(011)わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)

  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137352

作品紹介・あらすじ

正義とは何か。絶対的な正義なんてないし、正義はある日逆転する。
正義のためには悪人がいなくちゃいけないし、悪人の中にも正義がある。
正義を生きるのは大変だけれども、その中で僕たちが目指すべき正義とは――。
私たちの絶対的なヒーロー「アンパンマン」の作者が作中に込めた正義への熱い思い!

感想・レビュー・書評

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  • アンパンマンの作者であるやなせたかし先生が、「正義について」語る本。
    アンパンマンができたのはやなせ先生が50代の時とは知らなかった。スーパーマンやウルトラマンは目の前で飢えてる子がいても食べ物をあげるわけではないからアンパンマンは自分を犠牲にして子供達を助ける、というのは、正義の名の下に行われる暴力的な破壊行為を戦争という形で経験したやなせ先生ならではの思いなんだろうな。
    こんなに色々なことをされていたとは知らなかった。手のひらを太陽にの作詞もやなせ先生だったとは。
    善も悪もいきすぎるといいことはない、正義は絶対的なものではなく、日本の敗戦時のように1日でひっくり返ることもある。
    子供がアンパンマンにハマりだしたタイミングで読めて良かった。

  •  アンパンマンの作者,やなせたかしさんが正義について熱く語る本です.

     他の方もレビューにもありましたが,
    「正義はある日突然逆転する.
    逆転しない正義は献身と愛です. 」
    というところは,心に留めておきたいことです.

    昨今,SNSの流行もあってか,正義を振りかざし,そこに正義さえあれば,相手を罰することをためらわないような雰囲気を感じます.

    正義は人の視点が違えば,まったく違うものになるのだと理解できます.やなせたかしさんが書いているように,正義かどうかの判断は,良識の範囲で自分の身の回りで少しずつやっていけばいいこと,現実に悪は必ずあるけれど,それが少しでも減っていけばいいというくらいの気持ちで良いこと,そのあたりで,これならできそうかなという気持ちになれました.

    図書館で借りましたが,手元に置いておきたい本です.

  • 『正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。』

    やなせたかしの考える正義について語られたもの。半世紀近く正義の味方を描いてきた90歳の話は実に深い。
    やなせたかしが戦争で1番辛かったのは、「飢え」だそうだ。世の中に完全無欠のヒーローはたくさんいるが、飢えた子供は救ってくれない。アンパンマンが自分の身をけずって顔を差し出す理由を初めて知った。やなせさんの生立ちや影響を受けた作品、アンパンマンに出てくるキャラクターたちが何故その個性を持つのか等々、結果論ではあるものの全てのことに意味がある。

    戦う時は友達を、まきこんじゃいけない、戦う時は自分一人だと思わなくちゃいけない。愛にはいさましさが、勇気にはやさしさが含まれている。
    最後に「アンパンマンマーチ」の歌詞を読んで泣きそうになった。

    しかしながら、文章の読み易さは然り、冒頭に『あんぱんまん』のあとがきを抜粋し最後に「アンパンマンマーチ」の歌詞を集大成として載せた構成は、さすが放送作家をされていた方だなと思った。

  • 正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。

    戦う時は友達をまきこんじゃいけない。
    戦う時は自分一人で戦わないといけない。

    悪いことをする時にも群衆でやれば怖くないというけれど、責任は自分で負うという覚悟必要だ。

    歴史を振り返ると、昨日までの正義はすぐに覆されることに気付かされます。
    その度に私は悲しい気持ちになります。

    やなせさんは悪い人なんて誰一人いないと言います。
    私はまだそんな風に思えることができません。
    ただ私が90歳になった時、そんな風に思えることができたらいいな、と思いました。

    やなせさんは本当に愛でいっぱいな人だと感じました。アンパンマンが今もなお愛されている理由がよく分かりました。


  • 2013年に亡くなられたやなせたかし氏が、「未来のおとなたちへ」として思春期を迎える児童向けに執筆した“正義”論。生い立ちや実体験を通して学んだ“正義”とは、そして自身の行き着いた“正義”がどのように『アンパンマン』に反映されていったのかを説く。

