(033)自爆営業 (ポプラ新書)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591140277

作品紹介・あらすじ

各業界に広がる「自腹でノルマ」の
恐るべき実態と対策を初めて暴く!

昨年11月、菅官房長官の異例のコメントで
大きな話題となった「自爆営業」。
郵便局員の年賀はがきノルマ達成のための
金券ショップへの持ち込みがきっかけに。
1万枚もの年賀はがきを持ち込むケースも。
そうなると、7万円近く自腹を切ることになります。

しかも、この悪弊はさまざまな業種に蔓延しており
私たちを追い詰めています。
その恐るべき実態とどう対処すればいいかを
初めて一冊にまとめます。

著者は5年以前から「自爆営業」の取材を続けています。
郵便局内での「反省文」「お立ち台」…
その恐るべきリアルな実態には誰もが戦慄するはずです。

●コンビニエンスストア(アルバイト)
一個3000円のクリスマスケーキのノルマが各人17個。
お歳暮も同様のノルマ。達成できないと自腹を切らされる。

●アパレル
毎月、自腹で自社製品を「試販」として交わされる。
新店舗の売り上げをアップさせるためと全社員から
現金2万円を徴収されたこともある。

●紳士服量販店
自宅には、自社のスーツがあふれ、
ある店長は数百万円自腹を切ったという。

●外食チェーン
消費期限切れの食品を自腹で買い取らされる。
高いステーキ肉なのに捨てたことがある。

(あとがきより)
自爆営業が行われている会社は、
赤字の穴を社員の懐で埋めようとする。
これがまかり通るのは、
一つには理不尽な社是に従う労働者がいるから。
一つには、パワハラや懐柔などでもって、
社員を自分の意に従う奴隷のごとくの
存在に仕立て上げる経営者がいるから。
この二つは、コインの表と裏だ。

私が自爆営業を取材して痛感したのは、
自爆営業は、経営難への方策などではなく、
絶対に間違っているということだ。
自爆営業には、パワハラや長時間サービス残業、
低賃金などの問題がつきまとう。
その結果、いったいどれだけ多くの人が、
心と尊厳を傷つけられ、体が悲鳴を上げ、
精神を病み、休職に追い込まれたことだろうか。

自分や家族が生きるためと思って受忍した自爆営業が、
結局は、自身の心、肉体、精神や生活を破壊させる。
しなければよかったと後悔したときには遅い。

感想・レビュー・書評

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  • 労働契約では結果を出すことは義務ではない。
    成果主義を選べばこの限りではない。
    委託契約もこの限りではない。

    達成すれば賞賛もされ達成金をもらえるなら
    自爆したほうが賢い。

    文書を偽造して売上を作る
    本人が振込むなどを
    見てきた私としては、

    その事業自体、成立していないように思う。
    売上だけ上げればいいのか?

    自爆者に悪気ない場合もある。

    ルールなき報奨金レースへの参加
    ルールなきゲームはありえない。

    お客様への奉仕も
    限度を超えれば自爆である。

    私は営業職に誇りを持ち、
    社内的にはゲームで挑み負けても
    社外(クライアント)は社のゲームに巻き込むまい
    と考えて動いていた。

    邪魔するな!迷惑や

    マネジメントとはそこらへんの配慮出来てこそ、
    である。
    誇れる事業とは何を意味するか?と
    私は思う。



  • 自爆営業の実態 対応策 ホワイト企業の実例など
    対応策の記述部分が若干少ないと思う。
    労働組合の結成や個人ユニオンへの参加方法をもう少し詳しく書いてほしかった。

    自爆営業=自社の社員(正規、非正規に関わらず)にノルマ達成を要求し、未達成分を給与から天引きするシステム。
    本著では、日本郵便の内容が大きく取り上げられており、過酷な実態や異常といえる成果主義が見える。
    日本郵便に限らず、飲食・サービス業・アパレル業界など自爆営業は数多い。
    生活するため、家族を養うために働くー会社に精神的、肉体的に束縛されるワーキングプアが多いことも納得できる。低賃金長時間労働のため、過労自殺や精神疾患など生死に関わる。

