- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591136720
感想・レビュー・書評
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【最終レビュー】11月24日 午後20:40
図書館貸出。
今月号・図書館新刊リスト(フリーペーパーで毎月配布)に記載されていた中の紹介著書。
是枝監督の初エッセイ本。
仮レビューでも記載した通り、阿部寛さんを通じてでなければ、この著書に出会うことはなかったことは改めて書いておきます。
最初、監督の作品に触れた時は(映画「歩いても、歩いても」劇場公開中に鑑賞)、今までとは別世界に漂うかのような感覚を覚えたのが第一にありました。
ただ、年数が経つにつれ、「作品が語っていたのは、こういうことだったんだ」と自然な流れで感覚として感じてたこと、昨年の今頃、レンタルで見直してみて、
そんな印象を感じ取ることができていた自分がいました。
『作品の持つ力』という、是枝裕和監督流の様々な引き出しある巧みな話術、ドラマや映像からは決して見ることのできない裏の裏の話まで。あまり、こういう著書に巡り合わせがない中、自身にとって勉強になりましたし、新たなる発見もあったりと。
『さじ加減を加えながら』著書(監督)から自身への一番のメッセージかなと…
もちろん、文句なしに、[評価・5つ星]です。
※特に印象に残った内容を抜粋し、終わりとします。
『天地有情』
是枝監督が尊敬する、台湾の映画監督・侯孝賢(ホウシャオシェン)監督が色紙によく書いていた言葉
『作品は、世界との対話(コミュニケーション)である』(是枝監督)
『欠如は、欠点ではない。「可能性なのだ」 そう考えると、世界は不完全なまま、「不完全であるからこそ、豊かだ」と、そう思えてくるはずだ』(是枝監督)
『「言葉」と、「動き」を、「役者と一緒に発見していく」のが、【僕の演出】 だから、できるだけ脚本も自分で書かせてもらい、[撮影現場で、容赦なく、捨てる] それができることが[脚本と演出を兼ねていることの、大きなメリット]』(是枝監督)
『全ては、「ちょっとした、動きと動きの間(ま)」によって表現されている。【台詞と台詞の間】(略)削って削ってしかも、[静的にならない]』(映画「奇跡」是枝監督作品・橋爪功さんの撮影現場での芝居の印象。是枝監督)
『話す力とは、まず、【聞く力があって生まれる】』(是枝監督)
『主役とは、画面に映っていないときにも、その映画を「支配している人のこと」を言うのである』(是枝監督)
『視野が狭く、想像力に乏しい人間が、内部にしか通用しない言葉で、美しい国などと呟くのだ。と』(是枝監督)
ドラマ『ゴーイングマイホーム』阿部寛さん演じる良多の父親役・夏八木勲さん(故人)について。この作品が遺作となった時のエピソード。阿部寛さんだけが本当の夏八木勲さんの撮影時の現状を知っていたということ。言葉では言い表せません。
『母親の発言に疑問を持ちながらも、「結局、なにもしてやれなかった」 という[後悔]から、映画「歩いても、歩いても」は出発している』(是枝監督)
『作品は、【時間を経て変化していく】』(是枝監督)
『戸惑ったままでもいいんだよ。その言葉は、自分が所属する「プロの世界へ向けられるべき」だったのかもしれない』(是枝監督)
『「人間が人間である為」には、「失敗を含めて、記憶していくことが必要」 それがやがて、【文化に成熟していくのだ】』(是枝監督)
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『そして父になる』の監督のエッセイ集。血かともに暮らした年月かというテーマは自分の子育て体験を重ね合わせたことがわかる。歩くような速さでのタイトル・どおり、気負わず思う気持ちを文章にしてあって好感が持てる。
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"詩はメッセージではない。
メッセージは意識されたものに過ぎないが、詩は無意識から生まれるものだ。
これは、僕があるシンポジウムで聞いた詩人の谷川俊太郎さんの言葉だ。
もし、作品に語るに足るメッセージというものが含まれているならば、それは作者でなく読者や観客によって発見されるものであるに違いない。"