720

感想・レビュー・書評

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  • 是枝監督の最新刊を読みたいと思っているが、まだ読めないでいる。その代わりに?図書館の本棚から手にとってみた。

    吉野弘の「生命は」が引用されている箇所。
    "生命は
    自分自身だけでは完結できないように
    つくられているらしい
    (略)
    生命は
    その中に欠如を抱き
    それを他者から満たしてもらうのだ"
    この部分を引用したあと。
    "人は自らの欠点を努力で埋めようとする。その努力は現実でも映画の中でも美徳として語られてきた。ずっと昔から。しかし果たして人は一人の力だけでそのような克服を成し得るのか?成し得たとしてそれは本当に美しいのか?この詩はそんなふうに私たちの価値観を問い直しているように思った。
    (略)
    ヒーローが存在しない等身大の人間だけが暮らす薄汚れた世界が、ふと美しく見える瞬間を描きたい。そのために必要なのは歯をくいしばることではなく、つい他者を求めてしまう弱さなのではないか。欠如は欠点ではない。可能性なのだ。そう考えると世界は不完全なまま、不完全であるからこそ豊かだと、そう思えてくるはずだ。"55ページ


    「見えないものと見えているもの」というメディアについて書かれているところも、初出は2007年なのだが、今ますます書かれていることが切実になっていて、日本のメディアは10年前から下り坂を下り続けているのだなあと実感して悲しくなった。

    新聞の連載が中心なので短くて読みやすいのだが、いろいろ考えさせられた。
    全作品を見ているわけではないが、是枝監督の映画が好きな理由がわかった。

  • 読みやすいし共感できるところも多い。イーストウッドのインタビューを思い出した。映画も観たくなる。

  • 是枝さんの作品は見たり見ていなかったり。
    なんとなく遠ざけていた作品もあるが
    見てみようかなという気持ちになる。
    映画の中のリアルな空気感が生まれる感じがすこし分かった。

  • 久しぶりに読み終えたくなかった本だった。どっちか言い切れないような曖昧な思いやありきたりな日常にある密かな輝きみたいに、一見分かりづらいものにピントを合わせていくような視線に魅かれました

  • 欠如は欠点では無い、可能性なのだ
    あと味の苦かったあの旅も無駄にはならなかった
    「絶交だからね」と笑った時の夏川さんの美しかったこと
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    感情はその外部との出会いや衝突によって生まれる
    知っていて何もしない人間は、無知で何もしない人間より罪が重い
    昭和の記憶を呼び覚ます駄菓子の感じがたまらない
    今思えばそんなことも懐かしい母の思い出のひとつである
    今でも台風が来ると僕はあのカナヅチの音を思い出す
    僕が人生の中で最も“男の子”だった時代である
    故郷と呼べる場所は、この世に存在しないという寂しさ
    イチゴはイチゴの甘さだけでそのまま食べた方が美味しい
    こどもたちの動きと対をなす、この秘められた動
    話す力は、まずこの聞く力があって生まれる
    主役とは画面に映っていない時にも、その映画を支配している人のこと
    これが最高に気持ち良かった
    作り手が原則にこだわるあまり・・・
    メディアには定住者に対して警告を発し続け、覚醒を促し続けること
    目立たない地道な積み重ねが・・・今回の結果には反映された
    多様性を背景にしながら、その差異を越境し・・・繋がれるという豊かさ
    自分の力の及ばなさや、どうしようもない現実・・・だから唄います
    美味しいものを、いや、本当にあちこちの美味しいものを・・・
    たとえどんな極悪人だとしても誰かが殺されても喜ぶのは慎むべき
    忘却を強要するのは、人間に動物になれと言うに等しい

  • 小さい頃の写真がめっちゃ可愛い。
    今の面影ものこしつつ可愛い幼子が。
    あっちゃんって子と仲良しだったんだね。

    著者の映画もエッセイもドキュメンタリーも皆好き。
    初めて撮った映画”ワンダフルライフ”スルーしてしまったけど、今度ちゃんと観てみよう。

  • 作品の背景にある製作姿勢がうかがえる本。嘘をつけない人だと感じた。まだ見ていない作品があるので早く借りてみたい。

  • 頭の中はどうなっているんだろう?どうやって映画を組み立てていくんだろう?という単純な好奇心やら尊敬やらを感じる、映画監督という職業。
    エッセイまで面白くて、芯が通った方なのだなと感じました。
    この方の映画、見たことないので見てみなくちゃ。。笑。

    July, 2014

  • 是枝家、記念写真のルールが印象的でした。

  • この10年ぐらいの書かれた是枝監督のエッセイ集です。新聞連載だったようで、数ページのエッセイばかりテーマ毎に章立てされてます。大部分は過去の思い出とか、映画、テレビに関するお話で、若干政治的なお話も。少しずつ読めるので、暇つぶしに最適。

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著者プロフィール

是枝 裕和(これえだ ひろかず)
1962年、東京都生まれの映画監督。演出家、早稲田大学理工学術院教授。1987年に番組制作会社テレビマンユニオンに入社、テレビのアシスタントディレクターを務め、ドキュメンタリー番組の演出に関わる。1995年『幻の光』で映画監督デビュー。
その後多くの映画作品を撮り、ジャンルを問わず様々な演出、そして若手育成に関わってきた。若き西川美和を見出したことでも知られる。
代表作『誰も知らない』で第57回カンヌ国際映画祭にて柳楽優弥が最優秀男優賞、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞をそれぞれ受賞。ほか、『歩いても 歩いても』『海街diary』『三度目の殺人』が代表作。そして2018年6月公開の『万引き家族』が世界三大映画祭のひとつ、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。
書籍の刊行も多い。書籍代表作に『映画を撮りながら考えたこと』。

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