(011)わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)

  • ポプラ社
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感想 : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137352

作品紹介・あらすじ

正義とは何か。絶対的な正義なんてないし、正義はある日逆転する。
正義のためには悪人がいなくちゃいけないし、悪人の中にも正義がある。
正義を生きるのは大変だけれども、その中で僕たちが目指すべき正義とは――。
私たちの絶対的なヒーロー「アンパンマン」の作者が作中に込めた正義への熱い思い!

感想・レビュー・書評

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  • 『正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。』

    やなせたかしの考える正義について語られたもの。半世紀近く正義の味方を描いてきた90歳の話は実に深い。
    やなせたかしが戦争で1番辛かったのは、「飢え」だそうだ。世の中に完全無欠のヒーローはたくさんいるが、飢えた子供は救ってくれない。アンパンマンが自分の身をけずって顔を差し出す理由を初めて知った。やなせさんの生立ちや影響を受けた作品、アンパンマンに出てくるキャラクターたちが何故その個性を持つのか等々、結果論ではあるものの全てのことに意味がある。

    戦う時は友達を、まきこんじゃいけない、戦う時は自分一人だと思わなくちゃいけない。愛にはいさましさが、勇気にはやさしさが含まれている。
    最後に「アンパンマンマーチ」の歌詞を読んで泣きそうになった。

    しかしながら、文章の読み易さは然り、冒頭に『あんぱんまん』のあとがきを抜粋し最後に「アンパンマンマーチ」の歌詞を集大成として載せた構成は、さすが放送作家をされていた方だなと思った。

  • 2013年に亡くなられたやなせたかし氏が、「未来のおとなたちへ」として思春期を迎える児童向けに執筆した“正義”論。生い立ちや実体験を通して学んだ“正義”とは、そして自身の行き着いた“正義”がどのように『アンパンマン』に反映されていったのかを説く。

    正義のための戦いなんてどこにもないのです。
    正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。

    本文から引用した上記がやなせ氏の不動の姿勢なのだと思う。読めば読むほど、ものすごく多面的に物事を捉えられる方だなという印象。一概には言えない立場や考え方を持つ人がいると知っているだけでなく、受け止める大きさがあるからこそ数多くキャラクターが登場する「アンパンマン」という作品が生まれたんだと思う。
    優しい柔らかい文体のなかに、強い意志を感じる作品。

  • やなせたかし先生の自伝。
    意外な経歴をお持ちで大変驚いた。
    戦争の時代を経歴している人の言葉は重い。計り知れない悲しさや虚しさが伝わってくるようで涙が止まらなかった。そんな中で、自分の未来を切り開いていこうというがむしゃらなパワーも感じられた。

  • 正しさとは。間違いとは。
    善悪とは。
    数年前から子育てを始め、我が子に倫理、道徳を伝える立場となった上で、これらは私にとって大きなテーマとなっていた。
    そんな自分の疑問、推察に対し、やなせさんの結論をいただける書であった。

    やなせさんは私にとって、才覚があり立派な人物であるが、彼の人生は幼少期から決して順風満帆ではなく、むしろ苦労の中で生きるために努力を重ね続けた結果がアンパンマン のヒットに繋がったという話に心打たれた。

    勇気が湧く。

  • 正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。

    戦う時は友達をまきこんじゃいけない。
    戦う時は自分一人で戦わないといけない。

    悪いことをする時にも群衆でやれば怖くないというけれど、責任は自分で負うという覚悟必要だ。

    歴史を振り返ると、昨日までの正義はすぐに覆されることに気付かされます。
    その度に私は悲しい気持ちになります。

    やなせさんは悪い人なんて誰一人いないと言います。
    私はまだそんな風に思えることができません。
    ただ私が90歳になった時、そんな風に思えることができたらいいな、と思いました。

    やなせさんは本当に愛でいっぱいな人だと感じました。アンパンマンが今もなお愛されている理由がよく分かりました。


  • ・やなせさんは「ぼくは天才ではないし優れた知性の人間でもありません」と謙遜する一方で「今、90歳。人生には、後から考えると分かることがたくさんあります。」と自信も覗かせる。

     「人生の楽しみの中で最大最高のものは、やはり人を喜ばせることでしょう。」と仰り「愛には、いさましさも含まれていて、勇気には、やさしさが含まれている。~中略~自分が傷ついてもやるという気持ちがなければ、正義は行えないんです。」と正義を行うことの厳しさも示してくれている。お子さんとアンパンマンを楽しむ前に、やなせさんの気持ちを知っておきたい。

     やなせさんは、この『わたしが正義について語るなら』で(正義の味方が)「だれのためにたたかっているのか、よくわからない」と書いていらっしゃいます。私も同じことを疑問に思っていました。おそらく人類のために闘っているのでしょうね。

     だから人類の既得権を侵そうとする悪役が必要なのです。でも実際の私たちには、人類の中で細かく別れて既得権と奪い合うように闘っているわけです。私たちが正義の味方のように、より大きな世界のために闘うようになれれば、世の中、平和になるのでしょうけど…

  • アンパンマンに至るまでのやなせさんの生涯と、その裏にあった思いがわかります。正義を表現するるために必要悪とかかっこ悪さも描くという、現実的な見方が印象的でした。

    アンパンマンに影響を与えた作品群はかなり意外です!

  • 正義とは何か。
    よく、悪がいなくては正義は何立たないという言葉を耳にする。テレビで見ていた典型的なヒーローは怪獣とか星人とか絶対悪がいた。でも漆黒も純白もこの世には誰ひとりいない。ドキンちゃんは悪者側だけど食パンマンが好きだったりする。やなせたかしさんはそのことを誰より心得ていた。アンパンマンはきっと人間の世界に酷似した世界だ。だからアンパンマンには真の正義がかかれている。
    そのアンパンマンを通して勿論正義について書かれているのだが、正義以外にも漫画家としてもその他でも幅広いやなせさんの人生が知れた。人生なんだから一筋縄ではいかないけれど、そんな中にやなせさんのメッセージがあって
    丁度進路について考えている時期に出会えたとこは幸運でした。
    全てを読み終えてアンパンマンのマーチの詞を読むと、体の芯に何か手応えがあるはず。

  • 正義とは何か。アンパンマンの作者である著者がどういう思いで正義を主張しているのかがわかりました。
    人間は良い面も悪い面も持ち合わせていて、真っ白な人も真っ黒な人もいない。

  • やなせたかしさんがお亡くなりになった時にテレビで特集をしていて、アンパンマンの歌詞の意味を初めて知って感銘を受けた。それからずっと、やなせさんの本を読みたいと思っていた。

    正義のヒーローだからといって完全無欠ではない、正義で自分も傷つく。「正義=真実」というより、「正義=愛」なんだろうなと思う。アンパンマンってやっぱり深い…!

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著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンと らんぼうや』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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