その本の物語 下 (ポプラ文庫ピュアフル)

著者 :
  • ポプラ社
4.10
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本棚登録 : 604
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591140758

感想・レビュー・書評

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  • ルルー、強し。。。

    軽めのタッチのファンタジーで、最初は身の回りの人たちの幸福を願っていた魔女ルルーが、巻を追うごとに壮大なスケールの冒険に踏み出してゆく。

    魔女とは、人間と違う生き物。

    ルルーが抱えていた孤独を通じて、南波と沙綾の物語もどんどん深みを増してゆく。

    結末の必然性は?と思う部分もあるのだが、ポプラ文庫らしいということにしておきたい。

    南波の存在は、二つの物語を繋ぎ合わせるために欠かせない人物だった。
    言葉は、魔法だったのである。
    彼女の朗読に耳を済ませながら、この本には収録されていないルルーの活躍にもっともっと触れたかったなあ。。。

    上巻レビューにも書いたが、この本の魅力は構成にあると思う。
    一つの作品の外側に新たな作品を打ち込むことで、結果双方に新たな魅力が現れている。

    楽しかった。

  • 魔法が本当にある世界の話だった。
    どっちなんだろうと始終ドキドキしていたけれど、わりと最後はあっさり終わった。

    南波たちの世界よりもルルーの世界の方が、読み手には現実になってハラハラした。

    「風の丘のルルー」、作中作じゃなくて、もともと著者の作品だったのか。
    この作者の本はシェーラ姫を一通り読んだくらいだったので知らなかった。

    そんな話があったような気がしてたけど、文章が子供向けじゃないし、タイトルで調べた時にこの本が出てきたので、気のせいだったかと思ったらやっぱりあったらしい。

    自分の別の作品のキャラクターを友情出演させる作家は多いけれど、自分の作品。再編成出来る機会があるなんてすごい。

    かつて「ルルー」読者の子供だった大人が、この話を読んだら、すごい感慨に襲われそう。
    羨ましい…。

  • どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって―。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された―。傷ついた魂の恢復と人間への信頼を謳いあげた、傑作長編ファンタジー!

    成長したルルーが登場した時は、「元気で良かった!」と親しい友人に久しぶりに会った時のような気持ちになった。
    ルルーやカイオン(魔法使いの末裔)は、自分の生き方を、運命のせいにせず、「自分が選んだ道だから」と誇りを持って語る。
    自分の今いる人生で幸せになれるのか、考えてしまうことがあるけれど、彼らのように自信と誇りを持っていられれば、強く幸せに生きられるだろうなと思う。

  • 優しい優しい物語。
    過去にシリーズで刊行されたルルーの物語に、現代の物語を足して編み直したものだと最後の最後に知った。
    加害者も被害者もいるけれど、読んでる私たち誰もがどちらにもなり得る。でも、後悔しても恨んでも、そこから立ち直る方法や方向も、そっと指し示してくれている気がする。
    ルルーの他の話も読みたくなった。

  • 幼い頃にシリーズを読んでた方にとっては、胸が熱くなる作品だろうなぁ。
    この年になるともう、「シリーズものは早いとこ綺麗に完結させて!」って思っちゃうけど、昔は物語がずっと続けばいいと思ってたもの。
    終わってしまって悲しかった物語の断片に、この年になって触れられたら、それだけでちょっと感激。

  • 本気でファンタジーだった…
    驚いたけど嫌いじゃないな

  • もしかして読む順番間違ってる?ルルーシリーズを読まずこれから読んでしまってた。ルルーの物語気になり過ぎると思って調べたらシリーズが出てくる出てくる!シリーズ読んでこっと

  • ルルーは素敵な魔女さんやった!素敵なお話で心がほっこりしたり色々学べた!

  • どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって――。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された――。

    うっすら察してはいましたが、南波が沙綾を裏切ったという意味が明かされ、南波が彼女のお見舞いに来る理由も分かります。ルルーの冒険編は結構切ない。なんていうか、自分の生き方に自信を持っていられる人って少数派なんじゃないかなと思う。世間から立派だ、すごいと言われる人が皆最初から自分の理想通りになれたわけではなく、迷いながら揺れながらも自分のなりたい自分を探し続けていたのかなと。でも迷ったっていいんだよって、間違ってもやり直すことはできるよって語りかけてくれている気がします。結局沙綾とルルーの関係はいまいち分からなかったけど。子孫?

  • 意識が戻らないまま何年も眠り続ける沙綾.南波が枕元でいつも朗読するのは沙綾が大好きだった小さな魔女,ルルの物語.そして時は経ち,二人に訪れるルルの魔法とは・・・.
    久々に本格的なファンタジを読めて大満足.気持ちが沈んでいるときに読んでみるのも良いですよ.

著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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