シャバはつらいよ (一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591140826

感想・レビュー・書評

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  • 「困っているひと」の後日談です。今度は日常生活を送る上で、病身だとどれだけの障害が有るのかにスポットを当てています。
    弱者がうつむいて淡々と役所参りをして悔しい思いをしている事を、こうやって文章で描ける人が表現してくれるという事は、とても意味のある事だと思います。
    入院中に知り合った彼との、退院後のやり取りに冷たさを感じたりしましたが、こればかりは個人個人の精神の在処が全く違うと思うので止むを得ないと思います。
    彼女はとても強い人で、病身ではあっても先へ先へと考えているので、ある意味傲慢(プライドが高い)な所もありそれが彼女の魅力でもあると思います。
    とはいえ終わりのない難病と一生付き合っていかなければならないのは、本当に気の毒でならないです。

  • うーん。一作目は良かったのだが…。
    思うに、著者はかなり外向きでパワフル(はっきり言って攻撃的)な人なんだと思う。
    『困ってるひと』でもそれは感じたのだが、そういうところが今までの闘病記とは違っていいなと思ったのだ。
    自分が弱者になっていながら、まだまだ本当の弱者についての思いやりは欠けている。
    震災で身内が苦しんでも泣かないが、ミャンマー研究者としてのキャリアはあきらめざるを得ないとわかった時は号泣する。「最年少で奨学金を得た」優秀な私。自動車の免許の学科は「トップ」の私。だいたい1作目でも早稲田も受かったけど上智とか、別に書かなくてもいいことを書いていたんだよな。
    幼いころから難病で、家と病院しか知らない彼に対する態度はちょっと失礼だと思うよ。向こうは無理してつきあってくれたんだし。
    まあ、人間としてはあまり好きになれないタイプの人だな、と良く分かった。
    難病でありながら自立して生きる姿は立派だと思う。
    でも、それと「この人素敵」と思えるかどうかは全く別なんだな。

  • 少し前に書かれた本だが、ミャンマーの現状をどんな思いで感じていられるのか心配になる。
    その後、車椅子には慣れたでしょうか。
    ご活躍を期待してます。

  • 20代後半という華々しい時期に難病患者となり、長期にわたり入院生活を送っていた筆者がひとり暮らしをし、暮らしていく姿を描いたエッセイ。

    とても語り口が軽快で、まるで難病指定された病気の話とは思えないが
    内容は痛々しく、読んでいて辛くなってしまう部分もあった。

    赤裸々に書かれた文が心地よく、さくっと読めるのに心温まる。
    良い一冊だった。

  • 「困ってるひと」のときも食い入るように読んだけど、今回も。システムを変えるという眼差しとその実践に本当に敬服する。無条件にたくさんの人に薦める本を選べといわれたらたぶんこれ。なんでかは簡単に言語化できないのだけれど、幅広く多様なものを含んでいる。気持ちや出来事の克明かつわかりやすい記録としてまず優れているし、それが読んだ人の文脈でもって組み替えられる余地があるというか、そこから得る影響……のようなものがこれまたすごく臨場感をもって、ある。

  • 難病を抱え自分の体が辛い時にユーモアを言える、書ける人ってすごい。病院を出て一人で暮らし始めた大野更紗さん。「シャバ」の生活は大変なことばかりだろう。使える福祉は利用しつつも、基本的に友人家族に頼らず自分でできることが何かを考え行動していく大野さんを尊敬します。かっこいい女性だなぁと思う。

  • 「困ってる人」より大野さんの本は読ませてもらってる。
    若くして皮膚筋炎と筋膜炎脂肪識炎症候群の難病でお一人暮らしは、本当に大変だと思う。
    難病に365日休みはないから行政の助けがあってもヘルパーさんのお正月休みは、辛かったと実感。
    苦境の中、助けてもらわれたのはTwitterだったとは、改めて感動でした。
    いつも前向きな姿は闘病中の方は勿論、健康な方にも生かされてるという感謝頂ける素敵な本です。

  • 『困ってるひと』のその後。『困ってるひと』ほどの密度はないものの、日本に数人しか罹患していない難病を抱えながら東京で一人暮らしを始めた大野さんの奮闘ぶりが相変わらずの軽妙な筆致で綴られている。車椅子の補助金申請が想像以上に大変で時間がかかったり、その検査を行う施設がやたら古めかしいらしく、とても障害者のための施設とは思えないほどバリアフリーがなってなかったりと、こういう行政のなってなさをというか足りなさに憤慨するだけだったらちょっと窮屈な感じを受けるんだけど、大野さんの文章は本当に読みやすいし面白い。玄関のカギを開けるのも一苦労だったり、夏の外出、冬の外出、それぞれの装備の大変さ、自力で行動できる範囲の狭さとか、(平時でこの大変さなのに東日本大震災が起こる。本当に物資がなくなる)日常生活の不便さというのは行政を変えてほしいという前にまず実際的に自分で行動を起こさないとその日その日を生きていけない、巨大な壁の連続。大野さんの目線で取材してほしいことや伝えてほしいことはいくつか思い浮かぶけれど、まずは一日一日生き延びてほしいと思いました。
    震災直後、担当医に会って大野さんが思った、「先生にとっては毎日がこういう危機的な状況でこれが日常なのではないか」というような感想が印象的だった。

  • うーん、そういうこともあるのねと気付きが多い。マンションのドアが重くて開かない、包丁を持ってカットする、ペットボトルのふた、缶詰をあけたいが、力が入らない、パスタをゆでるにもやけどでもしたら感染症になるので細心の注意が必要。追体験することはできなくても、発信された情報から想像してみることはできる、と思って読みました。分野は異なれど、再度、大学院に入学し、難病人、物書き、研究の「三位一体」をこなすことのこと。この先の情報発信も楽しみです。

  •  前作の困っているひとが「病になるということ」に観点を置くとしたら、本作は「それでも生きること」に観点を置いている。
     私にとって、ただ、普通に日常を送り、当たり前のように生きるということが難しいという現実を知ることはまず無い。

     病気になれば入院し、その間にお見舞いに行き、治ったらまた普通通りに働いて生活をするひとばかり見ているからなのだと思う。

     このシリーズがいつまでも続いて欲しいと思うと共に、新たに入った院生生活が実りあるものであることを願うばかりです。

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