ミナトホテルの裏庭には

著者 :
  • ポプラ社
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  • / ISBN・EAN: 9784591149102

感想・レビュー・書評

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  • 本を手にした時に優しい気持ちになった。
    装丁同様優しい物語です。

    「我儘互助会」と名付けて集まる幼馴染の老人達。
    そのうちの1人である陽子さんが経営していたミナトホテルはちょっとわけありの素敵なホテルでした。
    陽子が亡くなり気落ちする仲間たちが考えた一周忌を仲間の1人・木内が孫の芯に手伝うように命令するのですが……

    木内をはじめ老人達がみな素敵です。
    陽子の子供の篤彦、篤彦の片思いの相手の桐子や
    芯、芯の会社の花岡さん…
    みんな何かしらの悩みを持ち日々を過ごしている。


    作中に素敵な言葉がいくつも出てきます♪
    「誰かの助けになれるとか守るとか、そんなものは一緒に倒れる覚悟がある相手にしか、ほんとうは言ってはいけないんだ」
    「自分をないがしろにしている人が、誰かを大切にできるわけがない」

    強くても痛いものは痛い…
    人には逃げ場が必要という篤彦の言葉にホッとして肩の力が抜けていきます。


    • みんみんさん
      弱音の吐けないあなたにどうぞ笑
      弱音の吐けないあなたにどうぞ笑
      2023/09/15
    • 1Q84O1さん
      頑張りすぎてはないけど心を軽くしたいかも!
      これはストレス??w
      頑張りすぎてはないけど心を軽くしたいかも!
      これはストレス??w
      2023/09/15
    • みんみんさん
      ストレスです♪10年我慢してください笑
      ストレスです♪10年我慢してください笑
      2023/09/15
  •  大正末期に建てられた古く小さなホテルを舞台に繋がる人々を描くヒューマンドラマ。
     2部構成で、メインとなる長編「咲くのは花だけではない」とスピンオフに当たる短編「手の中にある」からなる。
             ◇
     都心のビル街にそぐわない2階建ての古い建物。色と形からキャラメルを連想させる可愛らしい外観のその建物は、実は大正末期に建てられた小さなホテルだ。

     ホテルの裏側には小さな庭園があり、かつては季節ごとの美しい花で園内が彩られていた。だがホテルのオーナーだった湊陽子の死後、裏庭の入口にある金属製の扉の鍵が見当たらなくなったまま半年以上が過ぎていた。

     陽子が中学時代の友人3人と作っていた「互助会」という茶飲みグループ。仲間の1人が古武士の風格を持つ木山覚次郎である。
     その覚次郎のもとに、陽子の息子の篤彦から大判の封筒が郵送されてきたのは先日のことだ。
     中にはさらに覚次郎宛の封筒が入っており、その中身は陽子が互助会に持ち寄るつもりで書いた習字だった。

     「私の葬式は、裏庭でやる。」と半紙に書かれた陽子のことばを見た覚次郎は篤彦をはじめ互助会仲間にも相談し、陽子の一周忌をホテルの裏庭で行うことにした。

     そのためには裏庭を閉ざす門の鍵を見つける必要がある。だが整理整頓が苦手だった陽子の部屋は雑然としており、陽子に輪をかけて片付けの才がない篤彦に遺品の整理ができないのは自明のことである。そこで白羽の矢が立ったのが、覚次郎の孫で片付け上手の芯輔だった。
     地方から大学進学のため上京し卒業後も祖父宅に居候させてもらっている芯輔は、その依頼を引き受けざるを得ない。

     こうして芯輔は仕事帰りにホテルに赴いて、1階にある陽子の部屋で鍵探しを兼ねた遺品整理をすることになったのだった。(「咲くのは花だけではない」)

         * * * * *
     
     大好きな作家のひとり、寺地はるなさんのデビュー2作目。本作は 2016 年に刊行された作品であるのに、図書館で借りようとすると貸出中だったということが何回か続きました。( 結局、予約して借りることができました。)

     読んでよかった。淡々と描きながらもユーモラスであり、妙な煽り方をしない文体が個人的には肌に合います。
     だからストーリー展開は軽めでも、やっぱり寺地さんの設定した世界にはまりこんでしまいました。

