百貨の魔法

著者 : 村山早紀
  • ポプラ社 (2017年10月5日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591142721

作品紹介

時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!

百貨の魔法の感想・レビュー・書評

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  • 時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。
    エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族等。
    それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語。



    以上、そんな内容の、去年の本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』のスピンオフ位置付け作品です。

    まず舞台の百貨店に関してですが、個人的に人生で5回の引越しの中で百貨店が生活圏にあったのは2回であり、
    その2回の百貨店の思い出は、ブックオフがなかった時代の夏休み&冬休みの企画フロアでの古本市と、1階中央広場の噴水は綺麗だったな程度で、
    毎週末通いたい程の魅力はなかったし、作品で語られる素晴らしい接客に出会った事もないし、
    正直、百貨店よりも専門店の方が品揃えに優れているので意義を感じないため、
    この時代に舞台が百貨店という時点で微妙な選択だなと思いました。

    で、全5編の短編のうち、最初の話は見事な接客だなと思いましたが、以降の話は心に響かず、
    次期社長と噂される社長の後妻息子がぼんくらだから、もしぼんくらが社長になったら百貨店の大危機という話になっても打開策が打ち出される事もなく、
    対抗馬的な救世主が生まれるのか?という余韻で終わるのが凄く中途半端でした。
    正直、続編ありきな終わり方で、きちんと作品を締めて欲しかった。

    こういうジャンルの他の作品だと、職場の危機に皆が奮起したり・主人公が奮起したり・社長が奮起したりして、革命的な打開策に奮闘するのが定番であり、そこにハラハラドキドキの感動が生まれますが、
    今作品は善い人たちのみで構成されたぽやぽや社員たちが静かに沈み行く職場を大変だなと言ってるだけ。そもそも、そんなに素晴らしい接客がきちんとお客様に伝わっていたら大盛況となり閉店の噂なんて出ないでしょうに。

    また、タイトルにもある白い猫の『魔法』も、何となく幻想のような猫を店内で見かけたら悩み事が何となく解決する程度でファンタジーというレベルではなく、
    こんな中途半端な内容なら、きちんと人間と意志疎通する魔法猫を大活躍させれば良いのにとも思いました。

    加えて個人的な嫌な予感としては、今年出版される『桜風堂ものがたり2』が来年の本屋大賞ノミネートとなり、
    来年『百貨の魔法2』を出して再来年の本屋大賞ノミネートとする本屋大賞作家計画なのでは?と感じます。

    『桜風堂ものがたり』は読書家にとって身近な本屋が舞台であり、読書家にとって大切な本を真心で売る書店員方の想いや誇りは見事に心響いて素晴らしかったのですが、
    それを無理矢理スピンオフ作品にした事は正直ガッカリなレベルの今作品でしたし、これをノミネートした本屋大賞自体にも呆れるばかりです。

  • 優しくて優しくて優しくて、そして温かい。村山小説は真ん中に優しさのコアがあって、その周りをたくさんのいろんな優しさが包み込んでいる。だからどこからめくっても温かい優しさがあふれ出て来る。
    悲しいけれどこの世界には多くの嫌なことが転がっている。憎しみや悪意や敵意に振り回されているからこそ、この物語の優しさに救われる。
    誰かに裏切られたり傷つけられたり、あるいは逆に自分の中のある誰かへの黒い気持ちに気付いてしまったりするとき、そんな負の感情とのバランスをとるために私たちは村山小説を求めるのかもしれない。こんな嫌なことばかりある世界だけど、もう少しここにいてもいいかもしれない、とそんな気持ちにさせてくれる。自分の中にある優しさをもっと感じてみたい、って思える。
    今回の舞台は百貨店。デパートじゃなく百貨店。小さくて古い百貨店。古いからこそそこにはたくさんの人の思いがつまっている。誰かの誰かへの思いと優しいまなざしが、金目銀目の白猫になって奇跡を起こしてくれるんだろうね。魔法や奇跡は、結局誰かの思いが起こしている、そんな気がする。
    私も行ってみたいなぁ、星野百貨店。そして魔法を使う猫に会ってみたい。そして一つお願いをしよう。かなうかな。かなうといいな。

