リアルプリンセス

  • ポプラ社
3.47
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本棚登録 : 637
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591152409

作品紹介・あらすじ

古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。

寺地はるな×鉢かづき姫
飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様
島本理生×ラプンツェル     
加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様
藤岡陽子×乙姫         
大山淳子×眠り姫

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の絵に惹かれた。
    日本の昔話やグリム童話に出てくるプリンセスの話を、現代日本に舞台を置き換えてオマージュした女性作家によるアンソロジー集。

    ○寺地はるな:鍋かぶり…鉢かつぎ(日本の昔話)
    書き出しは、以前読んだ「マリー・アントワネットの日記」のように、本人の語り口調でタッチ軽め。鉢ではなく鍋というのも面白い。あらすじは、原作に沿っている感じ。寺地さんニ作目だったが、痛快だった。

    ○飛鳥井千砂:歩く12人の女…おどる12人のお姫様(グリム童話)
    初めて読む作家さん。原作を上手にアレンジしているなぁと感心しきり。こういうお話好きだなぁ。

    ○島本理生:ラプンツェルの思い出…ラプンツェル(グリム童話)
    島本さんの小説は読んでみたいと思いながらも、なんか重そうかなぁと思って、まだ読んだことがなかった。島に住む叔母夫婦に引き取られた少女をラプンツェルに見立てた設定。少女ゆえの純粋さと罪なき毒が効いている感じ。

    ○加藤千恵:正直な彼女…エンドウ豆の上に寝たお姫様(グリム童話)
    この方も初めての作家さん。原作の根っこの部分を取り入れた感じかな…。そういう結末なのね、意外だった。

    ○藤岡陽子:あの人は海を捨てた…浦島太郎(日本の昔話)
    私はこの話が一番好きかも…切なさがいい感じだわぁ。浦島太郎というより、浦島伝説の土地が舞台となっている。初めて読む作家さんだったが、他の作品も読んでみたい。

    ○大山淳子:夢のあと…眠り姫(グリム童話)
    大山さんの作品は「あずかり屋さん」を読んだことがあるが、ほのぼのとしたファンタジーだった。こちらは、ほのぼのではないけれど、泣き笑いという感じかな。原作に忠実!

    娘は最初と最後が面白かったと言っていた。人により、年齢によりお気に入りが違うのもアンソロジーの良いところ。
    今回も新たな出会いがあり、やっぱりアンソロジーっていい!と思った。2020.3.31

  • 有名な作家さんのバラエティー本!
    おとぎ話を現代化、なかなか読み入ってしまい、あっという間に読み終えた。
    語り調で、おとぎ話を読んでいる感覚。
    それぞれ、作家さんの特徴的な部分もあり、読み終えたら、今まで読んだことのない作家さんの本にも目を通してみたくなった。
    誰かにオススメしたくなる素敵な物語!

  • 日本の民話やグリム童話などに登場するお姫様。物語の舞台を現代に移し、それぞれの女性作家の個性たっぷりに描かれたアンソロジー。自分が思っていたより元ネタの印象が薄く、純粋に短編として面白く読めた。皆さんさすがだな。
    印象に残った作品は…
    飛鳥井千砂「歩く12人の女」この作品の元ネタの童話があまり記憶に残っておらず、読了後に調べてみたのだが、オリジナルより面白い!伏線の張り方が見事だし、個人的にはフード描写もツボでした。
    島本理生「ラプンツェルの思い出」瑞々しいけど濃厚。離島を舞台にしたのは上手いなぁと思った。なかなかにほろ苦いが、何度も読み返してしまった。
    藤岡陽子「あの人は海を捨てた」乙姫の視点から〝浦島太郎〟のその後を語られているような…。ちょっと切ないけど、後からジワジワ沁みてくる。
    大山淳子「夢のあと」このアンソロジーでダントツに一番好き。〝眠り姫〟をこんな風に再構築するとは…。めりはりのきいた起承転結。「転」のところで度肝抜かれ、号泣でした。

  • 6人の女性作家による現代版プリンセスストーリー。
    それぞれの個性が出ていて楽しくて、サクサク読めた。

    鍋かぶり 寺地はるな
    あの人は産みを捨てた 藤岡陽子
    夢のあと 大山淳子
    の3作が特によかった。
    結局、ハッピーエンドが好きなんだなと思う。

  • もっとファンタジー色の強い、女子力強めなアンソロジー集かと思っていたら、しっかりと読ませる小説で嬉しかった!
    元々ある童話に絡めた話だったということは読後にこのアプリで知った...

