- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591142073
作品紹介・あらすじ
「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。
中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?
そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。
【著者プロフィール】
東 直子(ひがし・なおこ)
1963年、広島県生まれ。歌人、作家。1996年『草かんむりの訪問者』で第7回歌壇賞受賞。2006年『長崎くんの指(のちに『水銀灯が消えるまで』)』で小説家としてデビュー。歌集に『青卵』『東直子集』『十階』、小説に『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『らいほうさんの場所』『私のミトンさん』『トマト・ケチャップ・ス』『いつか来た町』、エッセイ集に『耳うらの星』『千年ごはん』『鼓動のうた』、絵本に『あめ ぽぽぽ』『ぷうちゃんのちいさいマル』など著書多数。
感想・レビュー・書評
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山村に引っ越してきた小学生の加奈子は、森の中でかわいい家に住むハルさんというおばあさんに出会う。
装丁も作者が描かれてるんですね。
福岡の糸島を舞台に、自然の中でハルさんと子供達が過ごす描写が瑞々しい。
死刑囚の母と言われた「白石ハル」さんがモデルで、作者も子供の頃糸島に住んでいたそうなのでどこまでが実話なのかよくわからないけど。罪や死について意見を押し付けるのではなく、子供達が考えるきっかけになるような話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何故かただの楽しいことや日常の風景が書いてあるだけなのに、涙が止まらない。なんでやろ?うちの田舎はこのまんまな感じでした。
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あらすじを書けって言われたら、この作品の素敵さを全く伝えられない気がする。そのくらい日常なの。でもその一つ一つがとても生き生きしていて温かくて。涙が出るくらい幸せな一冊だった。
こうやって丁寧に考える時間を子供達に、もちろん大人にも持って欲しいなぁ。
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糸島の自然がムンムンと感じられた。
はるさんのおおきなあたたかさ。
そしてツライ体験。
全てが重なって、今のはるさん。
はるさんの死刑囚の人の慰問…。それは子供達にとってショッキングな事なのに、ちゃんと受け止めていた咲子ちゃんとかなちゃん。すごいって思う。 -
「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。
中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?
そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。 -
東さんの新刊、楽しみに読む。
事前情報なく読んだので、題名から東さんの作品にある
現実と夢うつつの入りまじった少し不思議な話かと
思っていたが、著者の子供時代の爽やかな思い出の物語だった。
その当時住んでいた、この物語の舞台となる
福岡県糸島郡に実際にいた死刑囚の母と呼ばれる
白石ハルさんも主人公かなちゃんと交流のある
近所の素敵なおばあさんとして出てくるフィクション。
主人公の小学四年生のかなちゃんと、
近所の同級生咲子ちゃんの
子供ながらに真剣に物事を考える姿勢とか
一生懸命自然を楽しむ姿とか、
将来の夢を語り合う場面とか、
読んでいてとても楽しく、これから大人になる
子供時代のなんと夢多く意欲溢れることかと
こちらまで意気揚々とした気持ちになって
読後感も良かった。
俳人だけあって、自然や空気の感じ方がリアルで
情景が素敵な情景が思い浮かぶ場面がたくさんあって
その部分だけまたしみじみ読みたいなと思う。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/573063 -
小学四年生加奈子の福岡県糸島市での1年間のほのぼのとしたあたたかな物語。
加奈子がとなりのトトロのメイとダブってしまう。
印象に残った文章
⒈ 大きく広げた方のオケラが勝ち
⒉ 冬晴れの天よつかまるものが無い
⒊ ほんとに咲子ちゃんのことすてきに書くけん、咲子ちゃんは私に、一番似合うすてきな服、作ってよ -
色んな事を吸収する子供の頃に、こんな素敵な環境と人達と過ごせた、かなちゃんていいなぁ~て思った。言葉豊かな、自然豊かな場所で生活するって大事ですよね。命あるもの、例えば森にある小さな木の実や食材や虫や……みなに同じ命があり尊いという事を生活しながら教わり、優しい言葉で教えてくれる大人が居るという事。とても大事な事だと思いました。そんな私も、本の中の言葉で教わる事が多い生活に落胆します
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福岡市内の団地から小さな村に引っ越してきた加奈子。一歳上の真紀子と六歳下の徳子の三人姉妹。森の近くの丘の上に立てられた家に引越ししてきた。何から何まで町とは違う田舎。でも近所に同い年の咲子が住んでいた。そして森の中にはハルさんという可愛いおばあさんが可愛い家に一人で住んでいて、加奈子達と仲良しになった。そして生きていくことの大切さや尊さを知ることになる。