ココロときめくアンソロジー キラキラ! (ポプラポケット文庫 999-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591145944

感想・レビュー・書評

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  • 「ココロときめくアンソロジー」で御座います。小学生女子向けレーベルのアンソロジーなんやけど、青い鳥文庫や角川つばさ文庫よりはややお姉さん向けかもしれない。
    ちゅうか、面白かった。

    そもそもは、「和パティシエール」でおなじみのマリエちゃんの話が収録されているということで借りたんやけど、内容も心なしかお姉さん・・・。
    まさかの渡仏。でもって、マリエちゃんまでフランスで修行するかも、みたいな話になっていて、エッ、いいの。友情は。
    あんこちゃんたちとお菓子を作る展開は今後どうなるん!?

    って思ったけど、小学生なのにプロ意識がめっちゃ高いのが「和パティシエール」のキモですからね・・・。
    あの話なら、渡仏してパティシエ修行っていうのも、あるかもしれんわ・・・。

    でもまあ、同じ小学生の親目線でいうと、パティシエールの勉強ももちろん大事やけど、小学校というのもとてもたくさんのことを学べるところやし、ほんで、一見関係ないように見える小学校での友だちとの生活も、パティシエールになるために役立つことはたくさんあるやろうからね~。

    パティシエールの勉強はこの先望めばいくらだってできるけど、小学生っていうのは小学生の間しかできひんからね・・・。
    せめて、中学校まではふつうに暮らしていてもいいんじゃない・・・? って思うけど、べつにフランスで学校へ通ってもええんやもんね。
    すいません余計なお世話(笑)。

    しかしこの調子で渡仏して修行を始めそうなマリエちゃんシリーズの「和パティシエール」も、どうなるんだか、やや気になる・・・。

    気になるけども・・・、私はあんこちゃん(の修行)のほうが気になるかも。笑


    ほんで、このアンソロジーにはなんと向井湘吾氏も書いている・・・!
    正直、ラインナップで氏の名前を見て「まじか! 小学生女子向けに書くのか!!」と、いろんな意味で期待したんやけど、こちらはそこまでのインパクトはなかったかな・・・。
    なかったというか、シリーズものやったので、キャラが掴みきれてなかったのかも。
    相変わらず数学の天才は登場してるみたいやし、熱血くんとやる気のない天才肌くん、さらに美人女子という三人トリオは著者らしいなあと思う。

    この三人の活動が、この短編だけでは全然わからなかったので、シリーズ読んでみる・・・? とも思うけど、まあまあまあまあ、ここは先に「数学屋さん」を読もうかな。
    敢えて児童書行かなくてもまだ著者の未読作品はようけあるからな~。(*^▽^*)

    今回一番気になったのは「女神のデパート」かもしれない・・・。
    「弁天堂百貨店」はじめ、ななつの名前を聞いてもピンと来なかったわ。過去の話を読んで、はじめて
    「ああ・・・七福神やったのか・・・」
    と、気づいた。

    宝市と弁天堂百貨店に何が起こったのか、めっちゃ気になるのでこれはちょっと読んでみようかな。

    あー・・・、今さらやけど、ポプラ社か。なるほど、ポプラ社やったのかー。
    ほしたら向井氏が書いてるのも納得できるし、「女神のデパート」も、魔女が登場するのも、なんか、納得・・・。

    その、魔女が登場する「きらりん★マジカル・テスター」は、小学生女子が男子に憧れてバレンタイン云々っちゅう今風の話なのかと思いきや、チョイチョイ重いテーマを放り込んできはったと思う。

    「自分の好きな人」を、見つけるためのパウダーっていうのが、そもそも深い。
    「自分のことを好きな人」ではなくて、自分が好きな人やで。そんなん魔法の力を借りなくてもわかるやろうし、また、魔法の力を借りないとわからん程度の好きって何やねんって思ったら、ちゃんとそれは作中で触れられていた。