    正義のための戦いなんてどこにもないのです。
    正義はある日突然逆転する。
    逆転しない正義は献身と愛です。

    本文から引用した上記がやなせ氏の不動の姿勢なのだと思う。読めば読むほど、ものすごく多面的に物事を捉えられる方だなという印象。一概には言えない立場や考え方を持つ人がいると知っているだけでなく、受け止める大きさがあるからこそ数多くキャラクターが登場する「アンパンマン」という作品が生まれたんだと思う。
    優しい柔らかい文体のなかに、強い意志を感じる作品。

  •  自分を励ます歌「手のひらを太陽に」を最初に歌ったのは宮城まり子。アンパンマンのキャラクターでは、私はドキンちゃんが好きですw。次にばいきんまん。 やなせたかし(1919~2013.10)「わたしが正義について語るなら」、2013.11発行、自伝記です。愛と勇気だけが友達、身近な人の幸せを願う。 

  • アンパンマンの生みの親ということしか知らなかったけれども、幼少期の苦労、多種多様な仕事の経験、見知らぬ人から仕事を任される事も多く、運が強かった(?)ことなど、やなせたかしさんについて知れる本でした。
    様々な体験の中で培われた絵本・マンガに対する仕事観は参考になる部分が多かったし、アンパンマンに込めたメッセージ「正義とは何か。傷つくことなしに正義は行えない」(P.99)が印象に残った。

  • 私は昔からアンパンマンのマーチの歌詞がとても好きです。
    どうして好きなのか、この本を読んでわかった気がします。正義と悪は紙一重。
    そして

    人生なんて夢だけど、夢の中にも夢はある

  • めちゃくちゃ良い本だった。たまたま知っただけの1冊に、こんなに心が震えるとは思わなかった。

    「正義はある日逆転する。逆転しない正義は、献身と愛」であり、「愛と勇気だけが友達さ」。この言葉に、アンパンマンにとって、やなせたかしさんにとっての正義が詰まっていると思う。そして正義を行うためには、傷つく覚悟を持つ必要があるということ。

    本当にいい本だったので全人類に読んでほしいし、それぞれにとっての正義を教えてほしい。私も私の正義を、私だけの武器を見つけたいと強く思った。

    • ブクえもんさん
      とても素敵なコメントですね☺️
      とても素敵なコメントですね☺️
      2022/11/22
    • あきこ(iPod)さん
      わわ、ありがとうございます!読んだ勢いで書いたのでそう言ってもらえて嬉しいです◎
      わわ、ありがとうございます!読んだ勢いで書いたのでそう言ってもらえて嬉しいです◎
      2022/11/29
  • やなせたかし先生の自伝。
    意外な経歴をお持ちで大変驚いた。
    戦争の時代を経歴している人の言葉は重い。計り知れない悲しさや虚しさが伝わってくるようで涙が止まらなかった。そんな中で、自分の未来を切り開いていこうというがむしゃらなパワーも感じられた。

  • 正しさとは。間違いとは。
    善悪とは。
    数年前から子育てを始め、我が子に倫理、道徳を伝える立場となった上で、これらは私にとって大きなテーマとなっていた。
    そんな自分の疑問、推察に対し、やなせさんの結論をいただける書であった。

    やなせさんは私にとって、才覚があり立派な人物であるが、彼の人生は幼少期から決して順風満帆ではなく、むしろ苦労の中で生きるために努力を重ね続けた結果がアンパンマン のヒットに繋がったという話に心打たれた。

    勇気が湧く。

  • ・やなせさんは「ぼくは天才ではないし優れた知性の人間でもありません」と謙遜する一方で「今、90歳。人生には、後から考えると分かることがたくさんあります。」と自信も覗かせる。

     「人生の楽しみの中で最大最高のものは、やはり人を喜ばせることでしょう。」と仰り「愛には、いさましさも含まれていて、勇気には、やさしさが含まれている。~中略~自分が傷ついてもやるという気持ちがなければ、正義は行えないんです。」と正義を行うことの厳しさも示してくれている。お子さんとアンパンマンを楽しむ前に、やなせさんの気持ちを知っておきたい。