     まず主要舞台となっている小さなホテルがいい。

     客室が6つしかなく、スタッフもいないホテル。それでも、ウリはきちんとある。
     落ち着きと癒やしの空間を作り出すことで、安眠をサポートしてくれるということです。

     客室がすべて防音仕様になっている。約100 年前の建物だけれど、しっかり重厚に造られているのでしょう。大正ロマン溢れる、当時としては贅沢な造りだったに違いありません。
     さらに、部屋にはアンティークの調度類と季節の花の一輪挿しが置かれ、落ち着きと癒やしの空間を演出してくれています。

     だから不眠や睡眠不足に悩む人にとっては知る人ぞ知るホテルとなっていて、そこそこ繁盛しています。まさに隠れ家で、泊まってみたくなるホテルです。

     それから主要登場人物がいい。

     ホテルの新オーナーの篤彦。

     飄々とした言動をとりがちなので適当な性分に見えます。実際に片付けは得意でなく施設の管理・運営が心配になるほどですが、観察眼は鋭いし客との距離のとり方も申し分ありません。芯輔の成長に少なからず影響を与えたのも頷けます。

     篤彦は生まれてすぐに両親から育児放棄に遭い、伯母の陽子に引き取られました。ほどなく両親は事故死してしまったため正式に陽子の養子になったのです。
     少し屈折していてシニカルなところがあるのは、生い立ちを知っているからでしょう。ただし豊かな愛情を注いでくれた陽子を慕うとともに深く感謝もしているのは確かです。
     
     主人公の木山芯輔。

     名前とは裏腹に芯が確立しておらず、自己主張が弱い。その分、優しくはあるのだけれど、恋人には頼りないと言われてフラレるは、上司からは小馬鹿にされパワハラめいた扱いを受けるはと、さんざんでうまくいきません。
     そんな芯輔がホテルでのバイトを通して少しずつ成長し、人間としての芯ができていく展開が実にうれしい。
     
     芯輔の祖父の覚次郎。

     剣道有段者であり、落ち着きと威厳がある。けれどお茶目でトボけたところがいい味です。
     出勤しようとする芯輔に覚次郎が渡した麻袋の包み。「役に立つときが来るから持ってなさい」という覚次郎の重々しい口調に、ヤマトヒメ(→ ヤマトタケル)とか諸葛孔明(→ 趙雲子龍)を連想したけれど、中身はと言うと「外国製のチョコレート」「パイナップルの缶詰」そして、「夏目漱石の『虞美人草』の文庫本」です。大笑いしました。(でも役に立つ展開にまた大笑い。)

     その他、芯輔の同僚の月子さんや、篤彦が片想いするシンママの桐子さん。覚次郎の友人で互助会メンバーの美千代さんと福田さんも、名脇役として欠かせぬ存在でした。

     人と人が優しさで繋がることのすばらしさをじんわりと感じることができて、ほのぼの温かい気持ちになりました。

  • 祖父の友人・陽子が経営していて今は陽子の息子・湊が引き継いでいる通称ミナトホテル。看板を出していないのは訳アリのお客様を泊めるため。
    そのミナトホテルに祖父からあることを頼まれてやってきた芯(しん)は、足を骨折した湊に飼い猫捜しとフロント業務の手伝いまで頼まれ、会社勤めと合わせ忙しい日々を過ごすことになる。

    芯がミナトホテルと関わるいきさつや、芯の祖父と陽子との関わり、湊と陽子との関係など結構複雑な上、芯や同僚・花岡の過去の恋愛がなかなかキツかったり、芯の上司が面倒な奴だったり、芯は心の中では結構キツいことを言っているのだが表面上は静かだったり、ミナトホテルの客で湊が想いを寄せる桐子がキツい状況にあったりと、なかなかシビアな話。
    それなのに読んでいると不思議と穏やかな空気になってきて、時にクスッとすることもあって楽しい。

