いとの森の家(一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591142073

作品紹介・あらすじ

「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。

福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。

中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……? 

そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。

【著者プロフィール】
東 直子(ひがし・なおこ)
1963年、広島県生まれ。歌人、作家。1996年『草かんむりの訪問者』で第7回歌壇賞受賞。2006年『長崎くんの指(のちに『水銀灯が消えるまで』)』で小説家としてデビュー。歌集に『青卵』『東直子集』『十階』、小説に『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『らいほうさんの場所』『私のミトンさん』『トマト・ケチャップ・ス』『いつか来た町』、エッセイ集に『耳うらの星』『千年ごはん』『鼓動のうた』、絵本に『あめ ぽぽぽ』『ぷうちゃんのちいさいマル』など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • あらすじを書けって言われたら、この作品の素敵さを全く伝えられない気がする。そのくらい日常なの。でもその一つ一つがとても生き生きしていて温かくて。涙が出るくらい幸せな一冊だった。

    こうやって丁寧に考える時間を子供達に、もちろん大人にも持って欲しいなぁ。

  • 糸島の自然がムンムンと感じられた。
    はるさんのおおきなあたたかさ。
    そしてツライ体験。
    全てが重なって、今のはるさん。
    はるさんの死刑囚の人の慰問…。それは子供達にとってショッキングな事なのに、ちゃんと受け止めていた咲子ちゃんとかなちゃん。すごいって思う。

  • 自分の小学生時代のことを思い出して、あたたかな気持ちになった。
    小学中学年の少女のわずか1年間の田舎での暮らしの物語。
    春夏秋冬、四季折々の自然と触れ合いながらの生活、
    ハルおばさんとの交流にほっこりする。

    のどかな時間が流れている。
    「となりのトトロ」的な田舎の何気ない日常生活。
    そこに生きている実感、楽しさを感じる。

    小学4年生の少女・加奈子。
    福岡県の都会から「糸島半島」の田舎に家族ぐるみで引っ越ししてきた。
    その「いとの森」の家で暮らし。
    著者の体験を元にした物語。
    初めての田舎暮らしで、戸惑うものの、すぐに友達もできて馴染む。
    都会以上に充実した毎日だった。

    オケラ遊び、ホタル観賞、海水浴、きのこ狩り、雪合戦。
    四季折々の自然を感じる生活。
    不便なことも多いけれど、充実感ある生活。

    そして、ハルおばあさんの存在。
    優しく包み込んでくれるハルさんは、ちょっと村でも浮いているところがあった。
    それは、死刑囚を慰問するから。
    そして、太平洋戦争時代、アメリカでの民族差別を受けた苦労人でもあった。
    そんなハルおばあさんが教えてくれた、生きていく大切なこと。
    「ただただ、にこにこしていること」

    ギスギスした現代日本に求められるのは、
    こんな自然の恩恵や不便さ、そして、あたたかく包み込んでくれる人
    ではないだろうか?
    「猫と子どもは出入り自由、遠慮なんてしなくていいの」
    ほっこりした。
    あたたかい気持ちになった。
    他人に優しくなれそうな気がした。
    第31回坪田譲治文学賞受賞作

  • 「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
    おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。

    福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
    都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。

    中でも特別な存在はおハルさんだ。
    童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
    だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
    なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?

    そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
    福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。

  • 小学四年生加奈子の福岡県糸島市での1年間のほのぼのとしたあたたかな物語。
    加奈子がとなりのトトロのメイとダブってしまう。
    印象に残った文章
    ⒈ 大きく広げた方のオケラが勝ち
    ⒉ 冬晴れの天よつかまるものが無い
    ⒊ ほんとに咲子ちゃんのことすてきに書くけん、咲子ちゃんは私に、一番似合うすてきな服、作ってよ

  • 色んな事を吸収する子供の頃に、こんな素敵な環境と人達と過ごせた、かなちゃんていいなぁ~て思った。言葉豊かな、自然豊かな場所で生活するって大事ですよね。命あるもの、例えば森にある小さな木の実や食材や虫や……みなに同じ命があり尊いという事を生活しながら教わり、優しい言葉で教えてくれる大人が居るという事。とても大事な事だと思いました。そんな私も、本の中の言葉で教わる事が多い生活に落胆します

  • 福岡市内の団地から小さな村に引っ越してきた加奈子。一歳上の真紀子と六歳下の徳子の三人姉妹。森の近くの丘の上に立てられた家に引越ししてきた。何から何まで町とは違う田舎。でも近所に同い年の咲子が住んでいた。そして森の中にはハルさんという可愛いおばあさんが可愛い家に一人で住んでいて、加奈子達と仲良しになった。そして生きていくことの大切さや尊さを知ることになる。

  • 福岡県糸島の風景描写が秀逸です
    森の風景
    加奈子と友達の描写もすてき
    そしてハルさん
    実在の人物をモデルにして描かれている
    あたたかい作品でした

    ≪ 残酷な 出来事乗り越え 今森に ≫

  • 作者が小学校4年生の一年間を過ごした福岡県糸島市の、森にある家のことを元に描かれたという物語です。
    糸島の自然豊かな様子や、オケラの相撲!小学校では、時としていろいろなことがブームになりますね。
    ここに、アメリカで暮らしたことがあるハルさんという老婦人が出てきます。アメリカに移住して、戦争があって、いろいろ辛い体験をされたようですが、子供たちにははっきりと語られません。ただ、「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」との祈りが伝えられます。

    ハルさんは、罪を犯した人たちに2500通もの手紙を書き続け、死刑囚の母と慕われた実在の白石ハルさんがモデルとなっているそうで、作者も交流があったとか。主人公の加奈子と親友の咲子は、ハルさんとの関わりを通じて、死について、罪を犯すということについて、自分なりに考えます。
    どうして、罪を犯した人が亡くなった時にハルさんは手を合わせるのか。咲子は「それはできません」とはっきり言うのです。この辺りの描き方がいいなと思いました。

    ほんと、これはアニメにして子供たちに見てほしいですよね。

  • 2018年1月西宮図書館

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著者プロフィール

1963年、広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。歌壇、角川短歌賞選考委員。東京新聞歌壇選者。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとも森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』、エッセイ集に『短歌の不思議』、穂村弘との共著『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』がある。

「2019年 『春原さんのリコーダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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