     やなせさんは、この『わたしが正義について語るなら』で(正義の味方が)「だれのためにたたかっているのか、よくわからない」と書いていらっしゃいます。私も同じことを疑問に思っていました。おそらく人類のために闘っているのでしょうね。

     だから人類の既得権を侵そうとする悪役が必要なのです。でも実際の私たちには、人類の中で細かく別れて既得権と奪い合うように闘っているわけです。私たちが正義の味方のように、より大きな世界のために闘うようになれれば、世の中、平和になるのでしょうけど…

  • アンパンマンに至るまでのやなせさんの生涯と、その裏にあった思いがわかります。正義を表現するるために必要悪とかかっこ悪さも描くという、現実的な見方が印象的でした。

    アンパンマンに影響を与えた作品群はかなり意外です!

  • 正義とは何か。
    よく、悪がいなくては正義は何立たないという言葉を耳にする。テレビで見ていた典型的なヒーローは怪獣とか星人とか絶対悪がいた。でも漆黒も純白もこの世には誰ひとりいない。ドキンちゃんは悪者側だけど食パンマンが好きだったりする。やなせたかしさんはそのことを誰より心得ていた。アンパンマンはきっと人間の世界に酷似した世界だ。だからアンパンマンには真の正義がかかれている。
    そのアンパンマンを通して勿論正義について書かれているのだが、正義以外にも漫画家としてもその他でも幅広いやなせさんの人生が知れた。人生なんだから一筋縄ではいかないけれど、そんな中にやなせさんのメッセージがあって
    丁度進路について考えている時期に出会えたとこは幸運でした。
    全てを読み終えてアンパンマンのマーチの詞を読むと、体の芯に何か手応えがあるはず。

  • 正義とは何か。アンパンマンの作者である著者がどういう思いで正義を主張しているのかがわかりました。
    人間は良い面も悪い面も持ち合わせていて、真っ白な人も真っ黒な人もいない。

  • やなせたかしさんがお亡くなりになった時にテレビで特集をしていて、アンパンマンの歌詞の意味を初めて知って感銘を受けた。それからずっと、やなせさんの本を読みたいと思っていた。

    正義のヒーローだからといって完全無欠ではない、正義で自分も傷つく。「正義=真実」というより、「正義=愛」なんだろうなと思う。アンパンマンってやっぱり深い…!

  • なぜ、アンパンマンは生まれたのか。正義とは何か。どうやって生きたいか。
    やなせたかしさんのパワフルな生き方の原点は「人を喜ばせたい」という強い欲求にあったのだろうと思った。良心だけ/悪心だけの人間なんていない。諦めず、良心の割合を少しでも増やせる生き方がしたい。

  • 正義とは何か。傷つくことなしには正義は行えない。

    やなせさんがなくなって約半年。正義なんてなかなか言いにくい言葉だけど、心のどこかで常に意識してはいる。
    本の中でアンパンマンの誕生秘話として触れられていたけど、まだ人気が出る前に、通っていた教会の中庭で読んだ記憶からか、アンパンマンとイエス様が改めて重なって考えさせられた。

    • みるきーぶるーさん
      アンパンマンとイエス様が重なるというのは私も感じたことがあります。尽くして、尽くして、尽くし続ける様子が似ているんですよね。
      イエス様のよ...
      アンパンマンとイエス様が重なるというのは私も感じたことがあります。尽くして、尽くして、尽くし続ける様子が似ているんですよね。
      イエス様のようになるのは努力することもあきらめてしまうけど、アンパンマンのようになることなら努力が出来そうだと感じました。
      2014/05/12
  • 悪は誰の心にもある。それを認めて正義を語るべきなんだろう。
    アンパンマンのうた
    「~愛と勇気だけが友達さ~」の本当の意味が分かりました。

  • フランケンシュタインについて関心が深まりました。次はフランケンシュタインを観よう、読もう。

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著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンかみしばい③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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