    だが一方で湊の『他人のつらさの度合いを他人が決めつけることこそおかしい、何の権利があって他人のつらさを判定しているのだ』とか、祖父の『気に食わないことがあるからと言っていちいち辞表を出しとったら、世界中どこにもお前さんの居場所はなくなるよ。しかし死ぬほど辛い場所で青筋立てて頑張る必要もない。がんばりどころと、そうでないところを間違えてはいけないよ』など、ドキッとする言葉も出てくる。

    亡くなった陽子もまたなかなかキツい人生だったようで、それだけに彼女を支える芯の祖父はじめ仲間たちが始めた我儘互助会が楽しげで良い。

    そんなシリアスとユーモアと優しさと切なさとが混じり合い物語が進んでいく。
    芯の良くも悪くも『冷淡』だった部分が、登場人物たちの苦しさや切なさが少しずつ溶け出して柔らかくなっていく感じ。傷付いた人たちが傷を舐め合うのではなく共に前に進んでいく感じが良い。

    『誰にでも必要だと思う。家でも、職場でも学校でも、友だちのところでもない、逃げ場。(中略)疲れたら休めばいいと思う』

    陽子が行き着いたミナトホテルの存在意義を湊はきちんと受け継いでいた。裏庭での陽子の一周忌はほのぼのしていて良い。こんな一周忌、素敵。

  • この二編からなる物語、長い長い一編は二編のためにあったんだろう。
    どこに着地するのかわからない不思議な感覚で一編を読み終えたら、二編では一編で何者なんだろうと思っていた人が主人公になっていた。
    またしてもヤングケアラーだった。
    無意識に引き寄せている時期なのかな。
    「他人に心を開かない者は、他人から心を開いてもらえないのよ、陽ちゃん」うん、分かってる。でもどうしたらいいのか分からないの。
    「強くても痛いものは痛いんだ」そうか、私の心はずっと痛かったのかと思ったら涙が止まらなかった。
    「やりかたが分からない」「馬鹿ね。ただ思ったことを口に出せばいいのよ」そうなんだ。でもそれが一番難しい。
    それで生まれたのが「我が儘を言い合い、聞き合う互助会」。いいなぁ、私も入りたいなぁ。
    この間読んだ「汝、星の如く」にも出てきたよな互助会。
    物語だからこんな都合よく周りに支えてくれる人がいるんだろうと思っている内はきっと私にはまだ互助会は現れないんだろう。

  • 何といっても、装丁がかわいいです!

    <我儘を言い合い、聞き合うための互助会>の我儘書道。いいなぁ。
    いくつになっても、なんの気兼ねもなく、弱音や愚痴をこぼせる関係ってありがたいですよね。

    世の中から取り残されたように感じるときも、
    誰か気にかけてくれる人がいるだけで救われる。
    ひとりぼっちじゃない。それだけで心強くなれる。
    我慢することもいいけれど、肩ひじ張らずに甘えることがあってもいいんですね。

    平田カラメルちゃん失踪事件で、
    常に猫成分が不足しているという女性登場に、私も~!(笑)

    残念だったのは、ようやく鍵が見つかった裏庭の花園の描写が少なかったこと。
    『秘密の花園』みたいでわくわくしてたんですが…。

    きれいな花は、地上のいたるところに咲いている。
    でも咲くのは花だけではない。
    世の中のどんな花より美しい”笑顔”の花。
    優しく心にしみる一冊でした。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      読み終わったんだね〜♪
      我儘書道って素敵だけど、いざ書くとしたら何を書こうって迷ってしまう。
      うさちゃん...
      こんばんは(^-^)/

      読み終わったんだね〜♪
      我儘書道って素敵だけど、いざ書くとしたら何を書こうって迷ってしまう。
      うさちゃんならなんて書くかなぁ。
      陽子さんの過去が好きだわ。
      色々あっての人生だよね。
      辛いことがあったから人にも優しくなれる気がするよ。

      うん、うん、装丁がいいよね。
      お話にぴったり合ってる♪
      2016/12/26
    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは~♪

      お知らせコメントできなくてごめんね。
      ちょっと心配事が重なってしまって、ここしばらく思うように本が読めな...
      けいちゃん、こんばんは~♪