  • 見たものの願いを一つ叶えてくれる猫がいる百貨店。内装も働いている人たちも、とても素敵な百貨店でした。
    願いを唱えながらも、前を向き、一歩を踏み出そうとする様子は、読み手の背中を押してくれる作品でした。
    伏線も見事に回収されていて、百貨店の再建もとても気になります。どのように再建されるのか…続きを読みたくなりました。


    この著者の方の作品はいつもあたたかさと優しさや愛情がたくさん詰めこまれていているなあと思います。
    今回も読み終わったあと、穏やかな気持ちになり、あたたかくなりました。

  • 装丁は素敵。
    今年の本屋大賞ノミネートは続編やらスピンオフやらで…なんだかなぁ。

  • 『金目銀目の白い子猫。不思議な猫は魔法を使う』
    とある町に立つ老舗の百貨店でのお話。
    そこで働く人々の物語です。
    いろいろな事情が人それぞれにあり、幸せなだけではない部分もあるのですが、そこを不幸感なく読ませるのがすごい。
    『桜風堂ものがたり』とは姉妹作のになるそうなので、そちらもあわせて読みたいです。

  • 良く言えば村上さんらしさが詰まった宝石箱の百貨店の世界で優しい風が吹く短編集。
    白い猫が可愛い足跡を残すかのように人々をすくい上げる作品の優しさが私の肌に今回は合いませんでした……。
    一話目の熊の話やお化粧のお話なんかすごく好きで全部が全部合わないというわけでなく、他の章も含めて明日になったら忘れてしまいそうな淡い印象。
    百貨店のキラキラした敷居の高さや手厚い環境などお客様にとっても従業員にとっても特別な場所なのだと描いておられる世界観はとても好きです。

  • 新聞広告で「この冬、一番の感動を!!」(大人のための奇跡の物語!)とあったので読んでみた。百貨店を舞台にしたよく出来たファンタジー。題名作でもある終幕の一編が一番好きでした。

  • 子どもの頃のデパートは
    休みの日に、家族でおしゃれをして出かける場所だった。
    親の買い物につきあったあと、
    最上階のレストランでお子様ランチを食べて
    おもちゃ売り場でおもちゃをひとつだけ買ってもらう。
    私はそんな思い出を持つ最後の世代かもしれない。

    不思議なことが次々と起こる風早の街。
    この街にある老舗デパートにも
    やはり幸せな奇跡がたくさん起きていました。
    この作者の物語を読むと必ず、
    子どもの頃の幸福な読書体験を思い出すのですが
    今回も、デパートの思い出と共に
    そんな記憶がよみがえって来ました。
    毎回物語のどこかに、思い出の起爆剤のようなものでも仕込んであるのかしら。。。

  • 地方都市で愛され続ける百貨店。
    時代の波に押されながらも奮闘する従業員たちを描く、連作短編。
    実直で、清く、ひたむきで、強い想い。
    それに触れるだけで、涙腺がゆるむ。
    『夏の木馬』が良かった。

  • 物語は今の時代の設定なのですが、私が子供だった昭和の時代の百貨店を思い出し、とても懐かしくなってしまいました。村山早紀さんのシリーズによく出てくる風早の街が舞台で、知っている場所を旅しているような気持ちになります。ただのショッピングセンターとはまったく違う星野百貨店。お客様に心から満足してほしい、楽しんでほしいという店員さん達の心づかいが素敵です。ここができた経緯も感動的です。ちょっと不思議でわくわく楽しい星野百貨店に行ってみたいし、白い子猫に会ってみたいな。星野百貨店が出てくる「桜風堂ものがたり」を、もう一度読み返してみようと思いました。

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