([ま]1-6)今ごはん、昔ごはん (ポプラ文庫)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591151068

作品紹介・あらすじ

江戸時代にもポップコーンがあったって本当? 節分に食べていたのは「恵方巻」じゃなかった? 京都・祇園の日本料理屋に生まれ、「子どもの頃から喰い意地が張っていた」という直木賞作家・松井今朝子さんの、「食」にまつわるエッセイ集。

歌舞伎や近世文学に通じた時代小説作家ならではの視点で、京都と東京の東西味比較、美味・珍味とりまぜた食べ物の思い出、江戸時代の食文化、無形文化遺産になった「和食」の由来などが、ときにシニカルに、ときにユーモラスにつづられています。楽しく読みすすめるうちに、江戸通、京都通になれそうな知識も盛りだくさん! 
古今東西の「おいしいお話」を、たっぷりめしあがれ。

【著者プロフィール】
松井今朝子(まつい・けさこ)
1953年、京都生まれ。早稲田大学大学院修了後、松竹に入社、歌舞伎の企画・制作に携わる。その後、故・武智鉄二に師事。1997 年『東洲しゃらくさし』で小説家デビュー。同年『仲蔵狂乱』で第8回時代小説大賞、2007年『吉原手引草』で第137回直木賞を受賞。著書は、近著の『縁は異なもの 麹町常楽庵月並の記』など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 京都の料亭に生まれ、大学からは関東にお住まいの、松井今朝子さんの、食のエッセイ。
    元は料理番組のテキスト(QP?)に連載されていたものらしい。

    料理の今昔という時間軸を縦に、東西の食文化の違いを横軸に、豊富な知識と、食べ物への愛が語られます。

    時々、丸ごと独り占めして食べきってしまったとか、食べ過ぎて苦しくて眠れなかったとか、食いしん坊振りが微笑ましいエピソードも。(その割にスレンダーでいらっしゃいますが…)
    松井さんの語り口、好きです。

    今、私たちが堪能している美味しいものは、だいたい江戸中期ごろから始まったようですね。
    ポップコーンらしきものもあったとは驚きです。

    あと、江戸時代の節分ではとろろ汁を食べる習慣があったとか、化け猫が行灯(あんどん)のあぶらをぺろ~りぺろ~り舐める理由とか、トリビアも満載。

    江戸のごちそう、京のとっておき/めぐる季節の愉楽悦楽/今ごはん、昔ごはん/マイ・スイート・メモリーズ/食の色、いろいろ/食べれども、食べれども

  • 料理や食材だけでなく、食べ物の色までテーマにした、多彩な食エッセイを集めた一冊。
    初出はキユーピー3分クッキングのテキストの連載だという。

    祇園の料理屋が実家だという松井さん。
    子どものころ食べたもの、それから時代小説家として調べた食べ物のことなど、日本の東西での食の違いなど、様々な切り口でのエッセイが楽しめる。

    うどんもそばも、七味が広まるまでは胡椒で食べるのが一般的だったこと、江戸時代にもポップコーンみたいなものがあったことなどが書かれている。
    江戸のポップコーンについては、ちょっと疑問もあるけど。
    『和漢三才図会』にポップコーンらしき記述があるそうだ。
    でも、殻の堅いポップコーン用の品種が入っていたのか?
    普通のトウモロコシを、生のまま炙っても弾けないのでは?

    挿絵を担当した川口澄子さんの巻末エッセイ漫画にも出てくる「馬のタテガミ」も印象的だった。
    たぶん、私は一生食べる機会がなさそうだ。

  • 作者 松井今朝子氏は、時代小説の方だと思っていたのだが、、、
    この本を手にした時、違う方かと、思った。

    私も関西の大阪生まれで、商社マンの父の仕事関係で、色々な所へ引っ越しした。

    松井氏の書かれている、食についての造詣の深さに感心する。
    東京とも縁があり、子供たちは、京大から東京へ行ってしまったが、未だに、関西と、関東の食べ物の違いについて、話が尽きない。
    しっかりと、知っていたと、思っていたのに、、、、この本を読むと、知らない事が、こんなにもあったのと、、、
    読んでいて、楽しくなった。
    京都のお茶漬け、「ぶぶ茶でも、、、」は、昔京都人の気質と、、、言っていたが、、、迷惑な話である。
    しかし、お茶菓子は、3度勧められてから、頂く、、、、は、、、昔から、関西人は勧め上手で、何度でも、勧める言葉を知っているのである。

    作者の母の幻の海苔巻きは、面白かった。
    私の小さい時は、遠足といえば巻きずしであった。
    我母は、お布巾の上に巻き簀を置いて、作っていた。
    最後に巻き簀で巻いてその後お布巾でも巻いて端をくるくると、縛るようにして広げていた。
    包丁も濡らした布巾で拭きながら、切れば、切り易いとか、、、
    東京へ行った時に、こうこ巻きを食べてビックリした。
    タマゴだと思っていたのだ。
    この本を読みながら、母の料理を久しぶりに思い出した。

    お正月は、牛肉三昧と、作者は書かれているが、我が家では、正月 1日は、4つ足の食材は入れない物だった。
    スキ焼は、毎度、食していたのだが、、、友人に言わせると、給料日の翌日が、スキ焼だったと、、、聞いて、我が家は、違っていたのかと、、、、
    松阪牛のスキ焼は、牛乳を入れて食すのを、料理店で、食して、たまに牛乳を入れたことがあるが、やはり、母が作る砂糖で絡めて、醤油味が、好きであった。

    この年になっても、母の作った何でもないような料理が思い出された。

    昔、フランスヘ行った時は、11月だったせいか、ホテルの少し離れた路地の屋台のようなところでも、生ガキが、売られていて、フランス人は、レモンを絞って、食べていたのを思い出した。
    我母も好きであったが、フランスで、カキにあたると怖いので、遠慮していたのも、遠い昔の出来事である。

    江戸好み色 茄子紺で、一昨日、東京の日本橋の高島屋で、山王祭の法被と、神輿が、デイスプレイしていて見てきたが、茄子紺、、、やっぱりいい色だな~と、思いながら、他の色も渋くて、、、、感激をしてしまった。
    四ツ谷の須賀神社もその当日お祭りで、アトレの地下から御神輿のわっせーわっせーの掛声を聞いてきた。

    子供達と会って、会食したのは洋食が、多かったが、最後の日は、おばんだい定食を頂いて、大阪の帰路へと、、、、

    この本は、今まで読んだ食の本の中で、一番 誰かに教えたくなるような内容の話が、盛りだくさん掲載されていて、今度、皆に吹聴(?)しようかな?と、思っているけど、その時になったら、何だっけ、、、と、忘れているかも、、、、
    本の紹介をしておいて、再度、話の共通点を作っておこうと、、、思っている。

  • 昔に比べると情報が増えたから、地域差で「知らなかった!」ってこと、少なくなったなあ。自分は食べたことなくても「話には聞いたことある」が増えた~。

  • 「3分クッキング」連載を再構成、加筆修正して2014年6月ポプラ社刊。更に加筆修正して2016年8月ポプラ文庫化。松井さんの食への記憶と想いに感心しました。筍にしても、ほうれん草にしても、昔のは、えぐみがあったなんていう話が、楽しいです。

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松井今朝子の作品

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