      お知らせコメントできなくてごめんね。
      ちょっと心配事が重なってしまって、ここしばらく思うように本が読めなかったの。
      そういう時って、ダメだね。
      心で読めないね…。
      色々あっての人生。そうだよね。
      弱虫なくせに、へんなところで生真面目だから、頑張りすぎちゃうとこあるんだよ。
      この本のなかで、我慢しすぎないで逃げてもいいって書いてあったでしょう。
      それ読んでなんか、少し楽になったの。
      って、私もけいちゃんに、肩ひじ張らずに甘えてみた。(#^^#)

      我儘書道、いいよね~♪
      私もけいちゃんだったらなんて書く?って聞こうと思ってたの!
      この前『ビオレタ』とどちらが?ってお話したけど、
      う~ん、決められない。どっちも好き♪

      またあとでね。(*^-^*)
      2016/12/26
  • 表紙のかわいさに惹かれて、手にとった本でしたが、凝り固まっていた心が、ほぐれるような、あたたかいお話でした。

    ストーリーは、淡々と進んでいくのですが、心にグッとくる言葉が、随所に散りばめられています。最も印象に残った言葉は「誰かに頼られると、嬉しい。誰にも頼られることなく生きていくのは、むなしい。誰にも頼られぬ者は、自分もまた、誰かに頼ることができない。」です。この本の登場人物もそうですが、多くの人は、大切な人に迷惑をかけないように、重荷にならないように、人に頼らず、頑張ってしまう傾向があります。ずっと一人で頑張っていると、心も体も病んでしまい、心配してくれる人からの言葉も、受け入れられなくなってしまいます。ミナトホテルは、そんな人たちの、避難所的な場所です。普通のホテルとは違います。1日でも、このホテルに泊まって、ぐっすり寝て、体と心をリセットして、また新たな気持ちで、1日をスタートさせる、そんな場所です。そして、生きていくうえで、人と人との支え合いも、とても大切だということを、この本は、改めて教えてくれます。

    この本の表紙(単行本版)には、ミナトホテルの室内、裏庭に関連したイラストが描かれています。読み終わった後、この絵を見ながら、しばらく余韻に浸るのも良いと思います。私にとって、とても愛すべき一冊になりました。

  • 『手の中にある』を読んでぽろぽろ泣いた。

    『咲くのは花だけではない』を読んだ後、湊さんの優しい言葉で心が溢れ感想は湊さんでいっぱいになるだろうと思った。だけど『手の中にある』を読んだ後では湊さんや芯が若造、坊やに思えてしまう(笑)
    じいちゃんたちの深さに比べたら…。『手の中にある』でわかる陽子さんという人、陽子さんの書いた半紙の我儘に込めた思い、木山くん、福田くん、美千代さんの言葉の重み。あぁだから、だからみんなあんなに一生懸命にと切なく思った。

    陽子さんはみんな自分の事をわかっていないというけど、みんなわかっていたんだよ。だからこその「我儘を言い合い、聞き合う互助会」の発足だった。素敵な優しい人たちだね。そして誰かを喜ばせたい気持ちを最大の我儘と思う陽子さんもやっぱり優しい人なのです。

    大切なものを亡くした人に、うまく眠れていない人に、疲れている人に、悩んでいる人に、そして誰かに悩みを相談されてる人にも読んでもらいたい作品。きっと、あっと思う優しい言葉が見つかるはず。

    時系列でいうと『手の中にある』が先なのに『咲くのは花だけではない』を最初に持ってきたのがうまいなぁ。物語がぐっと良くなっている。

    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんばんは~♪

      寺地はるなさんの新作だよね?知らなかった~
      『ビオレタ』を読んで、この作家さんの雰囲気がとても好きで。
      ...
      けいちゃん、こんばんは~♪

      寺地はるなさんの新作だよね?知らなかった~
      『ビオレタ』を読んで、この作家さんの雰囲気がとても好きで。

      けいちゃんのレビューで、読みたくてうずうず!
      積読山が大変なことになっているというのに(笑)
      2016/09/15
    • あいさん
      うさちゃん♪