    せやけど、女子のつながりとして、あるよなあ、こういうのって!!
    異性に対してどうというよりは、女子同士のつながりの兼ね合いで誰かと恋愛するって、程度の問題こそあれ、あるよー。
    こういう良くも悪くも面倒臭い感じが、うまくでてるな・・・。
    ほんで、中島くんとか・・・。

    料理もできて優しくて、笑顔が可愛いって・・・。そりゃあ今はちょっとぽっちゃりかもしれへんけど、彼はほんま将来性があるやろう!!
    成長期がきて縦に伸びた中島くんとの腐れ縁とか、かなり面白いと思う。ちゅうか、好みだ。


    ほんで、女子ならではの「良くも悪くもめんどくさい感じ」がフルに発揮されてるのが、フェアリーシリーズ。
    これはシリーズやといるかちゃんがメインになってるのね。
    でもって、ややドジっ子ぽいいるかちゃんをフェアリー的なもの(笑)がフォローするという展開なのかな?

    今回は、ポスト亜弓さん(@ガラかめ)かと思わせる、才色兼備で努力の女王、エリカちゃんのお話やったのだけど、まーあこの子、えらい。
    すごい。
    努力家で優等生で、またそんな自分をちゃんとわかっているエリカちゃんのやるせない気持ちというか、もどかしさが
    「あーーーー!!」
    ちゅうくらい、はがゆくって、はがゆくって!!

    いるかちゃんも憎めないし、エリカちゃんはもっとはがゆいし。
    でも、魔女の力を借りなくても、ちゃんと距離を縮めていけたのは、すごいと思う。
    本編ではフェアリーなるものが登場して、見えないところであれこれフォローしてくれるんかな?

    事前準備もばっちり、予行演習も全部やった、あとは本番ってところで、外的要因で足を引っ張られる・・・。
    確かに、そういうことってあるかもしれない・・・。
    それに対して
    「わたしってかわいいところもあるでしょ」ってウィンクをすればいい
    っていう、エリカ母の技は見事やわ。

    エリカ母は決して考えなしでも天真爛漫でもなく、酸いも甘いもかみ分けた結果のこのコメントなんやろうと思うと、
    「さすが、この母にしてこの娘!」
    って思う。

    ほんで、最終的に
    「失敗したらしたで、別にいいじゃない」
    と、いい意味で「たかが」と、振り切れたエリカちゃんは、何か乗り越えたな! って思った。

    いくら努力家でかんぺきなエリカちゃんでも、一人では吹っ切れなかったと思う。
    やっぱりこういうときに、一見対岸にいるような友だちの影響っていうのは、大きいよ。


    どれだけ努力しても、結果を出さなければないも同然、と、いうテーマをここで放り込んでくるのかー。
    児童向けの小説なんやから、努力すればすべて報われる、なんてきれいごとでもいいのにね。そのへんがシビア。

    努力をしていても結果が出なくても、がんばったからいいよなんて言うてもらえる世界はそうそうないよね。
    どんなけ努力しても、どんなけ遊んでるふうに見えても、結果だけなんやもの(いや、常識的な程度の問題はあるけど)。

    努力するほうが簡単かも。でも、努力を重ねても、一見遊んでる風の人にかなわないときのやるせなさったら、つらいよね。つらいわ。

    ところで努力家のエリカちゃんがなぜがんばれるかというと、「尊敬する両親が努力家」なんだそうだ。
    ウッ・・・! って、なるよね・・・。(;^ω^)

    子どもはシビアに親を見てるもんね。
    私も、自分のことをちゃんとするようにしよう。

    (2017.05.15)

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著者プロフィール

『セカイの空がみえるまち』で第3回児童ペン賞少年小説賞を受賞。『となりの火星人』、「恋する和パティシエール」シリーズ他作品多数。日本児童文学者協会会員。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2023年 『リトル☆バレリーナ  きらめきストーリー☆3つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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