    ・鍋かぶり 
    この作家さんはビオレタを読んで以来だけど、軽妙な語り口でするする読めてくすりと笑える。1番御伽話っぽいかも。

    ・歩く12人の女
    こちらも御伽話色あり。商社や広告代理店の男たちだけリアルに俗っぽく、誠実な男性との対比がいかにも物語っぽい。

    ・ラプンツェルの思い出
    これは悲しくて痛いなーと。島に住む孤独な女の子が、病気を抱えた大人の魅力のある美容師に対し運命的な恋だと盛り上がってしまうのは当然だと思う。最後の嘘は、いけないことだけどスカッとした。この作家さんはこういった話を描くのがうまいな。

    ・正直な彼女
    主張がなく大人しい彼女を持つ主人公の前に現れた、個性的で自分の意見をしっかりともつ流されない系の女の子。無い物ねだりをしてしまったのかなんなのか。この主人公もだいぶ流されてますけどね。

    ・あの人は海を捨てた
    初めましての作家さん。この話は1番良かった!
    情景が目に浮かび、せつなくて胸が締め付けられた。まこっちゃんがとてもいい仕事をしてる。他の本も読んでみよう。

    ・夢のあと
    まさかの展開。夢で携帯をうまく押せないとか足が進まないとか、あるあるで少し笑った。
    目覚めた後のところはほろりときた。我が子の成長は見逃したくないよね...

  • 図書館で借りました。〈寺地はるな×鉢かづき姫〉【鍋かぶり】ワタシの心の栄養源になってくれている寺地さんのページをじっくりじっくり読みました。〈世間のひとは、たやすく人を分類します。〉主人公の【わたし】はとある経緯で【鍋】をかぶって生きていくことになった、初瀬。そんな初瀬と、輪郭のはっきりとした孤独を抱えている【月のひと】=【かれ】との結婚に至るまでのスピーチ形式の、初瀬の語りにワタシの耳〈目〉はギュッと掴まれた。『初瀬、帰ろう』『ふたりで帰ろう』 寺地さんの物語は、いつも【皆と同じではない】ということで誰かが誰かを【分類すること】はおかしなことだと、繰り返し繰り返し伝えてくれる。

  • 童話・昔話のお姫様をモチーフに、現代を舞台にした6つの短編の“饗宴”集。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    寺地はるなさん目当てに手にした1冊ですが、どのお話もとてもおもしろかったです。

    表紙には6人のお姫様の姿があり、かわいらしくもあり、どこか寂しげなその姿が印象的です。
    しかしこのお姫様の絵からは、モチーフとなったお話を推測することは、なかなか難しいです。

    モチーフにした童話の記載は、本自体になく、帯で知りました。
    モチーフの童話を絡めたタイトルにはなっているものの、元の童話を知らないお話もありました。
    しかし逆にこの短編を読んだからこそ、元になった童話を読んでみたくなりました。

    冒頭の寺地はるなさんの「鉢かぶり」で、がっちり気持ちをつかまれ、飛鳥井千砂さんの「歩く12人の女」で、童話と現実の狭間世界を堪能し、島本理生さんの「ラプンツェルの思い出」で、ラストの展開にええっとなりました。
    そして加藤千恵さんの「正直な彼女」に、誰しもに起こり得たかもしれない展開を読み、身につまされた気持ちになり、藤岡陽子さんの「あの人は海を捨てた」で、切ないラブストーリーを見て、ラストの大山淳子さんの「夢のあと」で、時間を経てわかる涙の展開を味わい、本を閉じました。

  • 寺地はるなさんの名前で手にとりましたが、それぞれ短編で読みやすいながら読み応えもあり、次を読むのが楽しかったです。

    ストーリーは、
    『歩く12人の女』
    『あの人は海を捨てた』
    『夢のあと』
    がよかったです。
    特に『あの人は海を捨てた』は、浦島太郎の話についても改めて考えさせられたり、心に残る言葉もあり。

    「人をむやみに攻撃する人ってね、自分に自信がないんだって。不幸せな人ほど意地悪なんだって。」

    「記憶は何層にも積み重なって脳の中にしまわれているのだろう。消えるのではなく、どこかに埋もれている。そしてなにかの拍子でこんなふうに、前触れもなく浮かび上がってくることがある」

    「東京なんて龍宮城みたいな場所やって。おもしろおかしく暮らしてたら、あっという間に時間経つって」

    『正直な彼女』は、思い当たることが多過ぎて、共感すると同時に反省も。

  • 【収録作品】「鍋かぶり」(『御伽草子』「鉢かづき姫」)寺地はるな/「歩く12人の女」(『グリム童話』「おどる12人のおひめさま」)飛鳥井千砂/「ラプンツェルの思い出」(『グリム童話』「ラプンツェル」)島木理生/「正直な彼女」(アンデルセン童話「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」)加藤千恵/「あの人は海を捨てた」(日本昔話「浦島太郎」の乙姫)藤岡陽子/「夢のあと」(ヨーロッパ民話「眠れる森の美女」)大山淳子
     昔話のもつ毒と現代の毒をブレンドし、換骨奪胎して新しい寓話が生み出された。ある者は闘い、ある者は自らに素直になり、ある者は現実を受け入れて前進する。皮肉あり、ハッピーエンドありで読み応えがある。

  • 眠り姫、ラプンツェル、浦島太郎の乙姫、鍋かぶり姫・・・古今東西の「プリンセス」をオマージュしたアンソロジーだ。リアル、のつくとおり、舞台は現代、主人公は普通の(ちょっと普通じゃない人もいるけれど)女性。
    ほっと優しい気持ちになるようなものから皮肉のきいた内容のものまでテイストはさまざまで、個性があって面白い。
    個人的にはベタだけど浦島太郎をモチーフにした物語の「亀の気持ち」が好きだなと思った。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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