- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591152454
感想・レビュー・書評
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ドリアンさんは作品のレベルの高さに伴わない評価だと思わざるを得ないです。「あん」で相当知名度上がったはずなのに、その後の作品はあまり読まれていないように思われます。
近年作の「新宿の猫」なんかも味わい深い佳作だと思っているのですが。
そしてこちらは海釣りをテーマにした短編集で、じんわりと染みるヒューマンドラマが詰め込まれています。涙が流れるとかではなく、誰もが失敗したり、あっちにぶつかりこっちにぶつかりしながら生きています。そんな中で釣りというイベントを通じて大事な何かと繋がろうとする人たちに心打たれます。
それほど釣り詳しくないのですが、臨場感が有って釣りに行きたくなる事間違いないし、桜鯛の鍋や、オニカサゴ料理等お腹が鳴る美味しそうな描写も山盛りです。
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2017.7.5-55
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船釣りを舞台とした小編4つ。文字の密度の高い黒いページが少ないので、思った以上に読み進むのが早い。各小編の間に相互関係は無いが、それぞれの基本的な進行は変わらず概ねハッピーエンド。なので、不安を抱えずに読める。読後感も不快やモヤモヤは残りにくい。かと言って、各小編が軽過ぎるということも無く、起伏に富みつつ暖かな気持ちになれる。船酔いだけは全編で共通しているので、その点で生理的にどうしてもダメな人には勧めない。結構、詩的な表現も有って染みる。