役に立たない人生相談

著者 :
  • ポプラ社
3.56
  • (5)
  • (13)
  • (16)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 119
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591150429

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 佐藤愛子さんに、役に立つアドバイスを求めてはいけない。ただ、話を聞いているだけで元気が出る。

  • 久々に読んでいて気持ちが良くなった本。
    タイトル通り、読者のお悩みに佐藤愛子さんが回答しているという本だけど、その回答が人生を長く生きている人はこんな風にこんな事を言うんだな~と、どれも腑に落ちた。
    多分、作者の佐藤愛子さんは90代だと思うけど、それでこの文章が書けるという事がすごい!
    何やらすごい事を書いてある啓発本よりも心にストンと落ちてくる、人間らしさを感じる言葉の数々。
    ストレートなので、「キツい・・・」と思う人もいるかもしれないけど、よくよく見ると、キツいだけじゃなくてちゃんと相談者の立場に立って回答しているのが分かる。
    そして、自分では分からないことはちゃんと専門家(医師)に話を聞きに行ったりしている。
    何という誠実さ・・・。
    それだけで私ならどんな回答だろうとその人に心を開いて感動するだろうな・・・と思う。

    お悩みの数々は、「人生に夢は必要か?」「結婚生活が平穏すぎて退屈です」「消費欲がとまらない」といった、どちらかと言えば深刻でない(本人にとっては切実だろうけど)内容で、それらひとつひとつにちゃんと向き合っているというのが伝わる。
    私は最近、どの啓発本を読んでも言葉を拾うほど感銘を受けることはなく、「いい事書いてるよな・・・」くらいだったけど、この本では書きだしたい文がいくつもあった。

    例えば「知的で教養のある女性になりたい」という悩みに答える佐藤愛子さんの、
    『例えば友達から苦しい話を打ち明けられた人が、ニイチェは、パスカルは、こういっているなどといって励ましても、何の肥やしにもならない。苦しんでいる人が求めているのは素朴な慰め、ない知恵を絞って一緒に解決の道を考えてくれる「真情」なのだということがわかっている人、それが教養ある知的な人なんです。』
    『話題なんか豊富でなくてもいいのですよ。人の話を心を傾けて熱心に聞く。質問する。なるほど、と思えば大きく頷く。「聞き上手」になればいいんです。』
    『本当に知的な人になるには長い時間、年月がかかるのです。知識が人間的魅力になるまでは。』
    こんな言葉に大きく感銘を受けて、その通りだな・・・と思った。
    クイズ番組でたくさんの回答をしているような人が知的か?というとそうではない、知的とはもっと違うものと普段から思っていて、それをちゃんと分かりやすく表してくれていると思う。

    所々にイラストを挟み、それがいい味を出しているし、本自体が薄いのでとても読みやすい。
    あっという間に読み終えて、読み終えた後は爽やかな気分になりました。

  • 歯に衣着せぬ人生相談っていうか、相談者をも説教して相談どころでは無い。それがまた面白い

  • 「九十歳、何がめでたい」があまりに面白くて「こんな面白そうな本もでているぢゃないか!」とすかさず手に取った一冊。何よりも佐藤先生の、カカと笑っているかのようなこの表紙の表情。

    役に立たないと謳っておられる様に多分ほとんど人生相談の役には本当に立たないと思うのですが、ストレス発散の役にはかなり立つのではないかなと思うのです。
    とにかく痛快。「人生相談なんかしたくない」とあれほど「九十歳何がめでたい」で書いておられたのに引き受けちゃったのな~という残念感(?)もあるのでなおさら面白いのです。でもやけっぱちというのでもなく、先生なりの真面目さでちゃんとお答えにはなっているのです。

    「それはどうかなぁ」と反論や疑義の余地のある回答もあるのですが、人生相談なんか正解はないのだからこういう意見も面白いよなぁと思うのです。
    むしろ、佐藤愛子先生に人生相談を持ちかける人は、「くだらないっ!」などとばっさり切られたいのでは、とも思えるのです。別に悩みなんかないけれども佐藤愛子先生に切られるなら人生相談持ちかけてみたいと思いますもの。

    佐藤愛子先生の回答に添えられた表情のイラストもまた痛快。するする読めてすっきりするまさに解毒剤の一冊。他の本もちょっと読んでみたくなりましたね。
    何か読むものないかなと探している方、さらっと読める一冊お勧めします。

  • 著者の回答があっさりながら、本質をついていて、それでいて温かいので、読んでていて晴れ晴れする。悩みは人それぞれだが、他の視点から見るとそう言う考えもあるのかと気づきがある。タイトルを著者が「役に立たない人生相談」としたように、決して上から目線でなく、そっと気がつかせてくれている。

  • ありがとうございましたぁ!ほんと。役に立つとは思えないw

  • 人生の大先輩である佐藤先生が、老若男女から寄せられる様々なお悩みをバッサリ切っていきます。
    相談している側からすると真剣そのものなのでしょうし、そう考えると「こんな回答で大丈夫か……?」と思ってしまうものの、他人事だと思うと途端にクスッと笑えてしまったり。
    日々のちょっとした空き時間で軽く楽しめる1冊です。

  • 記録

  • まずタイトルが良いですね。
    「役に立たない」と「人生相談」の対比が面白い。

    そして92歳とは全く思えない切れっ切れの回答が痛快です。

    良くある「相手に寄り添って」と言う回答とは真逆とも思える愛とユーモア溢れる珍解答(失礼) 歯に衣着せぬ物言いなのですが、不思議と嫌な感じが全然なく、思わず噴出したり、「そうだよな、その通り!」と納得する回答多し。

    人生相談なのに、楽しいエッセイ本を読んでいる様な錯覚に陥った愉快な1冊です。

  • 老若男女から寄せられる様々な悩みを、佐藤先生がバッサリと切っていきます。果たしてその答えで悩みは解決できるのか…。そう思いたくなってしまう解答の数々に、つい笑いがこぼれてしまいます。(新ひだか町静内)

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大正12年、大阪生まれ。甲南高等女学校卒業。昭和44年、『戦いすんで日が暮れて』で第六十一回直木賞を受賞。昭和54年、『幸福の絵』で第十八回女流文学賞を受賞。平成12年、『血脈』の完成により第四十八回菊池寛賞、平成27年、『晩鐘』で第二十五回紫式部文学賞を受賞。平成29年4月、旭日小綬章を授章。近著に、『こんな老い方もある』『こんな生き方もある』(角川新書)、『破れかぶれの幸福』(青志社)、『犬たちへの詫び状』(PHP研究所)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)などがある。

「2018年 『新版 加納大尉夫人 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤愛子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×