    だが、2015年政府は派遣労働者の派遣法を改正した。派遣会社は契約期間が過ぎていても、正規採用するなど努力義務を負うこと(形だけで形骸化している)もなく労働者を変えることができる。

    世界では資本主義社会も行き詰まりを見せている。社会主義には戻れないが、資本主義の打開のために新たな道を模索する必要があると思う。
    ピケティ氏の「21世紀の資本論」がベストセラーになった理由もこういった問題を示唆しているからではないか。

  • 読書録「自爆営業」3

    著者 樫田秀樹
    出版 ポプラ新書

    p134より引用
    “「え、ハローワークの求人票にボーナスは
    年二回と書かれてありましたよ」
    「あれは、ミスプリント」
    このときの驚きを山田さんは今も忘れない。


    目次から抜粋引用
    “自爆営業の現場に同行する
     自爆営業という言葉を初めて聞いた日
     売れ残り品を強制買取り
     なぜ自爆営業が許されるのか
     人を大切にする会社”

     環境問題や社会問題を扱うジャーナリスト
    による、自爆営業の問題点について書かれた
    一冊。
     自爆営業の現場からそれを行わなくする為
    の提案まで、しっかりとした取材を元に書か
    れているように思います。

     上記の引用は、牛乳配達の仕事に正社員と
    して就いたはずの人の体験談。
    これ、人を雇うような大人が言う言葉なので
    しょうか?笑い話にしてもデキが悪いのに、
    どうにもこれが実話のようです。
     昔、バブルが弾けた不況の頃に、給料は現
    物支給というコントを見た記憶があります。
    こういう話はコントであるから笑えるので
    あって、実際に言われたらたまりませんね。

    ーーーーー

  • 目の前の数字しか見えない経営者や役員たちがいる限り、末端の社員の懐が潤うことはないのだろう。数字の帳尻合わせに立場の弱い社員たちの自爆を利用している現実があるということに衝撃をうけた。
    社員の幸せを一番に考えている企業もある中で、その反対の会社も多く存在する。自爆営業の環境にいるとそのことに慣れてしまい、それが普通だと錯覚してしまうのだろう。今いる環境よりも外の方がもっとしんどいと思い、外に飛び出すこともなく、自分を言い聞かせ、我慢をし、自爆を繰り返す。最終的には自爆以上に売り上げあげれば良いじゃないか。と肯定してしまうかもしれない。
    けれど、普通じゃないと認識することも大切なのだと思った。もちろん、不平不満ばかりを言って、変だ変だと何にでも言うのは違うけれど。。その境界線をしっかりと自分の中で持とうと思った。

  • 自爆営業には2面性があると思う。
    1面はこの本にあるように、全うな経営者の不在及び間違っていると声をあげれない従業員の存在だ。
    この本は、各業界の自爆営業の実態を明らかにし、そこから脱出するための具体的な方策を提示する。
    一方で、営業に関する職場職域の経験がある方、現にそういう場所にいる方にとっては、過酷な実態ではあるが、多かれ少なかれあるあるという話だと思われるのではないだろうか。
    存在するからそれを認めるというつもりはないが、これも又資本主義競争社会の発露だということだ。
    売上利益至上主義、独占志向、永続企業の宿命ともいえる。
    地球上のあらゆる人間が、適正な価格で必要なものを感謝しつつ生産消費していくこと、そうすれば自爆営業も必要なくなると考えるのは、甘っちょろい空想主義にすぎないだろうか。

  • 労働大学まなぶ友の会以上の本 予約あります

  • 叱責や罵倒の毎日は労働者を萎縮させ、気持ちを急がせ、作業から安全と確実性を奪う。

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