      こんばんは(^-^)/
      寺地さんの新作だよ。
      表紙の可愛さに購入しちゃった(*≧艸≦)
      ただ、優しいだけの話じゃ...
      うさちゃん♪

      こんばんは(^-^)/
      寺地さんの新作だよ。
      表紙の可愛さに購入しちゃった(*≧艸≦)
      ただ、優しいだけの話じゃなくて、人の嫌なところも書いてあって私はそこがいいなって思ったよ。

      私「ビオレタ」読んでなくて…
      ブクログでも読んでいる人多いよね。
      うさちゃんが「ミナトホテルの裏庭には」を読んで「ビオレタ」と雰囲気似ていたら読んでみようかな(笑)
      人任せだね〜 うさちゃんの感想楽しみにしております♪

      今日子供が帰省してきたのでちょっとバタバタしています。
      しばらく更新が遅くなると思います。心配しないでね。
      2016/09/17
  • ミナトホテルの裏庭には・・・
    きれいな花が咲いている
    でも咲くのは花だけではありません

    「我儘を言い合い、聞き合う互助会 」
    半紙に我儘をいっぱい書いて、みんなで叶え合う
    なんて楽しくて、温かくて、いい思いつきなんだろう

    私のお葬式は、裏庭でやる
    篤彦の好きなお菓子をいっぱい用意して、
    篤彦の好きなキャプテン・ロビンの主題歌をかけながら
    たくさんの風船を飛ばしてほしい

    陽子さんが我儘書道で書いた我儘を叶えるべく裏庭に集まったみんなの顔が笑っている 笑顔の花が咲いている

    「 誰にも頼らずやっていけることは、多分そんなに立派なことではないのだ。だって誰かに頼られると、嬉しい誰かに頼られることなく生きていくのは、むなしい
    誰にも頼られぬ者は、自分もまた、誰かに頼ることができない 」
    心にグサッと突き刺さる

    遠慮しなくていいんだ 甘えていいんだ
    心と身体が疲れて、眠れない夜が続いたときは、ミナトホテルへ行こう
    窓を開けてバラの花の香りの中で、ふかふかの枕と布団でぐっすり眠ろう

    わたし的には、芯輔が心にかけている初瀬さんが、早く心も身体も元気になられるといいのにな

    おじいちゃん、かっこいいし、おもしろい
    おじいちゃんの口から出てくる言葉の深いこと!
    「死ぬほど辛い場所で、青筋立てて頑張る必要もない。がんばりどころとそうでないところを間違えてはいけないよ」

    「きっと役に立つから、いつも持っていなさい」
    と持たしてくれた『虞美人草』の文庫本と外国製のチョコレート、パイナップル一缶の入った麻袋
    それが、言葉通りちゃんと役に立つんだから不思議、さすが年の功か

    かわいい装丁に惹かれて手にとったが、登場人物も魅力的、癒しの言葉の数々、心のコリがほぐれていくようだった

  • 人生に疲れて眠れなかったり食欲がない時には、ミナトホテルに行くといい。
    そんな不快もきっと解消されるはずだ。
    ストレスを抱えてヘトヘトに疲れた心も軟らかくほぐしてくれる。

    「死ぬほど辛い場所で、青筋立ててがんばる必要もない。がんばりどころと、そうでないところを間違えてはいけないよ」
    もうこれ以上は無理な位がんばった人には「休めばいい」と優しく諭してくれる、そんな言霊を沢山貰えた。
    ぐっすり眠れば自然と食欲も出てくるはず。
    たっぷり眠って美味しいものを沢山食べたら、きっと元気も出てくる!

    最近ぐっすり眠れていない私も、ミナトホテルのベットで爆睡して、綺麗な花が沢山咲いている裏庭をのんびり眺めていたい。
    我儘を言い合い、聞き合う互助会に私も参加したいな。

  • 祖父の友人の遺言を叶えるために芯はミナトホテルにある裏庭の鍵を探しに行く。
    寺地はるな先生の描く人物は皆何かを抱えて生きているような気がする。とても深くて心に沁みる。ともすれば重く暗くなってしまいそうなお話を強く優しく読ませてくれる。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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