おとめの流儀。

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591147412

作品紹介・あらすじ

凛々しくキュートな“なぎなた少女”の青春物語

中学生になったばかりのさと子が入部したのは、全国でもめずらしい「なぎなた部」。
凛々しい美人だけどかなり変わり者の2年生・朝子さんしか部員はおらず、さと子は部員集めに奔走する。
なんとか急造したへっぽこなぎなた部は部長の朝子さんの独断で、思わぬ相手と闘うことに――。
一方、変わり者といえばお母さんもだ。
「どうしてうちには、お父さんがいないの?」と聞いても、
「オトウサン? 何それ?」とトボけるばかり。
でも中学生になったから、もう騙されてあげられない。
さと子の13年の人生をかけた闘いが始まる。

「なぎなた部、かっこいい!
ぐふぐふ笑いながら読み、試合シーンに息をのみ、最後はまばゆくて文字がかすんで見えました。……涙のせいかもしれません。
さわやかで、切実で、頼もしく愉快な中学生の姿に触発され、私もなぎなたを手にしたくなりました!」 
――三浦しをん氏

強くなれる。大事なものを、きっと守れる。
俊才が放つ、青春小説の新たなる傑作!


<著者プロフィール>
小嶋陽太郎 こじま・ようたろう
1991年長野県松本市生まれ。信州大学人文学部在学中。2014年『気障でけっこうです』(KADOKAWA)で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。第二作は15年『火星の話』(KADOKAWA)、本作が三作目となる。端正な筆致と軽やかな感性で注目を集める現役大学生作家。

感想・レビュー・書評

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  •  中学生になったばかりの聡子が入ったなぎなた部は、人数不足で廃部寸前。なんとか部員を集めて活動を開始できると思ったら、部長の朝子がとんでもない目標を掲げだす。「打倒剣道部!」。

     廃部寸前の部活とか、はじめはバラバラな部員たちが徐々にまとまっていって目標達成を目指すというような王道の部活もの。ティーン向けの内容ではあるが、人の心の動きを描くことに長けている著者なので、登場人物たちの内面がよく見えて、単なるキャラものの作品にはとどまっていない。
     聡子は小学生のころからなぎなたをやっているので、なぎなたの大会ではなく打倒剣道部を目指すことに反発を覚えるし、朝子は彼女なりになぎなたや武道にかける思いがある。
     脇役にもちゃんとバックボーンがあって、現役時代は凡才でしかなかったなぎなたの指導者が、「自分にはへたくその気持ちがわかる」と初心者の指導に乗り出すところには強く共感した。私が学生時代に所属していた陸上部の顧問が天才肌で、彼のなんでも走力を鍛えれば解決するという考えと相いれず苦労した経験があるからだ。そのなぎなたの指導者はちょっとねじ曲がったところのある男なのだが、著者は鬱屈とした感じとかネガティブな感情を表現するのがうまい。

  • 軸はスポーツ(なぎなた)の話なのだけれど、家庭の事情なども絡んで来るのでなかなか読み応えがありました。
    小嶋さんの作品は2作目なのですが、流れる様な独特の文章がやっぱり好きで癖になります。それになぎなたの試合の描写が、なぎなたに馴染みの無い私にもとても分かりやすかったです。

  • 凛々しくキュートな“なぎなた少女”の青春物語

    中学生になったばかりのさと子が入部したのは、全国でもめずらしい「なぎなた部」。
    凛々しい美人だけどかなり変わり者の2年生・朝子さんしか部員はおらず、さと子は部員集めに奔走する。
    なんとか急造したへっぽこなぎなた部は部長の朝子さんの独断で、思わぬ相手と闘うことに――。
    一方、変わり者といえばお母さんもだ。
    「どうしてうちには、お父さんがいないの?」と聞いても、
    「オトウサン? 何それ?」とトボけるばかり。
    でも中学生になったから、もう騙されてあげられない。
    さと子の13年の人生をかけた闘いが始まる。

    「なぎなた部、かっこいい!
    ぐふぐふ笑いながら読み、試合シーンに息をのみ、最後はまばゆくて文字がかすんで見えました。……涙のせいかもしれません。
    さわやかで、切実で、頼もしく愉快な中学生の姿に触発され、私もなぎなたを手にしたくなりました!」
    ――三浦しをん氏

    強くなれる。大事なものを、きっと守れる。
    俊才が放つ、青春小説の新たなる傑作!

  • とても楽しい読書時間でした。「なぎなた」、「青春小説」というキーワードを裏切らない秀作。

  • 大会ベスト8とか、
    上位大会進出とかではなく、
    目標は打倒男子剣道部!
    という意外性が、新鮮。

    試合の様子も、
    あっさり過ぎずしつこ過ぎず、良い塩梅。

    面白い。

  • 主人公が少し「ペンギン・ハイウェイ」のアオヤマくんに似ている
    なぎなた部、父親探し、公園のホームレス風のおじさんとのエピソードの3つが絡み合う
    さわやかな良作
    キャラが立っている

  • 中学に入学してさと子が入部したのは廃部寸前のなぎなた部だった。

    部員は2年生の朝子さんたった1人のなぎなた部だったけれど
    さと子と同じ1年生が4人入部したことで廃部を免れた。

    先輩の朝子さんのなぎなたで剣道部を倒すという謎の目標に道連れになったほぼ初心者の部員たちと

    毎日一緒に特訓していくことで
    時につまずきながらも日々前進していく様子。

    部活って良いよなあ。自分も部活頑張ればよかったのかな。
    キラキラしてて、青春。
    著者が自分よりも年下という事実を最後に知って驚愕。

  • 自分は部活の関係でなぎなたを知りたいと思ったため、この本を読みました。
    この本では、武道や闘いなどによる特有の緊迫感はもちろん、それによる爽快感をも感じられました。
    さと子の心情も交えた言葉や簡素な文は、読んでいてとても心にすっと入り込んできました。

  • おなじみの部活もの。なぎなた部をとりあげていることと剣道部との対決にもっていくところがユニークなところ。設定、筋運びは鉄板ネタのもの。部員が集まらない。集まったのはポンコツ系。辞めたいという人が出てくるが、チームワークとなぎなたの魅力が求心力となる。軋轢や不仲。やる気のない先生。強くて魅力的なライバル。自分との戦いに、人間としての成長。家はシングルマザーで、父親探しが一つのテーマになる。公園にホームレスのような人がいて、アクセントとなっている。難しい言葉はカタカナにするなどして中学生の雰囲気をうまく出している。なぎなたのディテイルが新鮮で面白いことと、成長の経過がうまく描けている。

    『だけどきっと、相手は問題じゃない。逆だ。相手がだれでも、それとたたかうのは常に自分。自分のことを、よく見なきゃ。ひとりにひとつずつ、自分のたたかいがある。自分だけのたたかいが。それはたぶん、すごくシンプルで、すごく当たり前で、そして、すごく重要なことだ。』

    肝心の試合は全校生徒が観客になるといった設定もおなじみ。事前に練習試合をしており、試合本番では成長を見せて勝つというところが、なんと1勝4敗というのがちょっと珍しい。しかしそれでマネージャーになっていた部員が復帰したりといった成長物語になっている。もしかして2狙い?映画化してもいいドラマにはなると思う。

    ホームレスは実は新聞社の人だったり、父親との離婚の理由といった説明が不足していて不満が残る。

    文庫王国2018エンターテインメント1位

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著者プロフィール

1991年長野県生まれ。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』『友情だねって感動してよ』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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